女性の“想い”に寄り添ったマッチングサービス事業を立ち上げたエンジニアネットワーク株式会社(以下ENI)。採用企画である山口麻衣は、主婦であり続けるためにENIで働くことを決意しました。出産や子育てといった女性ならではのライフイベントと仕事を両立するために、山口が動きだします。
「独りでも、稼げる人になりたい」に隠された思いとは
「おばあちゃんになっても働きたい」
我が子を育てるために、朝から晩までさまざまな仕事を掛け持ちしながら働く母親の姿を見てきた山口。物心がついたときから、女性であっても常に安定して稼げる仕事とはなにかと探してきました。
「私たち兄弟を養うために、母はとにかく時間で稼ぐような働きかたをしていて、とても辛そうだった。だから、せめて自分の分だけはお金を稼げる女性になりたいと思いました」(山口)
子どものときから絵を描くのが得意な山口は、学校の先生の勧めもあり、アニメーション学校に進学。ただ、好きな道を歩もうとする山口を阻むのは、“安定”の2文字でした。
「いざ、専門学校に入学してみると、同級生のレベルが高くて。世の中には、アニメーションの仕事があふれていましたが、毎月20万円以上稼いでいけるイメージが湧きませんでした。だから、当時アルバイト先の携帯電話の販売会社に、そのまま就職しました」(山口)
その後、産業廃棄物の事務員やインテリアショップのスタッフなど理想の職場を追い求めて転職する中で、頭の片隅には「人生はなにが起きるかわからない」という不安がありました。2009年に3回目の転職先として選んだ会社はOA機器の営業事務。そこで、山口は転機を迎えたのです。
「居場所を作ることが、組織の団結力を生み出す」
全社員の8割が営業として働く会社で、山口は営業事務として企画書のチェックや売上計上、スケジュール管理など役員のサポートを行いました。急成長する会社のため、ハードワークな環境ではあったが、山口は社内の文化にひかれたいったのです。
「自立することだけを考えてきた私は、ここに入社する前まで個人の成果を評価するのが会社だと思っていました。でも、この会社で働いてみて、人の心を大事にする文化があって、感動したんです。
例えば、失恋した部下に対して上司が『プライベートがうまくいってこそ仕事に集中できるだろ』と笑ってくれたり、仕事の愚痴を他部署のかたが聞いてくれ、『こんな考え方もできるね』とモチベーションを上げてくれたり。
人間らしい感情を当たり前に言い認め合える環境で、またその姿を見た後輩が良い真似をしていくという循環がありました。だから、働くことってただ各々が成果を出すことだけじゃない、人と人が一緒にやっていることなんだと気づいたんです」(山口)
居心地の良さに、働くことの楽しさを見出していく山口は、2012年に同社の横浜支店立ち上げに関わることになります。しかしそこで、大きな壁にぶつかりました。
「設立してから約1年半。横浜支社はなかなか黒字化せず、営業は明らかに焦っていましたし、そのイライラが他のメンバーに伝わり、組織としてバラバラ。そのときにメンバー間ではじめたのが、業務以外での居場所を作ることでした。
例えば、引っ込み思案な性格でもよく気が付ける子は『メンバー1気の利く人』として、入社したばかりの社員には『水曜日の朝礼でクイズをする』など。内容はなんでも良くて、重要なのは業務以外の役割。お互いを別の理由で必要な仲間だと認識していくことで常に感謝が生まれました。
また、売上が出せなく足を引っ張っている状態の社員がいても、別の意味で全員が必要とされていたので、本人も変に自分を追い込む事なく、売上を出すことに専念できる。常に前に進む空気へと変わっていきました」(山口)
部署の最年長であった山口は、自ら『母親』の役割を買って出て、若手主体のメンバーの面倒を見ることに。怒るときは怒る、褒めるときは褒める。組織として団結を高めるために、居場所を作ることが功を奏したのです。
「次の年には、売上を達成して黒字化になりました。会社からご褒美として、支社の社員全員でグアムに行きまして、そのときに飲んだお酒は忘れられません。だって、みんなが泣いていましたから」(山口)
「仕事と結婚」 2つの選択肢に揺れる心
気心を知れたメンバーとともに順調に成長していく山口に転機が訪れます。それは昇進と自身の結婚、2つの幸せです。「女性として自立したい」と子どものときから追い求めてきた山口にとって大きなプラスになる……はずが苦しめていくことになったのです。
「私は、今までに経理業務と営業のサポートを行ってきましたが、役職に就く事で、必要以上に自らの言動に責任を持ったりと気負ってしまった。自宅に帰ったら、『奥さんとしてここまでやらなきゃ』という仕事に近い感覚を持ちはじめ、どんどん自分を追い詰めていきました。
このままだと潰れてしまう、だから仕事はひとまず置いておき、女性として家庭を持つことに専念したいと思い、会社を退職しました」(山口)
キャリアと家庭。思い悩んだ山口は家庭を選んだものの、オンオフがない日常に苦戦する日々。掃除、洗濯、料理を行いながら、自分なりのバランスを見つけていきました。
「半年間、家庭に入ってみて。家事を完璧に行いながらも、徐々に時間ができるようになってきました。そして、外に働きにいくことが、自身のメリハリになることに気づいたのです」(山口)
そこで、時短でも働ける仕事を探したところ、『女性が楽しくなる働きかた』をコンセプトにしたENIの求人を出会い、応募。今までに経験してきた、仕事と家事の両立の難しさに苦労する女性の支援になればと思い、山口はENIに入社したのです。
地方と首都圏の距離を埋める「居場所」という仕組み
現在、ENIのマッチングサービスの立ち上げに取り組むメンバーは、横浜に3名、沖縄と北海道に3名のメンバーがいます。山口が採用企画として課題に挙げるのは、ここでの仕事をいかに楽しんでもらえるかです。
「オフィスに一同が出勤して、顔を合わせていれば自然に仲良くなれるかもしれませんが、地方と首都圏のように距離があると、コミュニケーションロスが生まれやすいし、本当に仕事が楽しんでいるかわからないですよね。
仕事を楽しんでもらえないと、組織として成熟していきません。リモートワークや在宅の課題はここにあって、まずは私たちの組織として仕組みを作りたいと思っています」(山口)
これから、大手企業やスタートアップにおいても、続々とテレワークや副業を採用するところが増えてきました。しかし、在宅やリモートワークでいかに楽しんで仕事をしてもらえるのか、社会的な課題として依然残っています。だから、山口はやりがいのある仕事だと話します。
「たとえ、私が子どもを授かったとしても、ENIに組織ができていればアンバサダーとして関わり続けることができますしね。育休制度を利用しなくとも、子育てをしながら働ける、主婦であり続けることを諦めなくてもいいと思うんです」(山口)
お互いが楽しめる場を作る、そのために山口は居場所を作りたいと話すのであった。
ただいま、全国からチームメンバーを募集しています
現在、ENIでは新規事業のデザイナーを募集しています。女性のライフイベントを迎い入れることができるマッチングサービスを叶えたい、そんなみなさんからの応募をお待ちしております。
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