S|スクリプター・シナリオライター|2021年f4samurai新卒入社
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H|プランナー|2022年f4samurai新卒入社
学生時代に漫画原作者としてデビュー
そのきっかけとは
――「Sさんは学生時代に書いていた小説が書籍化されています。小説を創作し始めたきっかけや出版に至る経緯はどういったものでしょう」
S「小説はずっと前から書いていて、ちゃんと長編を書けたのは高校生です。それ以前からも散文というか落書きのようなものは中学生くらいから書いていました。物語は子どもの頃から大好きで、気が付いたら書いていたという感じです。
書籍化された作品については、当時の大学院で研究していた内容で面白いお話が作れるんじゃないかと思って、それを形にしたんです。小説の投稿サイトで定期的に連載していたのですが、コンテストで最終選考まで残って。結局は受賞に至らなかったんですが、コンテストが終わった後に出版社の方からコミカライズ化のお誘いをいただきました。大学院でバリバリに研究していた頃です」
H「かなり前からお話を書いていたんですね。好きなことでもずっと続けるのは簡単なことじゃないですよね。さらに書籍化したっていう実績が本当に凄いな、って思いました…!
大学院ではどんなことをされていたのですか?」
S「タンパク質の挙動をシミュレーションする研究を行っていました。もう、本当に興味ですね。後学的にとか、役に立ちそうというよりかは単純に知的好奇心から研究していました。
そして研究するからには当然発表の場があるんですけれど、そこでちゃんとしたストーリーラインに沿って発表しなければならなくて。なぜ研究を始めたか、どういうことを研究したのか、その結果がどうなって、次になにが必要なのかという内容を、ある種のストーリーに乗せて皆さんに納得してもらう場があるんですよ。発表という場に関してはずっと物語を作ってきていたので同期と比べると、魅せ方や伝え方という分野において多少長けていたかもしれません。『多少』ですよ(笑)」
本当に好きなことを仕事にしたい
f4samurai入社の経緯
――理系専攻のSさんはどんな就活をしていましたか?
S「僕の場合だと、基本的にお話を書きたいというところが最初にありました。そこでお話を書ける仕事は?となった時にゲームのシナリオライターだなと。でも、大学時代の同期はエンジニアやプログラマーとして就職する方が半分くらい、残りはメーカーの研究職やそのまま大学に残るといった感じだったのでかなり異色な就活でした。実際、ゲーム会社の選考に進んで感じたことは国立大学の文学部所属の方が多くいらっしゃり理系所属の僕は不利なのかもしれないということです。それにf4でグループ面接を受けた際に、ゲーム制作サークルに所属している方がいらっしゃって。そういった状況の中で、周りに比べて自分にはどんな強みがあるのか考えました。クリエイター志望である以上、クリエイトしているのは当たり前で、そこからさらに踏み込んで。自分の場合は研究発表の過程で培ったプレゼン力や、漫画原作を担当している点を強みとしてアピールしていくようにしました」
H「周りと違う進路を選ぶって勇気いりますよね。絶対にシナリオに携わりたい!っていう想いがあったからこその決断なのかなと思いました。ゲーム会社ってたくさんありますよね。私も就活の中でさまざまな会社を調べ、実際に見に行ったのを覚えています。Sさんはなぜf4を選んだのですか?」
S「僕の場合はシナリオ創りを軸に企業は選びました。マギレコ(マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝)では変身アニメや、キャラデザの作家さんが原作と同じ。原作視聴者も楽しめるような作りになっているな、と思っていました。携わるIPに敬意とこだわりを持って、大切に表現しようとしているところがf4の強みですよね。そして、作品からは世界観の作りこみにこだわりを感じました。読み応えのあるメインストーリー、バラエティ豊かなイベントストーリー、愛着がわくキャラクターストーリーなど他社タイトルと比べて圧倒的なテキストボリュームで世界観を構成していてここでシナリオライターになりたい、と思いました」
H「そうなんですね!私も近しい理由で、就活を始める前からf4のゲームには触れていて、IPを魅力的にゲームに落とし込む力やシナリオを重視している点が他社と比べて良くて…私もSさんと同様に物語に関わる仕事をしたいって思っていたので自分に合うなと思いました」
シナリオライターとスクリプター
仕事として物語に向き合って初めて気付いたその苦労
――Sさんは役員やシナリオチームのリーダーと近い距離で仕事していますが、どんな業務を担当していますか?また大きく成長したなと感じる出来事を教えてください。
S「僕の業務の中で比重が大きいのはスクリプトです。入社して1年が経つころ自分が配属されたタイトルのスクリプトチームのリーダーに抜擢されました。メンバーは自分含めて3名です。スクリプトがどういったものかを説明しますと、キャラクターのセリフに合った表情や動きをつける仕事ですね。例えばギャグシーンを作る場合は、騒がしいBGM、画面を揺らしたり、テキストを大きくしたりするとかシナリオに演出を加えていって、より臨場感のあるストーリーパートに仕上げていきます。テキストだけでは味わえないリッチな演出に仕上げていく過程がクリエイティブで面白いです。自分が作ったシーンを見たユーザーさんがSNSでこのシーンで泣かされたとコメントしているのを見たことがあり自分も感動しました。
