VUCAの時代、行き先が不透明で、将来の予測が困難な状態と言われる今、これまで以上に「自ら考える力」が重要視されてきています。
そもそもVUCAとは?
VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、
目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。
現代は、異常気象による災害や先進国の少子高齢化など、外部環境が不確実な時代です。また、テクノロジーが急速に発展し、ビジネスモデルや消費者のニーズも急速に変化しています。戦場で兵士がその時々の戦況に正しく対応できなければ生き延びることができないように、企業には状況変化を素早く察知し、時代に適応した人材を採用・育成し、組織と行動を柔軟に変えていくことが求められます。
求められる力とは
そのような時代において、重要なのは”予測する力”ではないと言われています。 先ほど述べた、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の多い現代においては予測は大きな意味を持ちません。
むしろ、その予測を遥かに越えた、もしくはズレた結果が待ち受けているでしょう。
では、どのような能力が求められるか。 それは「自ら考える力」と言われています。
経済産業省による「未来人材ビジョン」の中にある、「意識・行動面を含めた仕事に必要な能力等」において、2050年の項目における1位には「問題発見力」と記載されています。
※出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf)
とりわけ、問題より下の概念となる課題の「発見力」が重要とされます。
多くの場合、問題や課題に対して必要とされる力は「解決力」と考えられることが多いでしょう。ですが、そもそも対象となる問題や課題が異なる場合に「解決力」は効果を発揮しません。
例えば、”車が動かない”という問題があったとします。 課題はいくつか考えられるでしょう。 燃料切れなのか、エンジンが故障したのか、もしくはタイヤがパンクしたのか。
もし、エンジンが故障しているにもかかわらず、一生懸命タイヤを交換したとしても 車が動くことはないでしょう。
ここで重要なのは、問題と課題を区別して考えること。 そしてその問題と課題をそれぞれ発見していくことの2つです。
VUCAの時代において、解決する力よりも、発見する力のほうが価値があり 重要とされるのです。
どのように発見力を身につけるか
①ゼロベース思考を持つ
セロベース思考とは、前提や思い込みを一旦「ゼロ」にして考える思考です。 人間は、ついつい自分の経験や、今までの延長線上で物事をとらえてしまう癖があります。 テクノロジーの変化が激しく、ビジネスでも根本のルール自体がひっくり返されることが多々起こる今、ゼロベース思考は重要視されている能力の1つです。 ゼロベース思考を持つために具体的に意識すべきこととしては、「前提を疑うこと」があげられます。私たちは、2つの選択肢を提示されると、ついその2つの中から選択してしまいます。「そもそもこれ以外の選択肢があるのではないか?」と考え、前提を疑うことでフラットに物事を捉えることができ、ゼロベースで思考することができます。
②:クリティカルシンキングを身に着ける
前提を疑う力を鍛えるには、自身の「思考の癖」に気づくことがポイントとなります。 思考の癖を改善するのは、「クリティカルシンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法が有効です。
クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観に捕らわれずに物事を見る力が養われていきます。
自分がいまベストだと考えたこの選択肢は果たして本当にベストなのか? どの要素に対してどんな根拠でそう考えたのだろうか? むしろ、こんな落とし穴があるのではないか? このように、自分の思考を批判的に見るもう1人の自分を頭の中に置くイメージでトレーニングしてみるといいかもしれません。
③:未来志向で現状をとらえる
「この先の未来にはどういったことが起こりそうか」
今の日常が永遠に続くとは考えず、常に意識を未来に向けて現状をとらえる癖をつけましょう。 未来志向は、日ごろから様々なことに好奇心を持って情報収集し、自分なりの仮説を立てる習慣を持つことで磨かれていきます。ここで重要なのは「予測」ではなく「仮説」を立てるということです。VUCAの時代においては、こうなるのではないかという単一的な予測は大きな意味を持ちません。しかし、もしかしたらこうなるかもしれないし、あんなことも考えられるといったように、複数の起こりうる状況を収集した情報から分析する力は求められるでしょう。
さいごに
VUCAの時代に求められる力とは何かについて紹介しましたが、 まさに個人が直面する問題も求められるスキルも人それぞれであり、複雑性や曖昧性等に溢れていると思います。
何が自分にとって必要なスキルなのか、そして今何をすべきなのか。
そんな悩みを抱えた際には、一度自分と向き合い、自分を発見することから始めてみたいですね😊