1
/
5

顧客とプロダクトに徹底的に向き合い乗り越えた危機。本質にこだわるDIGGLEが大切にすることとは?〜CEO山本×CTO水上の本音対談〜

経営管理プラットフォーム「DIGGLE」の開発・提供を行うDIGGLE株式会社は、2022年9月7日(水)に総額約4億円の資金調達をシリーズAラウンドにおいて実施したことを発表しました。

2016年の創業から、シリーズA資金調達まで約6年。キャッシュアウト寸前の危機やプロダクトの大きな方向転換など、これまでの道のりは紆余曲折がありました。今回は、創業者の代表取締役 山本と共同創業者・取締役CTO 水上のふたりが、DIGGLEの事業好転のきっかけや当時の課題、転機からの学びを語ります。

予実管理領域の課題とマーケットの大きさを実感し、プロダクトの存在意義を確信

ーーまずは創業までの経緯を教えてください。初めて出会ったきっかけや、お互いの第一印象はどうでしたか?

水上:出会いは、前職の企業で同僚だったことです。僕は新卒でエンジニアとして就職したのですが、当時から開発だけに注力するのではなく、事業の全体像やどのように会社は伸びていくのかを知りたかったので、会社で一番経験が豊富そうな山本さんに話しかけにいきました。


山本:当時は僕がその会社で最年長だったので、新卒1年目の水上さんから「飲みにいきましょう」と誘われた時はびっくりしました。なぜ話しかけたのかを聞くと、「将来は起業も視野に入れていてビジネスのことを学びたい」ということでした。その後、飲みに行ったり、同じプロジェクトで一緒に働いたりする中で、仲良くなりました。


ーー起業しようと最初に声をかけたのはどちらからですか?

山本:僕からです。当時の僕はセールスマネージャーで、エクセルで予実(予算・実績)管理を行っていたのですが、そのエクセルの管理や各部との連携に多大な時間を取られて、営業マネージャーなのにほとんど顧客訪問ができませんでした。その経験から予実管理の課題を解決するプロダクトをつくりたいと思ったものの、それまでは外資系企業での営業キャリアを主に積んできたのでプロダクト開発のイメージができず、僕の周りで一番開発力があると思っていた水上さんに相談をしました。

「こんなことがしたいと考えてるんだけどできるかな?」と聞くと、
「できるよ!俺一人で半年あればできるかな」と即答だったので、その場で一緒にやろうと誘いました。


ーー水上さんは「経営管理」や「予実管理」領域はそれまで関わりの薄い領域だったと思いますが、なぜその領域で山本さんと起業しようと思ったのでしょうか?

水上:実は、山本さんから相談をもらったタイミングでは、前の会社をやめてフリーランスとして仕事をすると決めていました。相談をもらった当初は、あくまでフリーランスのいち案件として関わっていました。

予実管理領域に本腰を入れて取り組もうと思ったきっかけは、「TechCrunch Tokyo スタートアップバトル」に出場して、市場からの期待の大きさを実感したことです。それまでは予実管理の抱える課題や、頑張ればエクセルでできそうなことにプロダクトの価値があるのか半信半疑だったのですが、出場に合わせてベータ版の登録フォームを公開したところ、通知が鳴り止まないほどの反響がありました。実は当時はプロダクトもできていない中で、モックとGoogleフォームを貼った簡易サイトしかない状態だったのですが、これだけ課題を抱えている人がいるのだと目に見えて感じることができました。

そこからさらに予実管理に悩む方たちにヒアリングをしていく中で、担当者の方達が持つ複雑で膨大な量のエクセルを見て、抱える課題の大きさから、市場機会の大きさを実感し、フルコミットして本腰を入れて事業を立ち上げることに向き合おうと決心しました。

やはり課題があるからこそプロダクトの存在意義があるので、そこを実感できたことが大きなきっかけでした。

創業1年後、当時のオフィス近くの公園にて(CTO 水上(左)と代表 山本(右))

カスタマーサクセスとプロダクトに徹底的に向き合ったことが事業成長の鍵

ーー創業初期からプロダクトに大きな需要を感じられたんですね。では、DIGGLEが大きく成長するきっかけとなった転機はいつでしょう?

