読者の皆さん、こんにちは。Full Commit Partners のアソシエイトの藤田(たこみ)です。前回の高齢者向けサービス市場の現状という記事から間が空いてしまったのですが、今回は、前回5つに大別したサービスのうち、「入居型施設」と定義したサービス形態について詳しく述べていこうと思います。
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入居型施設とは、いわゆる老人ホームや介護施設のようなサービス形態であり、高齢者が実際にそこに定住又は長時間を過ごすことを前提としたものである。従来の高齢者向けサービスのイメージから近いようにも思えるが、近年既存のサービスに付加価値を付けた特徴的なものが多くみられるようになってきた。本日はそれらの新たな付加価値を持った入居型施設について紹介していく。
①アクティブシニアタウン(CCRC)
「CCRC」とは「Continuing Care Retirement Community」の略であり、直訳すると「継続的なケア付きの高齢者たちの共同体」となる。つまり、高齢者は健康なうちからこれら施設に入居し、終身で様々なサービスや介護を受けつつ、共同生活を送る。日本での先行事例としては、前回も具体例とした「スマートコミュニティ稲毛」があげられる。
アメリカで発祥したこの考えは、アメリカ国内ですでに広く広がっており、主に都市部を中心に約75万人が入居している。下図はその頒布の様子や人口を示している。
また地域活性化を目的とした、補助などを含む行政による様々な面からの後押しも想定できるため(前述の施設が位置する千葉市の市長が支持を表明している)、今後の発展が注目されるサービス形態であると結論付けられる。
②共生型入居施設
このサービスでは高齢者のうち、特に認知症を患った人たちを対象にしている。子供と高齢者の共生の環境を作ることで、認知症の進行を遅らせたり、生活面での充実度を挙げることができる。
先行事例としては「ユーカリ優都ぴあ」があげられ、この施設ではグループホームと呼ばれる高齢者のスペースと学童保育施設が共有されており、入居者と子供たちは共にそこで過ごしている。
孤独な高齢者の増加が懸念される世の中において、地域の学童施設を活用することで、入居者に子供との接点を提供できるというのは大きな利点であるといえ、今後の更なる発展が期待されるだろう。
③廃校利用による介護施設
上述2つの形態とは違う形ではあるが、これも近年活発になりつつある施設である。文部科学省が行っている「~未来につなごう~みんなの廃校プロジェクト」を活用したもので、老人福祉施設(老人デイサービスセンター、特別養護老人ホーム等)、障害者福祉施設(身体障害者デイサービスセンター、身体障害者療養施設等)に廃校した建物を活用する場合、その譲渡に係る納付金が無償になるなどの補助を受けることができる。
例えば北海道にある旧新冠町立東川小学校は、住宅型有料老人ホーム「おうるの郷」として改築され、住宅付きの介護施設として新たなスタートを切っている。
将来的に少子高齢化が進み、小学校の統廃合が進んでいくと予想される中、行政としても増加する高齢者の問題を解決する有効な手段としてこのようなシステムを重要視していると考えられる。行政からのバックアップを全面的に受けられる点について、参入の価値は大いにあると言えるだろう。
さて、今回は前回5つに大別したうちの1つ目である、入居型施設についてその内容を考察してきた。3つの種類のサービスすべてにおいて、今後の発展が大いに期待できると結論づけられたという意味で、改めて日本の高齢者サービスがいかにビジネスとしての可能性を内包しているのかを実感することができた。次回以降も様々なサービス形態を考察し、論を深めていきたいと思う。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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