皆さん、初めまして。Full Commit Partnersの杉崎と申します。季節はもうすっかり春らしくなり、私が通う大学のキャンパスでも桜がピークを迎えています。新年度を迎えるにあたり、理系大学生である私は、この4月から大学での研究プロジェクトに参加することになりました。ところで、大学で行われている研究から生まれるビジネスってどのくらいあるんでしょうか?というわけで、今回は国内の大学発ベンチャーを取り巻く現状について紹介していきたいと思います。
では早速見ていきましょう!!
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大学発ベンチャーとは
そもそも大学発ベンチャーとはどのような企業を指すのだろうか。大学の研究・開発された技術を生かしたビジネスを行っていることだろうか。経済産業省の調査では下記の5つの内1つ以上に当てはまる企業を大学発ベンチャーと定義している。
1. 研究成果ベンチャー︓⼤学で達成された研究成果に基づく特許や新たな技術・ビジネス⼿法を事業化する⽬的で新規に設⽴されたベンチャー
2. 共同研究ベンチャー︓創業者の持つ技術やノウハウを事業化するために、設⽴5年以内に⼤学と共同研究等を⾏ったベンチャー
3. 技術移転ベンチャー︓既存事業を維持・発展させるため、設⽴5年以内に⼤学から技術移転等を受けたベンチャー
4. 学⽣ベンチャー︓⼤学と深い関連のある学⽣ベンチャー
5. 関連ベンチャー︓⼤学からの出資がある等その他、⼤学と深い関連のあるベンチャー大学発ベンチャーの推移
大学発ベンチャーの設立数推移
経済産業省の2017年度大学発ベンチャー調査によると、平成30年3月時点で、存在する国内の大学発ベンチャーは2,093社。2016年度の調査結果1,846社から247社増加した。2003年にいわゆるバイオベンチャーブームが起こり、大学発ベンチャーの設立はピークを迎えて以降、その後数年間落ち込んでいたが、2015年以降は再び盛り上がりを見せていることが分かる。
大学発ベンチャーの設立数推移
経済産業省 産業技術環境局 H29年度産業技術調査 調査結果概要より
大学発ベンチャーの業種について
下の表を見たいただけるとお分かりいただけるだろうが、大学発のベンチャーとそうでないベンチャー企業を比較すると業種の偏りが大きく異なることが分かる。大学発ベンチャーの業種の特徴としてはバイオ・ヘルスケア分野(27.0%)が最も多く、環境・エネルギー分野(12.0%)が多くなっている。さらに大学発ベンチャーの中でもAI・IoT分野(36.8%)、ソフトウェア・アプリ(22.6%)は上の「大学発ベンチャーとは」で述べた4に該当し、学生ベンチャーの割合が他の分野より高くなっている。
大学発ベンチャーの関連技術分野
経済産業省 産業技術環境局 H29年度産業技術調査報告書より
ベンチャー企業の業種分布(大学発かは問わない)
一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター ベンチャー白書2017より
VC等からの資金提供以外の支援と効果
VCからの資⾦提供以外の⽀援としては、取締役としての経営陣への参⼊(68.6%)、資本政策に関する助⾔(64.9%)の項目で効果があったとの評価がされている。だが、経営陣や営業販売人材の紹介という項目では企業によって意見が分かれた。特に営業人材の確保というのは数多くの大学発ベンチャーが抱える問題であり、VC側はこれに対して有効な対策を打てているかどうか再確認する必要があるだろう。
VC による資金提供以外の経営支援の効果
経済産業省 産業技術環境局 H29年度産業技術調査報告書より
産学連携を推し進める政府の後押しや、VCの様々な取り組みによって大学発ベンチャーを取り巻く環境は確実に向上している。今後、ますます大学で行われている研究・開発に注目する必要性は高まり、次々とベンチャー企業が誕生していくだろう。
今回は、大学発ベンチャーを取り巻く現状について紹介したが、次回からは、注目すべき大学発ベンチャーを一つ一つピックアップして詳しく見ていきたいと思う。
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