山本:2019年の年末に投資家の方々から、プロダクトの在り方や顧客価値を改めて見直すべきだと助言をいただいたことをきっかけに、プロダクトとカスタマーサクセスに徹底的に向き合ったことです。

その時は指摘内容にピンときてはいなかったのですが、当時はご契約いただいても、あまり使われずに解約されてしまうことが多いという状況で「このままではいけない」という危機感だけがありました。このままやっててもダメなら、自分たちが本当に欲しいと思うプロダクトを作りきろうと水上さんと決意して、営業と開発をストップして当時の社員全員でカスタマーサクセスに取り組むことに決めました。

そこから顧客ヒアリングを通して、顧客のペインは何か、「DIGGLE」はどのように使われていてボトルネックはどこか、「DIGGLE」を価値あるプロダクトにするためには何が必要かを徹底的に洗い出してひとつずつ応えていきました。


水上:具体的には、まず導入の流れと、「導入時に絶対に行うことチェックリスト」を作成してオンボーディングでつまづかない仕組みづくりをしました。また、一度自分が経営企画部の予実管理担当者になって一連の予実管理業務を「DIGGLE」で行うシュミレーションをしました。

その中で、多くのお客様がつまづくのは、財務データを管理会計システムにアップロードする部分だと気がつきました。財務データは管理するシステムごとに出力されるフォーマットが異なります。データを取り込むには管理会計システムのフォーマットに沿って加工することが必要です。エクセルを含む多くの管理会計業務やシステムを使いこなすのに手間がかかっている理由はそこにあることに気づき、「DIGGLE」を定常的に使ってもらうために財務会計の出力データを手間なくDIGGLEに取り込める機能を開発しました。この機能をリリースした後に、運用が定着する顧客がぽつぽつと増えていきました。

また、次に顧客の1社をモデルケースにしてその要望に徹底的に応えていきました。その月は24回も新機能をリリースするなど、営業日はほぼ毎日リリースしていたことになります。様々なお客さんがいて課題や要望も異なる中で、1社にフォーカスしてどこまで再現性があるかは疑問でしたが、振り切ってとにかく目の前のお客様に徹底的に向き合ったことで、プロダクトの価値や方向性を掴むきっかけになりました。


山本:当時はあと8ヵ月でキャッシュアウトという状況で、売上をあげなければと必死で、新規営業にばかり力を注いで、既存顧客の本質的な課題解決に取り組めていなかったと、振り返って思います。そんな時に営業をやめるのは一大決心でしたが、顧客の声に向き合っていくうちに段々と使ってもらえるようになり、商談でも自分たちの言葉で「DIGGLE」の価値を話せるようになり、新規の契約も定期的にいただけるようになっていきました。


水上:当時は良いプロダクトをつくれば自然と事業、売上が立ってくるだろう、徐々にUIを改善していけば使ってくれるだろう、と考えていました。むしろ、オンボーディング等のプロセスはできるだけ工数を削減して、導入後はお客さんが自分たちですぐに自由に使えるプロダクトを目指していたのですが、今考えると無謀でしたね...。


山本:僕らが手掛ける経営管理領域は、IRにもつながる企業の機密情報を扱う事業です。業種や組織フェーズごとに重視する点や課題、業務フローも異なるので、良いプロダクトを作ることと、本質的なカスタマーサクセスを達成するためのコンサルティングの両輪が必要だと今は実感しています。


ーー転機を経て、気づいたことや現在に活きていることはなんでしょう?

