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【VC インターンブログ Vol.8】海外有名VC紹介!GSR Ventures 徹底分析

 読者の皆様こんにちは。今回の海外有名VC紹介を担当している宮澤です。今までの記事ではアメリカのベンチャーを紹介してきましたが、タイトルを見ていただくとこのシリーズは”海外有名VC研究”で”アメリカ有名VC研究”ではないことにお気づきでしょうか。なので今回はいまアメリカの次にベンチャーが熱い中国のVCを紹介させていただきます。中国は個人的に興味のある地域なので張り切って紹介させていただきます!

 皆さんは、ベンチャーが発展している地域と聞くとすぐにアメリカが想い浮かぶであろう。しかし、中国のベンチャー業界もアメリカに負けじと発展しているのをご存知であろうか。そんな、今勢いのある中国発のVC、GSR Ventureを紹介して行こうと思う。

(コーポレイトサイトより引用)

企業概要


本拠地:北京、中国
ポートフォリオ:71社
投資実績:171社 (うちリードは43社)
2004年にRichard Lim氏とSonny Wuによって設立
有名投資先:DiDiなど総運用額:$2 billion (アメリカドルと中国人民元)
Exit数:9社

では、まずGSR Venturesが主な活動領域としている中国のベンチャー業界の実態とはどのようなものなのだろうか。下の図は中国のVC業界の成長を表す図である。少しデータが古いが中国のVCの数と投資資本額が右肩上がりなのが見て取れる。つまり、中国国内のVC業界がものすごい勢いで成長しているということだ。

           (株式会社三井物産、グローバル戦略部門のレポートより引用)

さらに、スタートアップやテクノロジーについての記事の多く紹介している、有名サイトTechChrunchでは「世界的に成長中のVCマーケット、主に中国が貢献」という記事まで書かれている。この記事によると、北京はサンフランシスコについで世界におけるベンチャーディールが多く結ばれている都市ランキングで2位なようだ。



そんな、ベンチャー業界急成長地域の中国で存在感を放っているのがGSR Veturesだ。CBINSIGHTSが発表している「2018 Top VC Partner Ranking」でGSR Venturesに所属するAllen Zhu氏は全体で47位中国のVCではSequoia Capital ChinaのNeil氏に次いで2位という成績を残している。

                  (CBINSIGHTSより引用)

確かに、全体で47位中国のVCで2位というのはあまりすごくないように聞こえる。
しかし、上位に有名なBenchmarkやAccelなどの超有名VCのキャピタリストが何名も名を連ねる中、47位というのはすごい功績なのではないだろうか。

 また中国で1位のNeil氏が所属している、Sequoia Capital Chinaは、前前々回紹介した国際型大規模ファンドのSequoia Capitalの子会社でSequoia Capitalの後ろ盾があるのに対し、GSR Venturesは完全に独立した正真正銘、中国発のVCである。
 しかもCBINSIGHTSが2016年に発表した、「2016 Best Chinese Venture Capital Firm」では、Sequoia Capital Chinaを抜いて1位になった経験すらある。これらの情報を踏まえるとGSR Venturesは中国を代表するVCであると言えるのではないだろうか。

GSR Venturesの投資傾向

 GSRが投資を行うセクターは大きく分類するとアーリーステージのテクノロジー関連企業だ。投資セクターをより細かくする為にコーポレイトサイトには、コンシューマー、エンタープライス、ヘルスケアと分類されている。

 また、GSR Venturesは、自分の事業を大きくすることに対して野心を持っている為、将来、より国際的に事業を発展させる目標のある企業に対して投資を行っているようだ。 事実、GSR Venturesがリードとして投資した中国で一位二位を争う中国版UberのDiDiがその一例として挙げられる。現在、その事業をどんどん広げ、日本では、DiDiモビリティージャパンとしてサービスを提供している。投資地域としては主に中国が多く、中国企業が8割を占めている。

投資の特徴

1.徹底的な国外意識
 上記に記した通り、GSR Venturesは事業の海外展開を目指す起業家に対して支援を行うことが多く、それを堂々とコーポレイトサイトで公表しているほど中国国外への意識が高い。
さらに現代段階では投資先の8割が中国企業だが、積極的にアメリカやシンガポールなどの地域での投資を積極的に行っている。その積極性は、本拠地北京以外にもシリコンバレーとシンガポールにオフィスを構えるほどだ。
この初期から大きいな目標を持つ姿勢がGSR Venturesの中国国内で実績に繋がっているのかもしれない。またメンバーのほとんどが留学の経験を持ち、海外展開に貢献している。
2.少数に対する長期的集中投資

 GSR Venturesのポートフォリオを見ると71社とあまり大きいものではない。しかし、彼らの総運用資産はアメリカの有名VCのBenchmarkと同額で$1.9 billionだ。
一つの特徴として、GSR Venturesが投資した企業の多くは、GSRから多額の投資を行ってもらっている。投資額の幅は公表されていないが、数10億〜数100億円の投資を頻繁に行っているのも事実だ。
さらに、長期的投資先をサポートしており、Exitの数はまだ9社しかない。本記事で一度紹介した、日本にも展開しているDiDiに対しても、既に初期投資を行っていながらも最近1.8兆円の投資を行っている。このように、DiDiは投資する企業を厳選しその企業に対して長期的に多額の投資を行っている特徴がある。

GSR Venturesが最近投資したベンチャー5社

(コーポレイトサイトより引用)

1.Huzan Social Retail (中国) $30 million→インターネット通販サイト用のドメインを提供するアプリを制作する企業

                 (コーポレイトサイトより引用)

2.Moka HR (中国) $26.8 million→企業用の人材確保のソフトウェアを開発、提供するSaaS企業

(コーポレイトサイトより引用)

3.Yunnex  (中国)$20 million→POS(points of sales)を提供してくれるマーケティングアプリの開発

                 (コーポレイトサイトより引用)

5.LinkedME (中国) 未公表→チャット形式でE-コマース連携アプリ、サイトへ飛ばずアプリ上でアクセスできるのが特徴


(コーポレイトサイトより引用)

6.Cherry Home (アメリカ) $5.2 million→AIを駆使したホームモニタリングソフトの開発を行っている企業

以上が今中国で注目すべきVCのGSR Venturesの紹介だ。
 現在、ベンチャーやVCと言えばアメリカのような風潮があるが、中国のようにベンチャー業界がどんどん成長している地域は他にもある。今後はそこにも注目してVCを紹介していければと思う。

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