※この記事は、株式会社エブリーのオウンドメディア「every.thing」にて2021年12月1日に更新されたものです。(https://everything.every.tv/20211201/)
吉田 大成
代表取締役 社長 CEO
2005年、ヤフー株式会社に入社。 2006年10月、グリー株式会社に入社し、2010年12月から同社執行役員、 2012年9月 同社 取締役執行役員常務に就任し、日本事業全体を統括。 2015年9月 株式会社エブリーを創業。 2017年、Forbesによる「Forbes JAPAN 日本の起業家ランキング2018 ライジングスターアワード」第1位を受賞。「DELISH KITCHEN」がApp Store・Google Play共に「BEST OF 2017」に選ばれたこの年、エブリーとしても「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2017 企業部門 300名未満の部」を受賞。また、「2018日本アドバタイザーズ協会 2017 Webグランプリ Web人賞」受賞。
2021年12月1日よりエブリーはコーポレートアイデンティティを刷新し、新たに「パーパス/ミッション/バリュー(Purpose/Mission/Values)」を制定しました。併せてコーポレートロゴ、コーポレートサイトもリニューアルし、本日より公開しています。 なぜこのタイミングで?なぜ「パーパス」なの?今回エブリーの目指す世界を改めて策定することになった背景を代表の吉田に聞きました。
※以下、パーパス/ミッション/バリュー(Purpose/Mission/Values)を略して、PMVと記載しています。
創業当時の思いとは
ー今回、なぜ会社として目指す方針の策定に踏み込んだのか聞いていきたいと思いますが、まずは創業期に策定したミッションについて、どんな思いで作られたのでしょうか?
吉田:このミッションを策定したのは正社員がたぶん5,6人くらいでインターン生が10人くらいの本当に創業間もない時期ですね。『DELISH KITCHEN』をSNSで運用しはじめると「自分でもできた」「料理の楽しさを思い出した」など多くのフィードバックをいただき、我々がやろうとしていることはユーザーさんの生活に対して良い影響を与えられていると実感しました。ミッションであった「動画を通じてもっと楽しく、もっと充実した毎日に」は、その時感じたことをそのまま言葉にしたものです。補足部分については、自分自身が創業した経緯やその時の思いを言語化したものになっています。
当時は、動画メディアに対して注目が集まっていた時期でもありましたが、このミッションに込めた私の思いとエブリーとしての強みに共感して投資していただいたり入社を決めてくれたり、本当に多くの方に集まっていただいたと思っています。
ーこのミッションには、多くの企業で設定されているバリューがないですよね…
吉田:そうですね。ミッションは決まっていたんですが、最初のうちはバリューは定義しないことに決めていました。
もちろんパターンは会社それぞれだと思っています。エブリーの創業当時考えていたことは2点あり、1点目はミッションとバリューが最初から決まりすぎることによって、事業のピボットをしなければならない時に足かせになってしまうことを避けたかったということですね。兎にも角にも、事業をある程度軌道に乗せることを優先していたという事が大きいです。
もう1つは、誰かが決めた言葉ではなく、集まった仲間が実際にユーザーさんやクライアントと向き合う中でどうするべきか考え、そこで得た失敗・成功体験を元にバリューとして言語化していった方が長く愛されるバリューになるだろうと思っていたからですね。
長く愛され浸透するPMVを作りたい
ーそうだったんですね。PMVを改めて策定しようと思ったきっかけは何だったんでしょうか?
吉田:実は2年くらい前、従業員数が300人くらいになってきたタイミングでどういった働き方を求められているのか、どんな人が評価されるのかやはり言語化していく必要性があると認識していました。創業期からのメンバーもいれば新しく入社された方もいて、なんとなく同じことを考えているんだけれどもそれが本当に合っているのか、不安になる人も増えてきた状態だったと思っています。ただ、当時は自分で作らなければいけないと思ってたこともあり、事業に集中していて中々手をつけられないでいました。
吉田:しかし、今回は自分じゃなくても作れると感じたので踏み切れたんですよね。前述の通り長く愛され浸透するPMVにするためには、自分ではない多くの社員を巻き込んでプロジェクト化し策定していく事が望ましいなと思っていました。
2年前に比べると、今は経営陣、部長陣のボリュームが増し、会社の経営や事業の運営も私の手から離れても進むようになってきました。今回のPMVプロジェクトも私を中心に作成したのではなく、創業期からのメンバーがオーナーとなり、新しく入社したメンバーも巻き込みながら様々な策定プロセスの中で認識のすり合わせを行い、一つのものを作り上げてくれました。実際に運営しているメンバーの思いを取り込んだPMV、前述の通り長く愛され浸透するPMVが作れるのは、このタイミングだったんじゃないかなという気がしますね。
なぜミッションではなく、パーパスだったのか
ー目指す方向性の策定にはいくつか形がありますが、なぜミッションやビジョンではなくパーパスだったのでしょうか?