大きく成長したタイミングについてリーダーになった矢先に、ボリュームのあるゲーム内イベントの開発が始まりました。スケジュールがぎりぎりでかなり焦っていたところ、シナリオライターチームのリーダーのMさんに相談したらタスクを定量化して工数見直しすることをアドバイスされ、間に合わせることができました。業務を定量的に見ることが大事だと気付いたことは、大きなターニングポイントになりました」
H「スクリプトを担当する中で、初めてユーザーさんの反応に触れた時は感動しました。私はSさんの話しにあった物事を定量的に見ていくことがいま出来ていなくて、スケジュール管理が甘い部分があります。この作業にどのくらいの時間がかかるのか?先輩はどのくらい時間がかかって、その差分はなんなのか?といった基本的な自分の能力を把握できるようになりたいです。Sさんはシナリオも担当していると思いますがそちらについても教えてください」
S「はい、シナリオやホーム画面で流れるキャラクターのセリフなんかを作っています。自分が書いた物語にフィードバックを頂くのは初めての経験でした。これまでは一人でやっていたので、面白さというものも漠然としていたんですけれども、それを明確に言語化してCMO兼プロデューサーの佐藤さんやシナリオライターチームリーダーのMさんに伝える点は相当苦労しました。その中でも特に印象に残っているのが、ユーザー目線を強く意識したフィードバックを多くいただいた点です。ひとりで書いていた頃は、「なにを書きたいのか」「どういう面白さを伝えたいか」と自分発信だったのですが、ゲームシナリオではユーザーさんがどう受け止め、感じるかというところを意識して書かないといけないです。どう楽しんでもらえるのか、どうすれば面白いと思ってもらえるのかという視点がまず足りていなかった。それまでフワフワしていた面白さの作り方みたいなものを、ユーザーさん起点で論理的につなげていく難しさを学びました」
H「Sさんの話しにあった面白さを言語化すること、ユーザーさんに楽しいと思ってもらえるようなアウトプットをすることってとても難しいな…と私も日々感じています」S「そうですね。基本的に『なぜ書くのか』Hさんなら『なぜつくるのか』といったところで、まずユーザーさんのことを想像するというのは重要です。フィードバックの理由もすべてはユーザーさんに楽しんでもらうため、という柱があると伝える側も受け止める側もブレないというか。ユーザーさんがどういうストーリーを読みたいのか。どういったストーリー展開なら喜んでくれるのか。ユーザーさんが想定していない意外性も含めて、そういったところから逆算してシナリオを作るというような視点は1年目で勉強させてもらいました」
大学院での研究とゲーム開発の仕事
無関係に思えるこのふたつの、意外な類似性
――先ほど「就活の時は不利だと感じていた」とお話もありましたが、いまでは所属タイトルのスクリプトリーダーにも抜擢されてとても活躍していますね。
S「ありがとうございます。周りのみなさんのサポートあってこそのことです。
大学院で研究した経験も活かせている部分があり、研究の成果を他の人に自分の言葉で伝えるプレゼンの経験。これは例えば、イベントの立て付け、シナリオ組み立て、興味を引くポイントを試されるところが上記経験に通じるところがあります」
H「なるほど、これまでの経験を活かしているんですね。他にもSさんの強みを発揮して仕事をしているエピソードを教えていただきたいです」
S「僕自身が強みを発揮している部分として、シナリオライターの目線でスクリプトを作れるところです。シナリオ中の話運びの意図や、キャラクターの心情について理解できるため、それらを引き立たせるような演出をスクリプトで作ることができるし、そこに対する思い入れも強いです。結果として、良いコンテンツを作る一端を担えているかなと。それとf4は割とチームごとに裁量がある会社なのかなと思いまして。自分は今スクリプトチームのタスク管理方法や動き方を一任していただいています。タスク管理に関しては大学院時代から個人で管理していて、例えば数か月先だけど重いタスクは早めに着手したり、直近だけど軽いタスクは後回しにしたりといった感じです。緊急度とタスクの重さの二つの軸で考えてそれが複雑に絡み合うこともありますが、それはパズルのような感覚で管理を楽しんでいます(笑)」
H「パズルですか、すごいですね(笑)計画を立ててタスクを管理することが苦手なので勉強になります。Sさんのように楽しんで出来るくらいの余裕をもてるようにならないと……」
まだ見ぬ5年後の未来
今後身に着けるべき“力”とは
――最後にいま目指していること、これから頑張りたいことを教えてください
S「先ほどタスク定量化の話をしましたが、それを自分だけではなく他の人も定量化することでチーム全体としてどうスクリプトを進めていくか工夫しています。また、自分自身だけではなくチーム全体を俯瞰的に見る視点も身に着けたいです。シナリオライターとしてはプロジェクトの立ち上げ段階から、世界観やシナリオの根幹に携われるようになりたくて、書く能力はもちろん面白さやシナリオの流れを言語化し相手に伝わるところまで落とし込む力を今後磨いていけたらなと思っています。
さらにチームを動かす力、伝える力は必要かなと感じています。最終的に、作品創りの根幹にかかわる立場を目指そうと思うとシナリオだけでやっていくのは不可能であると思っているので、チームリーダーとしての経験を伸ばして全体を見渡す視点を養いつつ、ユーザーさんに楽しい作品を届けられるクリエイターになりたいです」
H「自分の理想像に対して、必要な力をすでに逆算されていて流石だなと思いました。私もユーザーさんに楽しい体験を届けるために、自分に必要なスキルを身につけながら成長していきたいと思いました。まずは定量的に自分のタスクを分解できるようになりたいです。貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました!」