※この記事は、株式会社エブリーのオウンドメディア「every.thing」にて2019年10月7日に更新されたものです。(https://everything.every.tv/20191007/)
人事総務部 中西麻子
2012年、新卒としてヤフー株式会社に入社し、人事部門にてHRBPや人事企画業務に携わる。2019年5月、株式会社エブリーに入社し、人事制度の企画・運用およびHRBP業務に従事。
困難を乗り越えられる組織に必要なこととは…
ーエブリーでは定期的にマネージャー合宿が開催されていますね。なぜ実施することになったのでしょうか。
中西:そうですね。合宿では、主に組織や事業課題について議論しています。目的は大きく3つあって、1つ目は、カンパニー横断で全社課題についての議論の場をもうけること。日常の業務においてはなかなか時間を割けない、カンパニーを横断した事業方針・事業課題・組織課題の相互理解や、全社として推進したいこと、徹底すべきことについての共通認識を持つことは非常に大事だと考えています。
2つ目は、部門間で課題解決ノウハウの共有を促進することです。エブリーでは複数の事業が存在していて、事業ごとにフェーズが異なるので、今の課題は他の部門で過去に経験していたり、今まさに同様の経験をしているということが度々あります。他部門と積極的に情報交換できる場を用意し、課題解決が加速される状態を目指したいと思っています。
そして3つ目は、マネージャー同士の相互理解と連携強化です。マネージャーは悩みを抱えていても、なかなか他の人に相談できなかったり、経営と現場の両方の意見に挟まれてしまったりと、孤独なものです。普段、業務で接点がなかったとしても、マネージャー同士で気軽に相談し合い、部門を超えて支え合える関係を築いてもらいたいと考えています。
ーなるほど。今回行われたマネージャー合宿では、特にどんな全社課題についてディスカッションしたんですか?
中西:組織の発展モデルは、下図のように4段階のステージに分かれると言われています。エブリーは複数の事業を運営するなかで、”正社員100人、従業員300人”の組織規模になってきており、今は拡大化ステージの中盤です。人事から客観的に組織を見ると、この時期にひずみは発生し得るものであり、乗り越えなければなりません。これからエブリーでも少しずつひずみが出始め、これを少しでも早く解消して公式化ステージへとシフトすることが重要です。そのためには今までのやり方を変えることも必要だと考えています。
(参照:https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000121/2/)
中西:特に、この段階で起き得る組織の課題としては、「経営陣からの直接的なメッセージが届かない」「部門間での連携が取りづらくなる」「どの部門で何をやっているかわからなくなる」「人によって知識量、情報量が異なり上位方針の理解度に差が出る」といったことが挙げられます。
これらの課題に対して、我々人事としては「トップマネジメントからの発信強化」「ミドルマネジメントの体制強化」「組織ルールの再構築、コンプライアンス強化」をすることが大事だと考え、今回の合宿を実施しました。
カンパニーや職種の枠を超え、メンバーみんなで議論する
ーでは、具体的にどんなことをしたのかお伺いできますか?
中西:全体の流れとしては、下記のような感じで盛りだくさんでした。
〜1日目〜
1、組織サーベイの結果を分析・ディスカッション
2、課題の設定、ネクストアクションを検討
3、全体共有後、職種別にもディスカッション
〜2日目〜
4、MGR要件についてディスカッション
5、KR毎の進捗整理、アクションプラン洗い出し
6、全社のビジョン共有
7、予算方針(1-3年)の共有
1日目の前半は、組織サーベイ結果を活用して組織課題と解決策の議論を部毎に実施しました。
ーそもそもなぜこの組織サーベイを導入されたんですか?
中西:現状の組織状況を把握し、適切な打ち手を検討するために導入しています。3ヶ月に1度調査し、結果を振り返ってアクションするというPDCAをまわしていて、合宿はこの結果が出る度に定期的に実施しています。これによって、組織全体のパフォーマンスを向上させ、最大限発揮していくことができるようになります。
ーなるほど。今回はどのような課題点に対して、どういうまとめ方をしたのか教えていただけますか?
中西:まずは、部より小さい単位のチーム別にサーベイ結果の分析を行いました。他組織や前回調査と比較して数値が低い項目はどこか?数値の絶対値が低い項目はどこか?組織として業績をあげる上で、解決すべき課題はどこか?といった議論をし、課題設定を行いました。そこから部で集まって、部という組織においてパフォーマンスをあげるために今一番解決すべき課題はどこか、の議論を行いました。
中西:次にその課題が起きている要因、つまり根本課題は何なのかこの「氷山シート」を使って議論を深めて行きます。ここでは、合宿から日常に戻った時にすぐ行動に落とせるようにするために、向こう3ヶ月で行うことを具体化。誰が何をいつまでにやるか、ネクストアクションはどうするか、決めるところまで話し合いました。部門ごとの課題やアクションプランは全体への共有も行います。
ー1日目の後半では、同じ部門ではなく、同じ”職種”でも議論されていますね。これはなぜですか?
中西:エブリーでは事業毎に組織を分けて作っています。これは事業における意思決定のスピードやコミュニケーションの円滑さを重要視しているからですが、一方で、他の事業に携わっているメンバーとの接点が減ってしまうという一面もあります。同じ職種でもカンパニーを超えるとなかなか接点がなく、課題の共有や議論をする機会がない状況だったんです。同じ職種同士で集まり、話せる機会になればと今回初めて実施しました。
せっかく様々なフェーズの事業を行なっているので、過去の事例を共有して最適化を図ったり、ルール化につなげたり、複数事業をやっていることを強みにするためにも、横での連携がとても大事なのです。隣の組織と連携することで組織全体のパフォーマンスが上がることがたくさんある、この気づきのきっかけになれば嬉しいですね。
ー参加していた皆さんの様子はどうでした?
