はじめまして。大阪にある認定NPO法人Homedoorで事務局長をしている松本と申します。ここ数年で、ずいぶんとソーシャルセクターで働く人や関心を持つ人が増えたように思います。とはいえ、まだまだ知られていないことは多いのではないでしょうか。ということで、少し「NPOで働く」について書いてみたいと思います。
Homedoorはホームレス支援を行っている団体です。2010年に代表の川口が19歳の時に立ち上げました。「女子大生」と「ホームレス支援」。言葉だけを見るとアンバランスな印象を受けるかもしれません。
「どうして若い時からホームレス支援をしているの?」と聞かれると、彼女はいつも「知ったからには知ったなりの責任がある」と言っています。彼女は14歳の時に、ホームレス問題を知ったのです。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
さて、そんな代表と一緒に活動をしている私は、実は彼女の中高の後輩なんです。学校のボランティア部に入ったことがきっかけで、ホームレス問題に出合いました。大阪市・西成区(釜ヶ崎)で炊き出しに参加した中学1年生の時、何百というホームレスの人が列をなしていたことが非常に印象的でした。
「こうして順番を守れる人たちが、ホームレスになるのはなんでだろう?」
そんな疑問からホームレス問題に関する本を学校の図書館でよく読んでいました。そして、日本の社会構造そのものがホームレス状態の人を生み出すことを知りました。「社会課題に関わることのできる仕事をしたい」と思うようになり、社会起業について学べる大学に進学しました。不思議なご縁で、Homedoorを起業して間もない代表から声をかけられ、大学時代をHomedoorとともに過ごしました。
私はそのまま、「新卒」でNPOで働くことになりました。
請求書はどうやってつくるのか。給料はどうやって算出するのか。私は何も知りませんでした。わからないことだらけでした。上司がいるわけではなかったので、誰に聞いたらいいのかもわかりませんでした。でも私は心折れることなく、こうして今も働けています。なぜそれができているのか。その答えはすごく単純です。
おっちゃんたちに必要としてもらえる場所だと思えるから。
最初は不安でした。
私たちが提供することは、当事者の人たちに求められているのか。
でも、そんなことを思っていたのもつかの間。いつのまにか、いつも事務所にはおっちゃんたちが来てくれるようになったのです。今では誰も来ない日なんてありません。雨でも、台風でも居場所としておっちゃんたちが来てくれるようになりました。NPOにもさまざまな形がありますが、私たちのような当事者に接するNPOの場合、現場との距離が近いということが、働く上で大きな魅力になると私自身は感じています。
社会課題はある意味、生きものです。日々新たな課題が生まれ、どこかで消失していきます。NPOの活動範囲は行政が担うべきものであることも少なくありません。しかし、公のものである税金の使い道は簡単に変更することはできません。だからこそ、NPOがまず現場の小さなニーズに合致した働きをすることには、大きな意味があると思うのです。当事者に必要とされることは、NPOの活動において非常に重要です。
いろいろと書きましたが、「NPOで働く」を難しく捉える必要はないと思います。
対象となる当事者がどうすれば、生きやすい社会になるか
対象となる社会課題がどうすれば、起きないようになるか
それを突き詰めていくことが、NPOで働くということの本質なのかもしれません。
「実は、気になる社会課題がある…」という人は、まず「社会課題の名前 NPO」で気軽にググってみましょう。法人格を持っているNPOは5万団体もあるんです!きっと素敵な活動をしている団体に出会えますよ。
ホームレス問題に関心がある、という方は私も働いているHomedoorについてご覧くださいませ。
特定非営利活動法人Homedoorでは一緒に働く仲間を募集しています