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【VC インターンブログ Vol.5】海外有名VC研究!First Round Capital徹底分析

こんにちは、海外有名VCリサーチを担当している宮澤です。前回は、有名なSequoia Capitalを紹介させていただきましたが、今回は北アメリカ大陸を一気にまたいで、東海岸のフィラデルフィアに本拠地を置く First Round Capitalを紹介させていただきます。


とてもシンプルなロゴで現代的、今をときめくVCというイメージが漂っている。では、First Round Capitalの企業概要を見ていこう。

企業概要

本拠地:フィラデルフィア、ペンシルベニア州ポートフォリオ:364社投資実績:667社 (うちリードは100社)2004年にJoshua Kopelman氏によって設立有名投資先:UberやPinterestなど総運用額:$738 MillionExit数:129社

ここで「あれ、規模ちっちゃくない?本当にすごいVCなの」と思う人もいるだろう。では、First Round Capitalの実績を見てみよう。


(CBINSIGHTSより引用)

なんとFirst Round CapitalのJoshua Kopelman氏が2018年VC パートナーランキングで3位を獲得している。しかも、前回紹介した、有名ファンドSequoia Capitalのパートナーを押しのけての3位。
「規模が大きい→すごいVC」ではない事がよく実感できる。
実は、この小規模な投資範囲もFirst Round Capitalの特徴、強さなのだ。
では、早速そのFirst Round Capitalの投資傾向と特徴を紐解いていこう。

First Round Capitalの投資傾向

今回のFirst Round Capitalは前回のSequoia Capitalとは、一転して投資の範囲を比較的狭く設定している。
ポートフォリオを参照すると、カテゴリーはコンシューマー、Fintech、ヘルスケア、ハードウェア、エンタープライスと設定されていて、その投資先を細かく見ていくとテクノロジー技術をとおして各分野に関連している企業が多い事がわかる。
また、名前のFirst Roundでなんとなくわかるかもしれないが、シード段階の企業への投資を中心に行っている。この投資傾向がSequoia Capitalなどの大規模VCと比べてポートフォリオが小さい理由かもしれない。
以上の事を踏まえて、First Round Capitalの特徴をまとめて行こう。

First Round Capitalの特徴

1.早い段階から成長をサポート

First Round Capitalのコーポレイトサイトをみると最初に目に入るのが “We’re named First Round Capital for a reason”-「私たちがファーストラウンドキャピタルとの名乗るのには理由がある」。

そのあとに “NO idea is too early” - 「アイデアに早すぎるはない」とかなり早い段階からのサポートをアピールしているのがわかる。実際、直近に投資した数社を見てもほとんどがシードまたはシリーズAなのがわかる。

もう一つコーポレイトサイトで強調しているのが経済面以外でも成長をサポートするというところだ。 “We love rolling up our sleeves to help build from day one”-「私は、1日目からあなたのアイデアをサポートする為に腕幕をするのが大好きだ」。

その主なサポートとして挙げられているのが下の4つ。

①EVENT→起業家のための授業形式イベント(一部イベントはYoutubeにて見れる)

②Pitch Assist→事業説明のプレゼンや戦略決定まで事業が起動に乗るのをサポート

③Software & Data→First Round Networkを駆使して起業家は必要データやアドバイスを得る事ができる

④Talent→起業家は自社の人材確保、育成の手助けをFirst Round Capital
このような、サポートの厚さがFirst Round Capitalを世界のトップVCの一つにする要因かもしれない。

2.徹底的なアメリカ国内投資

最近の投資先の新たな分野としてアメリカ国外企業への投資がアメリカのVCで注目されている。
特に中国、インド、イスラエルは多くの有名VCが注目している地域でVCによっては、その地域にオフィスを設置しているVCも少なくない。

そんなVCの国際化が進む中、First Round Capitalは、投資する企業のほとんどをアメリカに限定している。これは、国際化をしてしまうとFirst Round Capitalの特徴である全力サポートができなくしまうことを懸念しているのだろう。

しかし、これは量より質の高いサポートを重視しているFirst Round Capitalらしさでもある。

3.社会性

アメリカのVCと聞くと硬くキビキビとしたイメージを持つ人が多いかもしれないが、First Round Capitalは人とのコネクションを重視しているVC。

特にコーポレートサイトにアップされているホリデービデオを見ていただくとわかるがとてもメンバー間の繋がりを大事にしている。また上の特徴で挙げたように起業家の為に定期的なイベントを開催しているのも起業家との関係性も重視しているからではないだろうか。

また、起業家以外にも学生との関係性も重視している。First Round Capitalは学生に対して “Dorm Room Fund”-「寮生部屋ファンド」を提供し、シード段階のまえでアイデアを形にできない学生に対して、ビジネスを立ち上げる支援を行っている。このファンドの運営は学生が中心に行っており、社会的意義が強い活動は、多くの人が持っているアメリカのVCのお硬いイメージを払拭するものだ。

上記の投資傾向と特徴から分析すると、First Round Capitalの大まかな全体像が見えてくるのはないだろうか。わかりやすいようにまとめると少人数のシード段階の起業家たちに対して全力でサポートを行うのがFirst Round Capitalだ。

では最後にFirst Round Capitalが投資した直近5社を確認して本記事を締めくくろう。First Round Capitalが認めるベンチャーなので要チェックかもしれない。
First Round Capitalが最近投資したベンチャー5社

(コーポレイトサイトより引用)

1.Tillable (アメリカ) $8.25 million→土地所有者と農家をつなげるプラットフォームを提供

(Chrunchbaseより引用)

2. Castle (スウェーデン)$11.7 million→アプリ上の詐欺やハックを検知し対処するソフトウェア

(コーポレイトサイトより引用)

3.Athenascope (アメリカ) $2.5 million→AIが自動でゲームプレーのハイライトを作成してくれるソフトウェア

(コーポレイトサイトよる引用)

4.Bowery (アメリカ) $91 million→自動で作物を収穫してくるインドアファーム

(コーポレイトサイトより引用)

5.Spring Discovery (アメリカ) $18 million→老化のシステムをAIによって解明してセラピーを行う


以上が2018 VCパートナーランキングで3位を獲得したJoshua Kopelman氏が立ち上げたFirst Round Capitalの分析だ。今回の研究で得た事は主に二つだ。

①VCは「大きく、国際的であること=良いVC」ではなく、小規模でも素晴らしい活動を行って起業家をサポートしているVCがある事。
②投資先を全力でサポートしていく事に対して重きを置いてる点ではFCPと類似点が感じられ、First Round Capitalの活動を参考にしていくべきという事。

以上の事を踏まえて今後も、様々なVCを研究していきたい。
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