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Adobe Symposium 2018 「アナリティクス」と「デザイン」を掛け合わせた、顧客体験最適化のアプローチ

プロフィール

保田 容之介

株式会社 Finatext クリエイティブディレクター。東京大学非常勤講師。

制作会社にてライブ映像やTVCM、大手メーカーの動画・Web制作等を手がけたのち、2014年よりFinatextに創業メンバーとして参画。

グラフィックデザインを背景にしたUI制作と定量定性両面からのUX設計を手がけ、動画、印刷媒体、3Dなども扱う。

2002年、2003年SKIPクリエイティブヒューマン大賞(高校生静止画部門)、2010年1ClickAward優秀賞(団体)。

榎本 拓郎

2013年慶応義塾大学商学部卒業、同年カカクコム入社。

マーケティング支援室にて価格.comや食べログなどのAdobe Analyticsでのアクセス解析を軸としたWebマーケティング支援に従事。

2015年から価格.com事業部に配属、サービスを横断したUI/UX・CVR改善を手掛けた後、

2017年にFinatextに入社。

Finatext group 概要


finatext

投資初心者向けには、投資についての情報交換をしながら投資を学ぶことができる投資コミュニティアプリの開発と運営

投資を始めている人向けには、ニュース記事やSNS等のテキスト情報を解析したセンチメントや、企業情報と株価情報を使用した株式投資のアルゴリズム等を提供。

グローバルに「ユニーク」なサービスを提供し、個々の投資家向けにカスタマイズできる金融「サービス」を作成。

nowcast

「ビッグデータ経済解析プラットフォーム」を展開しており、グローバルの経済指標や企業活動をより「正確に」かつ「リアルタイム」に配信するアナリティクスサービスをグローバルな金融機関(投資銀行、ヘッジファンド)、政府等に提供。

現在象徴的なプロダクトとして「日次物価指数 (日経CPI NOW)」、「リアルタイム上場企業売上高予測 (Firmsales Now)」、「リアルタイムの消費データ(JCB消費NOW)」があり、日銀の黒田総裁も日経CPINowを分析に活用するなど、金融業界や政策当局で広く活用るビッグデータのサービスを展開。

smartplus

ブローカレッジ、注文執行をプラットフォーム化する BaaS構想を基盤として、委託手数料のみに頼らない新たなビジネスモデルを創造し、Finatextの強みであるサービス開発を掛け合わせることで、個人投資家に新たな価値を提供する次世代証券サービスを展開。

2018年4月から、第一弾のモバイル株アプリとして「STREAM(ストリーム)」を事前登録 ユーザーの皆様へ提供し、近年急速に普及している「SNS を利用した投資情報の収集」という投資スタイルに特化した取引機能を提供。

STREAM

既存の証券アプリといえば、チャートが表示され、テクニカルな分析をして株を買うという流れが当たり前でしたが、STREAMでは、トップページに、ニュースや適時開示、掲示板のコメントが、タイムラインとして注目度順に表示されるようにしました。

投稿を押すと、銘柄に関する、チャートや、意見、ニュースなど、全ての情報が載ったページが表示され、その場で取引することが可能に。

また、特定の銘柄に関する意見交換や情報交換の場として掲示板と呼ばれる、コミュニティーを軸とした、SNS機能を搭載したページを提供しています。

今までは、1人で、PCで株の勉強をして、銘柄を探さなければいけなかったものが、STREAMを利用することで、銘柄がタイムラインで見つかり、みんなで、スマホだけで取引を可能にし、株が自然と分かる形を構築しました。

FINATEXTのPDCAの仕組み

Finatextでは、「分析、企画、デザイン、開発」の流れでPDCAを回し、企画は榎本、デザインは保田が、開発に関しては全て内製で行なっています。

スタートアップでは「0から1」でモノを作る際に100%のクオリティを求めてサービスを世の中に出すとスピード感が欠かれてしまう場合があります。そのため我々はまずは70%のクオリティを目安にサービスをリリースしています。

世の中に出した後、100%のクオリティまで作り上げるために、プライオリティの高い施策を、スピーディーに、高いクオリティで実現して事業を成長させていくことに注力しています。

「プライオリティの高い施策を」、「スピーディーに」、「高いクオリティで」という3つの観点から、アナリティクスやAdobe CCのXDというツールの使い方について解説します。

Adobe導入前のsmartplusでの課題

1.分析企画

Adobeを導入していなかった当初、データソースが非常に分散していました。また、計測ツールが異なると計測ロジックも異なってきます。

そうすると計測する数字も自然とブレますよね。私自身、STREAMをリリースした当初、解析ツール何も導入せずに、サーバーでダウンロード数と口座開設数を確認していました。その時は欲しいデータがありませんでした。