水上:振り返ると当時は、お客様が実際に使いこなせる状態を確実に実現できていない中で、中途半端に事業を伸ばす時期だと思い込んでマーケティングに手を出したり、新機能開発ばかり優先して既存機能の細かな改善に手を付けなかったりしていました。事業を伸ばしたいという思いに駆られて、売上を上げる方に目線が行ってしまったように思います。しかし、穴の空いたバケツにいくら水を注いでも流れていくだけでした。

リソースの少ないシード期では、まずは事業をストップさせてでも、ボトルネックを解消することが必要でした。穴を埋めるまでは、一切売りに行かない、という強いメリハリを持つことが大事ということに気づいたのが、大きな学びだと感じます。


山本:そうですね。本質的なことをやり続けるしかないということを学びました。ユーザーにとって本当に価値があること、本質的なカスタマーサクセスに導くことが、もちろん事業の成長にも繋がるということです。

また顧客の声に向き合ったことで、単なる経営管理の効率化だけではなく、本質的な業務に集中できるようになることで迅速な経営判断を可能にし、顧客企業の価値向上まで可能にするという、「DIGGLE」が提供し得る価値の大きさにも気づけました。DIGGLEのプロダクトビジョン「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」は、そうしたお客様からの声を元に定めました。

組織の拡大に合わせて進化するプロダクト開発

ーープロダクトの方向転換は一大決心だったと思いますが、これまではどのようにプロダクトの方針を決定をしてきましたか?また、組織が大きくなる中で何か変化はありましたか?

水上:初期は山本さんと僕の二人体制の期間が長く、スピードが特に重要だったので、山本さんと僕で大枠の方針を決め、仕様などは僕が開発をしながら固めていく、走りながら考えるスタイルでした。

今は組織が大きくなり、Salesチームを山本さん、CS(カスタマーサクセス)チームをCOOの荻原さん、PdM(プロダクトマネジメント)と開発チームを僕が管掌しています。

PdMチームは今年の6月に発足しました。顧客やSales、CS職が増えて、いただく要望も多種多様になっていく中で、全体をみながらバランスをとり、開発の優先順位を決めることが急務になったことがPdMチーム誕生の経緯です。PdMでは、CSやSalesなどと連携しながら、顧客が何をどうしてやりたいのかを整理し、それを踏まえてプロダクトがどうあるべきかを広いスコープで定めています。一方開発チームは実装することに責任を持つチームなので、PdMで定めたプロダクトの方針を踏まえて技術的にどうあるべきか、どんなソリューションにすべきかを考え実装しています。

PdMチームは生まれたばかりなのでまだ僕も半分ほど細かいボールを持っていますが、ゆくゆくはメンバーに権限移譲して、CTOとしてプロダクトの中長期ビジョンや計画に注力していこうと思っています。


ーー顧客が増えて組織が大きくなる中で、各人やチームの意見が異なる場合も増えるのではないかと思いますが、その場合はどのように意思決定をしていますか?

水上:Salesチームは新規の顧客、CSチームは既存の顧客を主に見ているので要望が異なることももちろんあります。

以前は新規営業にばかり意識が偏っていたという反省がありますが、既存顧客の要望にばかり目を向けても事業としてのスケールが難しくなってしまうので、なるべく三方良しかつ事業として将来も見据えた意思決定ができるように意識しています。また、プロダクトの仕様や開発順位、スケジュール感などの最終決定権はPdM・開発チームが持っているので、全員が納得感を持て、信頼していただけるように、なぜその判断をしたのかという理由やその後の方針まで示すことが重要だと思っています。

経営管理の”当たり前”となるプロダクトを目指して

ーーシリーズA資金調達を実施して、プロダクト開発や採用を推進していく予定です。最後に、今後DIGGLEが目指すことや未来の仲間へのメッセージをお願いします。

山本:顧客の声を元に定めたプロダクトビジョン「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」の実現にフォーカスしていきます。

「DIGGLE」が目指しているのは経営企画の方の単なる効率化ツールではありません。全社で共有できる経営データを一元管理し、必要なデータは誰でもそこを見ればわかる状態を作り、部門間、階層間のコミュニケーションの質を上げる経営管理システムです。コラボレーションやコミュニケーションのコストから解放されることで経営チームや経営企画は予実の分析や経営判断など本質的な業務に注力できるようになります。

