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なにをやっているのか

WEBサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」は毎日更新をつづけて24年目に。
55万人が使っている「ほぼ日手帳」
『月間100万人が訪問する無料のウェブサイトを運営しています』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (株)ほぼ日は、コピーライターの糸井重里が主宰するインターネット上のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営しています。通称は「ほぼ日(ほぼにち)」です。「ほぼ日」は、1998年6月6日以来、一日も休まずに更新をつづけて24年目になりました。当時、個人が始めたウェブサイトで今日まで続いているものは、そう多くはありません。「ほぼ日」では、有名無名問わず、さまざまな方へのインタビューやコラムなど、あらゆるコンテンツがすべて無料で楽しめるウェブサイトとして、月間平均、約139万人が訪問しています。 『オリジナル商品の商品企画、開発、販売まで、一貫して手がけています』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 1999年以降は、「ほぼ日手帳」を代表とする、さまざまな商品を開発しています。手帳の他にも、カレンダー、ハラマキ、タオル、洋服、土鍋、食品などの、商品企画、開発、そして販売まで、一貫して手がけています。自社のオリジナル商品として開発されたものや、外部のクリエイターとのコラボレーションを通して開発されたものなど、さまざまな形態の商品があり、日常の生活をちょっとうれしくするような、他にはないモノの開発を心がけています。また、商品以外にも、ほぼ日での連載を通して、人気のあったコンテンツを書籍化し、自社で流通する仕組みなども構築してきました。これらの商品を、サイト内「ほぼ日ストア」で通信販売するとともに、ロフト、全国の書店などに卸すことによって、「ほぼ日刊イトイ新聞」は収益を得ています。 『「ほぼ日手帳」は、11年連続「ロフト」手帳部門で売上ナンバーワン』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 主力商品の「ほぼ日手帳」は、11年連続「ロフト」手帳部門で売上ナンバーワンを記録。2001年の発売以来、14年に渡って販売数を伸ばし続け、2015年版は、55万部に達しました。こうした商品や書籍の販売売上が、全体の約95%を占め、ウェブメディアには珍しく、広告掲載事業は行っていません。

なぜやるのか

週に1回、給食の日があります。みんな揃って「いただきま〜す」
2012年から「気仙沼さんま寄席」を開催。乗組員総出のイベントもあります。
『コンテンツを生み出すことそのものが目的であり、仕事』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 糸井事務所では、「コンテンツ」を中心に物事を捉えています。ほぼ日では、「読み物」も「商品」も「イベント」も、ぜんぶ「コンテンツ」だと考えています。コンテンツというのは、アイディアのかたまりです。商品も、記事も、本も、服も、流通の仕組みも、ビジネスモデルも、新しく考えたコンテンツとして立ち上げます。新しい商品を練り上げていくときも、自分たちの力の活かし方としては、ふだんの読み物のコンテンツをつくるときとなにも変わりません。収益が得られるかどうかは、別の問題として重要ではありますが、収益も、読者の数も、それ自体が目的ではありません。その意味では、わたしたちは、仕事をすること自体が、大事な方法であり、目的といえます。

どうやっているのか

社外の人も参加して、大人数でミーティングすることもよくあります。
「クリエイティブの3つの輪」企画の途中で、この図に立ち返って考えることも。
『横断的なプロジェクトチーム編成』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 糸井事務所の社員は、現在は56名、アルバイトや役員を含めて80名以上の組織です。糸井事務所では、「主に誰に相談し、判断を仰げばいいか」をベースに、組織図が作られています。そこには、読み物コンテンツチーム、商品コンテンツチーム、デザイン部、マーケティング部、事業支援部などがあります。業務は、部署を横断するプロジェクトがベースで、一人の社員が複数プロジェクトに参加する形式をとっており、各部門が有機的につながっていて、そのプロジェクトの動機に関心があるメンバーが集まります。 『クリエイティブの3つの輪』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 糸井事務所の各プロジェクト、つまり、仕事には「動機」「実行」「集合」という3つの面があります。商品でも読み物でも、コンテンツと私たちがよんでるものは全部同じ仕組みで動いていて、これを「クリエイティブの3つの輪」と呼んでいます。 まず起点になるのが、「動機」です。自分がおもしろいと思う、心が動く、あるいは、違和感をもつ。そういうものを発見するところからすべてのコンテンツはスタートします。「実行」は、「動機」を形にする仕事。読み物なら原稿やページデザイン、商品ならデザインや生産など。外部のプロや企業と一緒に進めることも多いです。「集合」は、コンテンツをお客さまに渡して、いっしょに楽しんだり、やり取りしたりする仕事です。サイトを毎日更新し、読んでいただく。注文した商品を受け取って、使っていただく。メール、ツイッターで絶え間なく寄せていただくメッセージを読む。そもそも、お客さんを集める、というのも「集合」の重要な要素です。 私たちの仕事の特長は、この3つの仕事が互いにしっかりつながり、しかもひとりよがりにならずつねに社会に向かって開いている状態で、各プロジェクトがスピーディーに、かつ臨機応変に行き来していることです。たとえば、「集合」の仕事でお客さまからよい反応があれば「動機」は強くなります。もし、私たちの思いと違う反応がくれば、「動機」のところを見直したり、「実行」の進め方を変えたりできます。また、「実行」のところは、「動機」を漏らさず形にするよう直結していることがとても大事です。ですから、糸井事務所では「動機」を持った人と「実行」する人が共通する場合が多いです。非現実的な「動機」を「実行」に押しつけたりはしませんし、「実行」が行き詰まりそうなときは「動機」に立ち戻って優先順位を整理し、「実行」の規模や手法を変えたりもします。 糸井事務所は2012年12月に一橋大学が主催する「ポーター賞」(http://www.porterprize.org/)を受賞しました。「ポーター賞」とは、独自の考え方や仕組みをもって運営し、成功している事業に贈られている賞です。糸井事務所が価値を創造する考え方や仕組みについては、ポーター賞の受賞レポート(http://www.porterprize.org/pastwinner/2012/12/01120246.html)のほか、2011年のコンテンツ「Unusual」(http://www.1101.com/hubspot/index.html)の中でも少し説明しています。もしご興味があれば、そちらもぜひご覧ください。