ジェイエイシーリクルートメント(以下、JAC)は1975年にロンドンで誕生した人材紹介会社です。マニュファクチャリングディビジョンのコンサルタント和泉絢子は、100+Clubメンバーでありワーキングマザーとしての一面もあります。高い業績をあげ、ディビジョンをけん引する彼女が、仕事への考え方を語ります。
※2018年当時のエピソードになります
何もないところからはじめた3年間
▲マニュファクチャリングディビジョンのコンサルタント 和泉絢子
大学を卒業した当時はリーマンショック直後で、今の就活とはまったく違う状況でした。そういった時代背景もあり、人材業界は偶然入った業界であったというのが本音です。
新卒で入社した会社も人材紹介会社だったんですが、入社後は景気がものすごく悪くて求人がなく、何もないところからはじまりました。
とにかくテレアポ何件、飛び込み何件、と今では考えられないような働き方をしていました。ビル倒しといって、ビルの最上階から1階まで入居している企業を全部飛び込み営業するとか、本当にがむしゃらに働いていましたね。
その後、3年目のときに企業開拓力を評価されて製造業領域から経理、総務などの管理部門求人を専任で担当する組織に異動。立ち上げメンバーに抜てきされました。毎年担当する領域が変わっていたこともあり、ひとつの領域で専門性を高めたいと思い、2013年にJACへ転職したんです。
私は、人材紹介の仕事を続ける、ということは決めていました。しかし、1社目は30人ほどの規模だったこともあり、長く働くにつれて自分が学べる範囲が限られてきたんです。
大きな会社で、たくさんの人がいて、企業もご登録者も1人で担当できる両面型の人材紹介会社と考えると、私にとっての選択肢は自然とJACに絞られたんです。
間に入ることで「介在価値」を発揮できる
▲2018年の2Qは、チームで社内賞を受賞した
JACの仕事の魅力は、介在価値を感じられる仕事であること。
候補者のよいところと企業が求めるものをつなぎ、それぞれのよいところを伝えることができる。そこにやりがいを感じています。
私は製造業の中でも外資系の重電業界領域に精通しており、同業界での転職をお手伝いすることが多いのですが、ご登録者に同業他社のお話をすると、「転職してもあまり変わらないのではないか」というリアクションをされることが多いです。
しかし、同じビジネスをしていても、会社により制度や文化はまるで違います。なので、外からは見えづらい給与や異動・昇格制度などに関する転職のメリットを伝え、他の選択肢を提示できるのは、この仕事の意義だと感じています。
将来的にはAIに置き換えられない仕事が残っていくと思うので、こういう職人的な仕事ができるのはJACのよいところです。
JACでは、体当たりの営業活動はありません。きちんと資料を用意して日本の市況感やポジションの難易度についてプレゼンテーションをしたり、独占求人として私だけに依頼をしていただけるよう交渉をしたりと、戦略的な営業活動ができています。
パートナーとして認められる喜び
▲海外派遣研修にも参加。ベトナム・ハノイのオフィスにて
仕事をしていて最もやりがいを感じるのは、ご登録者、クライアント企業から感謝されたときです。
一番嬉しかったのは、担当している外資系メーカーの外国籍の人事担当者から「私とあなたのゴールは一緒。だから、それぞれの役割で一緒に頑張りましょう」と言っていただけたこと。エージェントは使われる立場ではありますが、パートナーとして認められた感じがして嬉しかったです。
「契約条件を変えるのは御社だけだから」、「あなただけにお願いします」など、クライアントから頼られている、称賛されていると感じる瞬間はやりがいにつながります。
私は物事をズバッと言う裏表のない性格なので、ご登録者が転職活動を終えた後もたまに連絡を取り合ったりして、友人のような関係になる方もいます。
その方を通じてご友人をご紹介いただくことも多く、2018年上半期のリファーラルアワード(ご友人からの紹介によりJACにご登録いただいた方の人数によって与えられる社内賞)では3位を受賞しました。
産休・育休を経て2017年に復帰しましたが、子どもが生まれてからは働き方も変わりました。勤務時間を1時間前倒ししてフルタイムで働いていますが、子どもの送り迎えがありますので「1日7時間」という条件下でいかに効率的に時間を活用するかを考えてスケジュールを立てています。
具体的には、帰宅する16時半以降はご登録者とお会いすることができなくなったので、ランチタイムや電話でのやりとりに面談時間をシフトしました。
時間の制約があるぶん、専門性の高い話をするように心がけ、ご登録者に「和泉さんに頼る価値がある」と思っていただけるサービスを意識しています。
ワーキングマザーという特徴を活かし、ひとつのモデルケースへ
ワーキングマザーとして仕事と育児を両立することで、候補者の方へのアドバイスにも変化がありました。家族や育児の話や住宅購入についてなど、仕事以外のライフイベントについてもお答えできる範囲が増えて、人生経験がそのまま仕事に活きていると感じます。
産休に入る前と同じ仕事のやり方をしていたら、やりづらくなっていたかもしれません。しかし、使える時間が短くなったぶん、一つひとつのやり取りを濃密なものにできるように意識して生産性を上げました。
また、システムを見ながら候補者になりうる方をサーチする時間を取ることが物理的に難しくなったので、自分の記憶にあるコネクションからお声がけをする、周囲のチームメンバーに相談をしてアドバイスをもらうなど、「やらないこと」を決めたことも変化のひとつです。
JAC社内のワーキングマザーが集まるワーキングマザーコミュニティの運営もお手伝いしています。
毎回10〜20人ほどの社員が集まり、ざっくばらんに今抱えている育児の不安や復帰後の仕事の仕方についての共有やアドバイスをしています。帰宅後の食事の準備の仕方や、ご登録者との電話対応をどうしているかなど、取り上げるトピックもさまざまです。
業務だけだと部署を超えた交流がどうしても少なくなってしまうので、ワーキングマザーという共通項をきっかけに社内のつながりを増やしたい。また、自分自身が産休中に保活や働き方について先輩からアドバイスをいただいたので、次の方へ返す立場になりたいと思っています。
今後は、産後のキャリアディベロップメントに関しても興味関心があります。JACではワーキングマザーが100人ほどいますが、それでもやはり全体で見るとマイノリティであり、子どもが生まれたからマネージャーにならないという考えを持つ人もまだ多いと思います。
自分は子どもがいるから与えられた目標だけをこなせばいいと、環境を理由に諦めている方がいたら、議論しながら変えていきたい。
私は、子どもを持ちながら仕事をするようになったからこそ、わかることもあると思っています。
ワーキングマザーとそうでない人、性別、国籍など、違いはあってもそれぞれの個性と特徴だと考えています。ワーキングマザーでもできる、というひとつのモデルケースとして、自分が率先してイメージを変えていける存在になりたいです。