皆さん、こんにちは。管理部の槙(マキ)です。
当社は現在エンジニアの採用に力を入れていて、サイトをご覧になる方もエンジニアの方が多いと思いますが、今回は「管理部」という名前の、一体何を管理してるのか???な部署の紹介(2回目)です。前回は「法律」に関して書きましたが、今回は「IR」(=Investor Relations)について書きたいと思います。
「IRって何?」
超簡単に言うと「会社に投資してもらう(株を買ってもらう)ために、会社の事業内容、業績、経営戦略等を分かり易く説明する」事です。
このIRが作っている資料を見ると、その会社の特徴やクセ?の様なものが見えてきます。少ない情報の中から、その会社がどんな会社なのかを判断するのは難しいものです。もしあなたが転職先として検討している会社があったら、是非その会社のIR情報も見て下さい。その会社について、思わぬ発見?や更なる理解が得られると思います。
それでは、IRに関して上場会社が作成する資料やコンテンツについて、その目の付け所を紹介していきます。
1.決算短信
上場企業は、現在は四半期ごとに決算を行っており、その決算発表の第一報を告げるのが、この「決算短信」です(当社の決算短信はこちら)。
はい、そうなんです!
文字が多くて読む気になれないんです!!
(これでも昔に比べればだいぶスリム化されましたが…)
決算短信、各会社では担当部署が一生懸命作成しているのですが(そしてもちろん、当社でも一生懸命作っていますが)、ほとんどの投資家は最初の「表紙部分」しか読まないと言われています(笑)。「でも、そんなに一生懸命作成されているなら、やっぱりちゃんと読んだ方が良いの?」という質問に対しては、「もっと良い資料があるから、そっちを読みましょう」とお答えします。
2.決算説明資料
それじゃあ何を見たら良いのかという話ですが、それが「決算説明資料」と呼ばれる資料です(当社の資料は、同じくこちらにあります)。この資料は、各企業が主に機関投資家(プロの投資家)向けに作成しているIR資料で、会社の事業内容、最新の業績に関する説明、今後の経営戦略等について書いたものです。
忙しい投資家にもサクッと理解してもらえる様に、どの会社も図やグラフを交えて分かり易く作成しているので、最近では投資家ではない人達も、その会社の事を知るために見る事が多いようです。
ではここで、決算説明資料の見方のポイントを紹介したいと思います。
業績について
大抵の会社が四半期ごとに決算説明資料を作成しており、その最初に出てくるのが「最新決算期の業績がどうだったのか?」についてです。業績を説明する際は、「業績予想」と「実績」を比較する形で示される事が多いのですが、会社によって「業績予想をクリアしている会社」があるかと思えば、「業績予想を達成出来ていない会社」があったりします。
「業績予想をクリアしている会社の方が良い会社」と言いたいところですが、実際はそんなに単純ではありません。業績予想をクリアしている会社は、業績予想を控えめに出しているだけかも知れません。そして、業績予想を達成できなかった会社は、予想として掲げた数字が高すぎただけかも知れません。
大事な事は、直近だけではなく何年か遡って資料を見てみて、その会社のトレンドを把握する事だと思います。実績が業績予想を「いつも上回る(予想が弱気過ぎ)」ことや、「いつも下回る(強気すぎ)」ことは正しい姿ではありません。むしろ、「業績予想を上回ったり、下回ったりする会社」の方が、適切な目標設定が出来ていると思います(あまりその「差」が大きくない事が前提ですが)。
しかしながら、これは会社のクセの様なものですが、どちらかに偏るケースが少なくありません。
経営戦略について
プロの投資家が一番注目している内容です。業績は、発表している段階では「過去のこと」であり、大事なのは「これからどうなるか」です。どんな会社でも、経営戦略を評価してもらって株を買って欲しいものなのですが、ここでも会社ごとにクセが出てきます。
ある会社は、とにかく「夢は大きく!」と、壮大な事業構想を語ります(「できる事」はもちろん、「できればやりたい事」も、「やりたいけど多分ちょっと無理かな…」なことまで書いてあることも?!)。その一方で、「絶対にできる事」は具体的に書くものの、「がんばったらできそうなこと」は抽象的な内容で…という会社もあります(手堅いとも言えるが、積極性が少し足りない?!)。
この経営戦略を示すスタンスの違いは、先程の業績予想の出し方と相関関係があると思います。すなわち、事業戦略が「夢は大きく」派は業績予想も強気です。その一方で、経営戦略が「現実路線」な会社は業績予想も控えめな場合が多い様です。
そして、このIR資料から伺えるスタンスの違いは、そのまま社風の違いにも反映されている部分があるというのが、長年この仕事に関わってきた中での感想です。つまり、何事にも大きな夢を追いかける社風なのか、現実的で堅実派なのかという違いですね。
もちろん、どちらが良いか悪いかという話ではなく、どちらの会社の方が自分は好き(合う)かという話なのですが、みなさんはどちらがお好みですか?