中西:今回は総勢50人規模の参加となりましたが、テーブルごとの議論では席から立ち上がって皆でホワイトボードに向き合って課題をディスカッションしていました!合宿中に決めたアクションプランを戻ってすぐ行動に移せるよう、その場でslackチャンネルに共有したりと、皆積極的に「組織をどう良くしていくか」を考えている姿が印象的でしたね。
中西:2日目の前半はカンパニー毎の部門に分かれて、前期定めたエブリーの「マネジメントプリンシパル」というマネージャーに対して求める要件について内省をするワークと、OKRの振り返りを行いました。
「マネジメントプリンシパル」については、下記の10項目を掲げています。
今までマネージャー向けの研修は行なってきましたが、エブリーとしてマネージャーは何をするべきかという行動基準は定められておらず、各自の判断に委ねられていました。組織も拡大し、マネージャーの数も増えてきたため、マネージャー陣が一枚岩となって組織運営が行えるよう、エブリーとしてマネージャーに大切にしてもらいたい、体現してもらいたい価値基準の認識を統一する必要が高まりました。そこで、会社として目指したいマネージャーのあるべき姿として「マネジメントプリンシパル」を定めました。
この要件を、ジブンゴト化し、もっとバリューを発揮できるよう組織サーベイの分析結果を元に自身の行動を見つめ直してもらいました。その後チーム内でディスカッションも行い、より理解を深めてもらいました。
ーもう一つのOKRの振り返りですが、エブリーでは昨年度からOKRを導入していますね。この制度を導入した目的は?
中西:社員数が増え、組織規模としても大きくなってきている状況を踏まえ、全社員が明確な高いゴールに向かって走れるよう、会社や組織の目標と社員一人ひとりの目標を可視化し同期させていくことを目的として導入しました。
OKRは設定するだけでなく、それをどう活用して目標達成につなげていくかが大事です。
日々目の前の業務で精一杯になってしまうと、なかなか目標達成に向けたPDCAを回すことに時間をかけられないですよね。3ヶ月に1回は、こうした合宿での時間を通して、全マネージャーが自組織のObjectivesおよびKeyResults一つ一つに向き合う時間を取ることが必要だと考えています。
ー具体的にはどんな議論をしたんでしょうか?
中西:今回は、Objectivesに対して期初に設定した各KeyResultsの進捗度合、これまで実施出来たこと/出来なかったこと、達成見込度合、残り3ヶ月で達成するためのアクションプランの洗い出し、整理を行いました。
ーここで出したアクションプランを、普段の業務で生かすことが大切ですもんね。
中西:そうなんですよね。合宿に参加するだけで課題が解決するということはありません。今回の合宿の最後でも「日常との接続(合宿はやって満足しがちだけれど、日常にどう活かすかが大事)」というのを参加者皆さんにお伝えさせていただきました。合宿で議論したこと、決めたことを持ち帰って、日々の行動や業務に活かすことがとても大事になってきます。またその過程を通じて個々のマネージャー自身の経験値として蓄積され、個人や組織の成長に繋がると考えています。今後も継続的に合宿を行い組織や事業を定点観測していく場は作っていきます。
メンバーもマネージャーも、全員が自ら考え行動できる組織へ
ーそして、最後に代表の吉田およびCFOの山本から全社のビジョン共有や予算方針の共有があったんですね。
中西:はい。ここでは、目標だけでなく「目的」を理解してもらうため、短期的な目標や目先の数値だけではなく、改めて長期の目線で中長期的な未来の話を共有していただきました。
吉田からは「ROAD TO 2025」と題し、これから市況がどう変わっていき、我々エブリーとしてどう変わっていく必要があるのか、2025年に向けてのビジョンを語ってもらいました。エブリーは、「動画を通じてもっと楽しく、もっと充実した毎日に」をミッションとしています。より多くの人に必要とされる生活必需品サービスとなるために、我々が強みにしていくべきは、嘘や間違いのない「プロコンテンツ」であること、最新の「テクノロジー(AI)」を取り入れること、そして新しい「UX」を生み出しお客様に届けていくことです。こうした強みとなるコアコンピタンスの形成に向けてどのような事業投資をしていくのか、といった話をしていただきました。
ー余談ですが、ここで話された「ROAD TO 2025」については、同じ話が全社MTGでもされ、マネージャー以外の全メンバーへも周知されました!
ーこうした取り組みを続けることで、エブリーは今後どのような組織を目指していくのでしょうか?
中西:「エブリーの描くビジョンに、自身の役割としてどう貢献していけるのか」を社員1人1人が主体的に考え、行動に移し、成果を出し続けられる組織を目指しています。
人事部としては、社員数が増え会社の規模が大きくなってきている今だからこそ、全社横断で事業や組織の課題を共有し合い、解決に向けて全員が自分事として向き合っている状態を目指したいと考えています。そういった組織づくりのキーとなるのが、ミドルマネジメント層のマネージャーやリーダーになってきますので、今後も定期的に集まり課題解決のPDCAを回していくことで、強固な組織を作っていきたいと思います。