米朝首脳会談の舞台となり一躍世界中から注目を集めるベトナムですが、せっかくなので実際に7年間の経験からベトナムがなぜ今熱いのか、日本との相性はどうなのという気になるところを書いてみました。
2011年にソルテックベトナム社を代表として立上げ、翌年2012年にEvolable Asiaを創業ファウンダーとして立上げて累計で7年間で2000人以上のベトナム人を代表として雇用してきました。
そんなベトナムでの経営から垣間見える今なぜベトナムが熱いのか?
日本からベトナムに「張る」べき理由は何か?
について本当は教えたくない本音ベースを含めてお伝えできればと思います。
1.ベトナムの成長性とその背景
2.日本人が張るべき理由
この2つについて書いていきたいと思います。
1.ベトナムの成長性とその背景
まずは定量的に語られる数字であるGDPの伸び率をみていきたいと思います。
2018年のベトナムの実質GDP成長率は7.1%でここ10年間で過去最高です。
ちなみに2008年から2018年の実質GDP成長率は下記のような推移になっています。
5.7%、5.4%、6.4%、6.2%、5.3%、5.4%、6.0%、6.7%、6.2%、6.8%、7.1%
つまり過去10年間、5.3%以上の連続成長を続けており、ここ5年は6%以上の連続成長を続けている中での2018年の7.1%はまさに驚異的かつ底堅い成長率を表す定量的指標と言えます。
この成長性の高さは新興国の中でもトップクラスと言うことが出来ると思います。
そして数字が実感値が伴っているかという点については、7年間ベトナムで暮らしてきて、その街並みの変化、自社の従業員の給与水準、経済状況の変化などを鑑みると非常に実感のある成長になっています。
少なくともベトナム政府の大本営発表ということはないと断言できます。
ではその背景にはどんな要因があるのか私見を述べさせて頂きますと「政治」と「人材」に尽きると思います。
まず、政治からですが多くの人が社会主義国、共産党一党独裁のイメージと政治がいいということにギャップを感じると思います。
しかし、ここでの政治がいいという定義は国家の発展に対して合理的選択が取られているかという点について指しています。わかりやすい例をあげればシンガポールは実質上の独裁政権で「明るい北朝鮮」と揶揄されることもありますが、その発展はまさしく合理的選択を政治が実行し続けてきたことが背景にあります。
今回の米朝首脳会談の場所がハノイになったことも持ち前のベトナムの外交力によるものの一端と言えます。外交についていえば、どこかの大国によることなく等距離外交をすることによってベトナムへのリターンを最大化していますし、税制なども運用面での不具合はあるものの体系は国家発展に非常に目的合理的に創られています。
それらの事実は客観的に踏まえた上で、共産党での安定的な政治体制は経済発展の背景の一つになっていると考えています。
次に人材ですが、こちらも定量的な指標がはっきりとあります。
あらゆる産業に対しての基本となる基礎学力の高さですが、PISA(国際学力調査)でOECD加盟国の中で15歳時点での各国の学力調査比較結果が見れます。
数学、科学、読解力の3つのテストで比較されますが、ベトナムはその総合点数で最新の2018年の調査結果で70カ国中22位に位置しています。
ちなみに一位のシンガポールは551.7点、最下位のドミニカ共和国は339.3点、日本は3位で528.7点、ベトナムは502.3点です。
参考までに東南アジアの他国でいえば、タイが415.0点、インドネシアが395.3点です。
ちなみに上位50カ国のうちでベトナムよりも一人当たりGDPが低い国はありません。
つまり経済発展度に対してベトナムの学力水準は突出して高く、先進国水準といって差し支えのない学力水準を誇ります。(元データは下記サイトを参照ください。)
http://factsmaps.com/pisa-worldwide-ranking-average-score-of-math-science-reading/
もう一つはメンタリティでベトナムは儒教、大乗仏教の文化を唯一東アジア以外の国で源流として持っています。そして、それが日本や韓国、台湾、中国(文化大革命の影響で失われてしまった部分もあると感じていますが)といった東アジアの国に見られる勤勉性に通じるものがあります。
ではこれは実感値としてはどうかいうとソルテックベトナムでは製造・工事業を行っていて、エボラブルアジアではソフトウェア開発やデジタルワーク全般を行っているのですが、職種によらず基本的な能力の高さと勤勉さを感じています。それはもちろんその母集団の中でもより優秀な人を集められるように経営努力していることが前提なのですが、我々の企業レベルでは日本では採用が難しいレベルの人材も多数採用することに成功できました。
また勤勉性を端的に表す指標としてはソルテックベトナムもエボラブルアジアも8時始業ですが、勤怠も高い水準で守られています。特にIT業界については日本でも考えられない勤務体系と言えると思います。
人材に関していうと加えて、専門教育も大学から専門学校まで実践的な教育が充実しており、国外の大学に留学する人材も年々増加しており先進国と比較してもトップクラスと呼べる人材も存在しております。
長くなって来たので、2の日本が張るべき理由は別途書かせてもらおうと思います。
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