2.施策

データソースが分散しているために、サービス全体のKPIツリーを俯瞰するのが困難でした。どの施策を打てば、目標のKPIがどのように変わるのかが分からず、施策の優先順位付けができなかったのです。

3.企画からデザイン

担当者によって、ワイヤーフレームが違い、クオリティがバラバラで、デザイナーに申し送りをした際にどう作れば良いのか分からずに、スピードや質が欠如しているのが見受けられます。また、ワイヤーフレームツールとデザイン作成ツールが分離していた時はUI/UXを考慮していない、再現性の低いワイヤーフレームがあったりと、非常に遅いスピードで企画を進めていました。

また、プロトタイピングで一般的な資料作成ソフト(パワーポイント等)を使用するとサービスを俯瞰的に見ることができずに、サービスの挙動が想定しづらかった。

4.共有

チーム内やクライアントにデザインが完成した際に共有すると思うんですが、画像ファイルですと、データが膨大で困難だったりします。

また、画像ファイルですと、フィードバックする際に、マージンや色、フォントサイズなど、毎回仕様書を提出する工数がかかります。

5.効果検証

入社した当初、レポートが存在せず、驚きました。stock型でのデータ蓄積とレポーティングとspot型の調査の使い分けができておらず、トレンドや外部要因を把握しないまま場当たり的に効果検証を行うため、効果がわかりにくかったです。 

実際Adobeをどう役立てたか

AdobeXD

XDとは、プロトタイピングができるソフトで、アプリの施策の際に、ユーザーストーリーに漏れがないかの確認、そしてUI/UXのエラーがないかを確認することができます。

また、レギュレーションの統一をしながら、ある程度のクオリティのデザイン製作も可能になっています。そして、共有もURLで連携でき、他のAdobeソフトとの親和性も高いので、オペレーションも迅速にできます。

XDはデザイナーではない人でも簡単に扱えるソフトですので、エンジニアや企画でも使用することが可能になっています。

Adobe Analytics

Adobe Analyticsとは、設計の自由度の高さと正確性とUI/UX改善からCVR改善でき、広告効果測定まで、幅広い活用法データドリブンで高速なPDCAを回すための優れた拡張性を持っています。

また、Adobe Analyticsでは、ユーザーの流入獲得経路、属性情報、アクションが分析可能になっています。

Adobe導入での変化

1.分析企画→施策

先ほども言ったようにAdobeでは、自由度の高い設計から、大量のデータをどのように分析するか、また施策に活用するのかを考慮した初期設計ができるようになり、事業部と連携した、PDCAのフレームワークを作成できるようになりました。

このPDCAの中で、初期設定がズレると全てがずれてしまうので、大量のデータをどの切り口でみるかというところが一番大事になってきます。

弊社では「社員全員がグロースハッカーになろう」を掲げています。弊社は証券会社ですので、データ関連の知識に弱い傾向にあります。しかし、データを扱える人間がレポートとして共有することで、全員が数字を読み、企画設計の部署だけではなく、証券のスペシャリストまでもがサービスの設計に携わることが可能になりました。

具体的な数字を読むことが可能になったことで、どの施策を打てばどの数字が変化するかというところが明確にわかるようになり、出来上がったフレームワークや仕様をXDを使うことで、スピーディーにデザイナーに申し送りすることができるようになりました。

2.企画からデザイン→共有

フォーマットを統一したことにより、再現性の高いUI/UXを考慮したワイヤーフレーム作成が可能になりました。また、大枠のプロトタイプ作成が可能なため、デザインとコーディングを並行して進めることができるようになったので、非常にスピーディーに作業ができるようになりました。

そして、出来上がったものをチームやクライアントにURLで共有できるためフィードバックもスピーディーにできるようになり、これによって、プライオリティの判断や質の向上が可能になりました。

XDは物理的な処理速度も早く、そして他のプロトタイピングツールと異なり慣れ親しんだAdobeと操作感が同じなので業務効率も上がります。

そして全体のデザインを俯瞰で見れるのでレギュレーションを取ることが容易にできるようになりました。

3.効果検証

今までは場当たり的な効果検証だったのがデータが取れるようになったので、中長期的な分析効果検証が可能になりました。

また、AnalyticsはXDと違って玄人向けというところがあります。ですので、ディレクター等がレポートとして数字をまとめることで、各部門のスペシャリストがそれを見て、行動できるようになりました。

スタートアップの企業にとって環境を構築して、データ解析を内製化することはなかなか容易ではないことです。Adobeを導入することで基盤を作ることが可能になっています。


まとめ

このようにAdobe Analytics、XD を導入することによって、社内全体の情報共有がスピーディーになり、よりPDCAを正確に円滑にすることができ、「プライオリティの高い施策を」、「スピーディーに」、「高いクオリティで」という3点を実現可能になりました。

株式会社Finatextホールディングスでは一緒に働く仲間を募集しています
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