吉田:これはやはりここ数年の間に、企業はなぜ存在しているのかということについて、世の中の考え方が大きく変わったことが影響しています。
今までは売上利益や世の中への変革を起こすことなどと言われることが多かったように思いますが、それだけでは持続できないとわかってきました。SDGsやESGなどに代表されるようにサステナブルな社会、環境を作っていくということが企業が永続的に成長し続けるためには必要で、世の中から求められていることだと私は感じています。
ミッションは、自分たちがどうなりたいか、何を提供したいかを盛り込むことが多いと思います。そうではなくて自分たちはどういう社会を作っていきたいのか、そこにどう貢献すべきかを軸として、自分たちのあるべき姿や取り組む領域、活動を決めていくべきだと思い、今回は最上位の概念としてパーパスを取り入れることに決めました。
ーエブリーが今後もあり続けるために、やはり事業を通じてサステナブルな社会の実現を目指す必要があるということですね。
吉田:そうです。業績の良し悪しを置いておいて、全ての企業が生き残る最低条件になっていっていると思います。社会や環境に対してポジティブな影響を与えること、それを事業活動の方針に盛り込めないと存続し続けることはできないと思っています。
幸福な日々を送るために常に最適な選択肢を
ー新たに策定されたPMVですが、これまでのミッションとの繋がりや違いはどういったところにありますか?
吉田:より具体化されたと思っています。パーパスである「明るい変化の積み重なる暮らしを誰にでも」というのは、もとのミッションの「より楽しく、豊かにする」という概念を再定義したものです。
最近は「well-being(ウェルビーイング)」という概念が注目を集めていますが、その実現のために人生において誰もが最適な選択をできるかどうかは重要です。ですが、「きっかけがそもそもない」、情報があったとしても「アクションに起こすことが難しい」といった選択をして行動に移すことができない状態の方はまだまだたくさんいらっしゃると思っています。そういった世界をどうするべきなのか、エブリーとしてどう貢献するのかそれを定義したものがパーパスになります。
吉田:今までの事業と全く違うわけではなく、曖昧だった言葉から共通言語として細かく再定義されたのが今回のパーパスとミッションですね。どういう社会だったらより良くなっているのか、基本的に人が豊かに生きるとはどういうことなのか、自分たちが事業活動をする中でやっぱりこうあるべきだよね、というものが集約されています。
そして、そのパーパスとミッションを実現するためにエブリーが守り続けたい価値観や、仕事における姿勢、想いをまとめたものがこの5つのバリューになります。
「テクノロジー」と「UX」を磨き、新たな領域へ挑戦する
ー今回、PMVからは「動画」が、ロゴからも「.tv」がなくなっていますよね。これにはどのような狙いがあるのでしょうか?
吉田:冒頭にも申し上げた通り、創業期はやはり動画コンテンツはまだ珍しくトレンドとして注目を集めていました。そこから、数多くの企業が誕生し今では動画コンテンツが溢れています。決してトレンドでなくなったということではなく、今後も5GやIoTといったテクノロジーの変化に合わせて、人々のライフスタイルは変化していきます。
そうした中で、エブリーの社名に込めた
・everyday:毎日・日常
・everyone:あらゆる人
・everywhere:どこでもどこへでも
・every way:あらゆる方法で
・everything:全てのもの・情報
といった“多くの人のライフスタイルにとって欠かせないメディアやサービスを実現したい”という思いは残しつつも、動画に縛られることなく新たな領域にもどんどんチャレンジしていくことで、その変化の半歩先をいく事業を展開していきたいという、私を含めた全メンバーの総意だと思います。
ー新たに策定されたPMVですが、これを踏まえてエブリーが今後目指すところを教えてください!
吉田:目指すところは今までと大きく変わるわけではなく、引き続き自分たちが目指す姿に向けて、現在の事業をさらに拡大していきたいと思っています。
我々が掲げてきたコアコンピタンス「コンテンツ・テクノロジー・UX」は、今までは「動画を通じて〜」というミッションだったからこそ、コンテンツ力がとても高く1番の強みでした。今後はそこを軸としつつも、WebやApp、オフラインのサイネージまで「テクノロジー」と「UX」をさらに強化し1ステージ上げていくことを追い求めていきたいですね。
ありがとうございました!ロゴを含めたコーポレートアイデンティティがリニューアルされ、とてもワクワクしています!目指す未来について共通言語を持てたここからが、重要だと思います。今後も運営するサービスを通じて、明るい変化の積み重なる暮らしを実現させるべく、チャレンジしてまいります。
後編では、このPMV策定に携わったプロジェクトメンバーと一緒に進めてくださったグッドパッチさんとの対談記事をお送りしますので、そちらもお楽しみに!