Farmnote は 2013 年の暮れにはじまりました. その頃のことは話には聞くものの,実際には目にしていないのでうまく書けません. そのうちそれを体験していた別の誰かが書いてくれるでしょう.
私が Farmnote に入ったのは 2014 年の 5 月, twitter で誰かが Farmnote の URL を投稿し,それを偶然目にしたことがきっかけでした.
かつて,今は料理レシピサービスでとても有名な会社がまだ今ほど有名ではなかったころ,その会社の求人を目にする機会がありました. その会社で必要となるような技術スキルと,私が持ち合わせていて伸ばしたいと考えていた技術スキルは似た方向を向いていたと思います. にもかかわらず,当時の私は応募を見送ってしまったのでした. 当時の私にはビジネスのことを想像する能力が足りず, その後あれほど多くの人に利用され,利用によって面白そうな課題が多く生まれ,どんどん解決していっても課題が尽きない という夢のような状態になることを想像できなかったためです.
そのことを反省していた私は,技術のことをやるためにはビジネスのことも知らないと身の置きどころを定められないと知り, 地方に住みたいプログラマ/エンジニアがこの先生きのこるためには
- 地方に住むことが強みとなる
- 規模の大きい市場である/育つ可能性がある
- 市場占有率(シェア)を高く保てる
という 3 つの条件に合うようなビジネスを志すところで,技術的な課題を解決するのがいいんじゃないかなと思うようになりました.
Web サイトに書かれている内容や,面接で聞いた話からは,Farmnote はこの条件に合うように私には思えました. ただし,実際のところそれらが実現可能なことなのか,絵に書いた餅にすぎないのかは私にはわかりませんでした. ビジネスの実現可能性について判断がつかなくて迷うところもありましたが,そこはうまくいくほうに賭けてみることにしました.
2017 年の 1 月下旬にこの記事を書いています.Farmnote に入ってから 3 年弱経ちました. 今の私から見える,この会社の状況を書きますね.
当初,私にとっては,ビジネスの構想は疑いようなく素晴しいものの,実現可能性については不明瞭だったと書きました. まだ結論は出ていないですけど,当初に比べて実現可能性はかなり高まっていると感じます. 多くの人に利用され,利用によって面白そうな課題が多く生まれ,どんどん解決していっても課題が尽きないサービスになれそうです.
書いてきたコードやデータ構造は,そのときそのときの知識と時間という制約の中では最善を尽くしたと思いますけど,今見るとスムーズでないところもあります. 「それを知る人がだれもいなくなった」「当時の経緯を知る人がいない」といったことはまだないので,今のうちならまだ直したり入れ替えられると考えています.
最初に着手したソフトウェア開発だけでなく,ハードウェア開発やデータ解析までやる会社になり,実際に Farmnote Color というブランド名で販売して受け入れられはじめています. Production Ready なハードウェアを開発・販売している人が隣に座っているような経験は今までなかったのでおもしろいです.
最近,チームへと大幅に権限が移譲されました.お金もある程度揃いました. 理想的な開発をして課題の解決の速度を上げて貢献したいのだけど,制約が厳しいために理想を一時的にあきらめて,現実に即した対処をすることありませんか. そのとき「xxがなければもっと開発効率上げられるんだけどなあ」と思いませんか.
今 Farmnote ではそういった開発に対する制約がどんどん減っていっている状況にいると感じていて,楽しみでありながらも怖いです. いままでは課題解決の速度が上がらないことに対して,外部要因による理由づけが可能だったのですけど,最近それらがなくなってしまいました. 制約が少ないなか,どれだけ課題解決の速度を上げられるか,それは外部環境ではなく私の能力がより大きく問われる状況に身を置いていることになります. もし挑戦してうまくいかなかったら,制約条件がなければできるとずっと思っていたことが,単に私の実力不足にすぎなかったと判明するからです.
タイトルにした「ちょっと本気出してくるわ」というのは,Farmnote に入るときプログラマ仲間が開いてくれた壮行会で私が言いました. ちょっとかっこつけすぎました. 実際のところは,本気を出し続けるという能力も実力のうちだと考えているので,本気を出せないことがあるのは,単に能力が足りないせいだとはわかっています.たぶん…… わかっているのと,できる,やり続けられる,というそれぞれの段階は結構な乖離があり,それをクリアしていくの大変じゃないですか.私は今も苦労しています. でもこの挑戦は,Farmnote にとっても私にとっても本気を出して取り組むだけの価値のある挑戦になると感じています.
この文章を読んでいるあなたも,もし挑戦したいと感じたならば一緒に取り組んでみませんか.