なにをやっているのか
NPO法人親子の未来を支える会では現在、胎児診断によって障がいがあると診断された妊婦さんの意思決定とメンタルケアの場を提供しています。
たとえば、妊娠中の胎児がダウン症候群(21トリソミー)であると診断された妊婦さんが、ダウン症のある子を育てる家族や、ダウン症と診断され、妊娠を継続するorしないの選択をしようとするとき、その家族や専門家とコミュニケーションを取る仕組みを提供していきます。
理想の相談の仕方は「直接会って話をする」ですが、そこまで辿り着かずに、一人で悩む方がいるのも事実です。そんな方に、ピアサポートの機会を提供するために当システムを立ち上げました。
インターネットを通じてピアサポートを行うことで、より多様な意見を聞けることや、気軽にアクセスできるため中絶を選択する前に意見を聞けること、希少疾患やより具体的な疾患についてのピアサポートもできることを目標としています。
その他にも、これまでに
・障がいとは何か?を考えるワークショップ
・当事者の生活をもっと知ろう!という医療者向けの講演
・胎児診断をなんのためにするのか?を考えるワークショップ
などを行ってきました。
なぜやるのか
出生前検査の際に、病院でも、検査の意義や病気の説明などを行っています。しかし、その子と過ごす生活に関する実体験や、行政サポート、周囲からのサポートなど、よりリアルな説明は医療者には不可能だと実感しています。患者家族とのコネクション作りが必須だが、そこには個人情報などのハードルがあり困難です。それを解決する手法として、オンライン上のコミュニティー作りを行っています。
産婦人科日常診療において、胎児異常を疑い・説明する場面は多々ありますが、産んだ場合にどのような社会的サポートを得られるのかなどについて十分説明できておりません。
例えば、ダウン症の出生前診断を行う際に、「羊水検査の方法やリスク」「新型出生前検査の方法や特徴」「ダウン症の原因・予後・治療法」を説明することも大切ですが、産んだ場合にどのような生活(子育て・教育・自立支援・結婚・妊娠…)を送るのかも、親にとって必要な情報なのではないかと考えています。
そして、「それでも産みたい!」と判断するには、障がい者への支援を十分にできる社会が必要だと考えます。新型出生前検査(NIPT)が始まり、陽性症例の中絶率の高さが問題となっています。「中絶が多いこと」は確かに問題であり、カウンセリングの重要性を痛感しておりますが、その根本にある「産めない社会」が一番の問題だと考えております。
どうやっているのか
ピアサポートアプリのモックアップイメージ
ピアサポートアプリの仕組み概要
ITクリエイター・医療者・患者家族とでコミュニケーションを重ね、妊婦家族と患者家族とが助け合える仕組みを構築しています。
妊婦家族が、「家族にとってなにがベストな選択なのか」を考え選択をできるようサポートすることを目的としています。
2013年に、日本では「新型出生前検査」が開始され、導入から1年で8,000人近くの妊婦が検査を受けました。
日本では、病気を理由に中絶は認められていませんが、検査結果をもとにおよそ9割の方が中絶を選択されています。
医療機関の現場では、カウンセリングが十分でない、障がいのある子どもを産んだ場合将来どうなるのか説明できない、といった声が上がっています。
「第22回 千葉県周産期新生児研究会」にて、
・産む産まないを決める場面に立ち会う者として、「病気のリアル」を知る責任があること
・そのためには家族会との繋がりが非常に重要であること
・周産期に関わる者と家族会とのつながりは薄く、日常生活について知識不足であること
を問題提起いたしました。
それらを解決する仕組みとして、「オンラインピアサポートシステム」を提案したところ、8割の医療者が必要性を感じると回答しました。
http://www.fab-support.org/posts/87246
そういった背景のもと、私たちは、一緒に開発を取り組んでいける仲間を募集しています。