3.その他の開示資料
これまで紹介した様な資料以外にも、会社は様々な情報を「IRニュース」の様な形で開示しています。その中でも、以下の情報は見ておいて損は無いと思います。
人事・組織情報
「人事異動(組織変更)のお知らせ」といった題名で出されるニュースです。会社の人事異動や組織変更の真意や重要性を全て正確に理解できるわけではありませんが、人事異動の情報から会社の方向性などが見えることがあります。
人事異動の内容を見てみると、大抵の場合は「旧役職」と「新役職」というように、「これまで」と「これから」の役職が書かれています。ですが時々、「旧役職」に何も書かれていない場合があります。全ての会社が同じルールという訳では無いので一概には言えませんが、大抵の会社では開示対象の役職(例えば「部長」以上)を決めていて、それより下の職位(例えば「課長」など)から昇格した場合には、これまでの役職を書かないのが一般的です。また、中途で入社していきなり開示対象の役職になる人についても、「旧役職」は書かないのが一般的です。あと、人事異動のお知らせでは「昇格」と「異動」は紹介しますが、「降格」や「退職」等によってポジションを外れる場合には開示しないのが普通です。
人事異動の中でも、新しく社長や取締役になる人がいる場合は、これまでの略歴が記載されている事があります。この情報を見れば、「取引先の銀行から役員を迎えているんだな…」とか、「入社3年目で取締役になっている人がいる!」とか、その会社内でのパワーバランスや人事上の特徴が分かります。
なお、全ての役員の略歴については、各上場企業が年1回作成する「有価証券報告書」という資料の中に載っています。
新製品・サービス情報
その会社が新しい製品やサービスの提供を開始する場合、それらをアピールするためにニュースを配信する事が多いです。必ずしも件数が多ければ良いという訳ではありませんが、同業他社と見比べてこれらの件数が多い事は、「新しい事により積極的」とは言えると思います。
また、これらの内容を読めば、それぞれの会社が今何に力を入れているのか、どの方向に進もうとしているのかが分かると思います。
さて、いかがでしたでしょうか?
エンジニアの皆さんにとって、一番大事なことは、自らの技術スキルがその会社にマッチするかどうかや、今後の技術レベルやポジショニング向上に向けたキャリアの志向性かと思いますが、その「器」となる会社組織全体についても気にしながら、より良い会社との出会いを目指してはいかがでしょうか?
ちなみに当社は、これまでは業績が順調に伸びてきた中、どちらかと言えば「堅実派」でした。しかし、業績が今期は踊り場を迎えた事から、これからは素早く変化しながら積極的に事業を展開していく必要があると考えています。これまでの当社の良い面(誠実さ、仲間意識、チームプレー)を尊重しつつ、勇気と責任感を持って事業を推進していく気概のある方、ぜひジョインして下さい!!