前述のように、それまでプロダクトの在り方に迷い悩んだ時期もありましたが、顧客とプロダクトにしっかり向き合い試行錯誤したおかげで、全社で予実管理を行えるようにすることが「DIGGLE」の価値だと気づきました。これからもお客様からフィードバックをいただきながらプロダクトを進化させていき、ビジョンの実現をやり抜いていきます。


水上:僕がやりたいことは、「当たり前」のプロダクトを作ることです。この考えは、創業の当時からずっと変わっていません。例えばスマホは技術的にも製品価値的にも素晴らしいものですが、「すごい」と日々感じながら使うものではなく、日常に溶けこんでいる当たり前のものです。僕はとにかく、そういうものを作りたい。

「DIGGLE」は、今までエクセルで行うことが当たり前だった業務領域を置き換えにいっています。市場としても徐々にエクセルで行う限界が顕在化してきており、そこをクラウドサービスやツールを使うのが当たり前だという状況をつくっていきたい。10年後にはエクセルがガラケーのようになっている状況、「まだエクセルでやってるの?」というような状態にしていきたいです。そんなことができるチャンスは、ソフトウェアを作る中でも稀で、DIGGLEはその数少ない「当たり前」を作る機会がある場だと思っています。

これからの当たり前をつくりたい人、そんなことができる組織をつくっていきたい人は、ぜひ一緒に働きましょう。



■DIGGLE株式会社 代表取締役 山本 清貴(Kiyotaka YAMAMOTO)
早稲田大学ファイナンス研究科を修了。11年間にわたって米系ERPベンダーPeopleSoft、Oracle、Inforにて、会計・CRM・SCMなど業務系アプリケーションのセールス、およびアライアンスに従事。その後、デジタルマーケティングスタートアップにてセールスを率い予実管理に苦しむ。その経験から予実管理クラウドDIGGLEを創業。
■DIGGLE株式会社 取締役CTO 水上 駿(Shun MIZUKAMI)
名古屋大学大学院多元数理科学研究科修了。動画制作スタートアップにて、動画視聴ビッグデータ解析に基づく動画プランニングツールの開発を担当。2016年DIGGLEを共同創業。11歳の時に独学でプログラミングを始め、有用なプログラミング言語やクラウド等の技術の組み合わせを見極め、スケーラブルな設計に落とし込むことを得意とする。


DIGGLEでは、これからの組織や事業を一緒につくっていく仲間を様々なポジションで積極的に募集しています!今回の資金調達にあたり、採用ページを刷新したのでぜひご覧ください。

DIGGLE株式会社 採用ページ
DIGGLE株式会社 にご興味をお持ちいただきありがとうございます。 この採用ページは、DIGGLEで働くことに興味を持っていただいた方に向けて、私たちのことをより知ってもらう目的で作成しています。 面談や面接の場は双方の理解を深めるお時間とするために、ぜひ事前にご一読ください。 また、応募を迷われている方は、カジュアル面談 ...
https://diggle-entrance-book.notion.site/diggle-entrance-book/DIGGLE-018be93b0c984705a462d1a85a31a172#491c237002414fd68375ab366c1ada49


また、まずはメンバーとお話してみたいという方はぜひカジュアル面談にご参加ください。お話できることを楽しみにしています。

ウラ凸 - シリーズA 約4億円調達のDIGGLEのウラ側へ、カジュアル面談で突撃しよう
「経営の体幹をつくる」という思いで、予実管理クラウドを提供するスタートアップ、DIGGLE。 同社がターゲットとするのは、管理会計における「予実管理」の領域だ。経営おいて、予実管理は事業が進むべき方向に向かっているかを確認する羅針盤のようなものであり、予実管理が正しく行われていなければ経営判断を適切に行うことは難しい。 ...
https://meety.net/articles/t2--p_ytqvnpu
DIGGLE株式会社では一緒に働く仲間を募集しています
2 いいね!
2 いいね!

同じタグの記事

今週のランキング