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【対談】成長するエンジニアの共通点とは?〜DentaLightの元CTOと現CTOが語り合うエンジニアの成長課題〜

こんにちは!今回は、「エンジニアの成長課題」をテーマに対談を企画しました。お話をいただいたのはDentaLightの元CTO・現CTOのお二人です。若手エンジニアとシニアエンジニア、それぞれが成長していくために必要なことについて、お二人の考えをざっくばらんにお話いただきました。

テーマ:「エンジニアの成長課題」

話し手:

吉田 憲司(よしだ けんじ)
コノハデザイン代表/株式会社wacha取締役
1979年生まれ エンジニア歴20年
福岡のソフトハウスで主に金融、水道、電力通信などのインフラシステムの開発にエンジニアとして12年間従事。その後、DentaLightの取締役CTOとしてグロースを6年間経験。2022年よりエンジニア採用、ITコンサルとして活動しつつ、株式会社wacha取締役として新規事業の立ち上げ、エンジニアとしても活動中。
三木 聖隆(みき まさたか)
株式会社DentaLight 取締役CTO
1980年生まれ エンジニア歴20年
広島と福岡のSIer 2社で開発業務を経験。前職で歯科医院向けのシステムをつくっていたときに、機会があり唾液検査を行ったところむし歯のリスクが高いことを知る。それをきっかけに歯科医院の先生方と話す機会が増えていく中で口腔ケアの重要性を認識し、歯科リテラシーを広めること、そして「起業家になる」という目標を胸に、スタートアップで勉強することを目的に、2021年1月にDentaLightにジョイン。プロダクトマネージャーとして、安心安全な開発体制と土台づくりを担う。


吉田:今日はよろしくお願いします。テーマはエンジニアの成長課題についてでしたね。

三木:そうですね。難しいテーマですが、よろしくお願いします。吉田さんはエンジニアの成長課題について、どう感じられていますか?

▼まずは、若手エンジニアの課題から

何から勉強を始めたらいいのかわからない問題

− 何をつくりたいの?

吉田:僕のところに、よく相談が来るんです。勉強しないといけないと思っていても、何から始めたらいいのかわからないっていう相談が。スキルアップのために何を勉強したらいいですかと。若手のエンジニア、特にエンジニアとしてキャリアをスタートしたばかりの人に多い。そういった人たちにいつも話をするのは、「何をつくりたいの?」ってこと。どんなプロダクトを、どんなシステムやアプリをつくりたいかを決めてから、それに必要なものを勉強する。これが大事だと思っています。

三木:そうですね。たまに「今からPHP始めます」という人もいますが、それでいいのかなとも思ったりもします。言語ありきでそれでいいのかな?と。違う機会で違う勉強をしないといけない。今、流行っている技術も5年後に通用するかはわからない。

吉田:おっしゃる通りですね。狭い範囲の技術に固執してしまうと成長できないですね。

興味があるから、技術に触れる

− とにかく触ってみる、とりあえずやってみる

吉田:それからもう一つ大事だと思っているのは、技術に興味関心を持って、とにかく触ってみるということです。最近、ある新しいフレームワークが出てきたので興味があって週末に触ったりするんですけど、これって勉強ではないよなと思ったりもします。興味ある技術に触れてみるというのは勉強なんでしょうかね?興味があるからやっているだけで。たまたま僕がそうなのかなとも思いますが、これまでの経験の中で周りを見ていても、できる人は「勉強します」とわざわざ宣言していないです。

三木:子どもって、新しいことへの壁がないですよね。面白そうと食いついてきて、自分で使い倒していく。それは子どもの方が得意。大人は色んなことに慣れてくると、先に色々考えちゃってそういったことをやらなくなりますよね。

吉田:そうそう、損得で考えるというか。

三木:学習コストを初めから考えて、二の足を踏む。

吉田:そうですね。子どもは、勉強しているという意識はなくて、とりあえずやってみるということへの敷居が低い。

三木:こちらが難しいことを教えると聞かないんですよね(笑)。ちゃんとスルーしてくる。わかることしか理解しようとしない。そういうナチュラルな姿勢って大事だなと。無理に覚えようとせず、覚えられるところから順番に勝手に覚えていく。だから素直に成長できる。コンピューターの世界においても、無理に勉強しようとせず、とりあえず触ってみて、段々身についていく。これが必要なのかなと。

吉田:実家が米農家をやっていて、米の在庫管理をするために何か作ろうと考えたときがあって。ちょうどFlutterが出たばかりの頃だったので、とにかく触ってみようと思ってFlutterでつくることにしたんです。そのときに、FlutterとDartを使えるようになりました。そんな感じですよね。僕のやり方が正しいとは思わないけど、これって勉強のつもりでやったんじゃないんですよね。遊びでつくったというか、そんな感覚。勉強を仕事と捉えるから「業務時間にやっていいですか」となってしまうんじゃないなかなと。

三木:素晴らしいですね。そうやって取り組んでいくと自然と幅が広がっていきますよね。

本質的な解決のためにできる方法を考る、ないものは作る思考

−「自分はできる」と思い込まず、学び続ける

三木:最近のエンジニアのスキル構築は、昔と変わってきているなと感じています。ちょっと学んで何かできるようになったら、すぐ「自分はできる」と思い込んでしまう。それは、エンジニアになるということへの敷居が低くなっていることも影響しているのかなと。プログラミングを学ぶ動画を見れば、すぐに何か作れる時代です。3時間も動画を見れば何か作れますからね。

吉田:確かに。エンジニアになることが目的になっているというか、エンジニアが稼げるという神話みたいなものがありますよね。もちろん稼げる人は稼げる。でもそれはスキルだけではない能力を持っているから稼げるのであって。

三木:例えば、ReactやVueは数時間あれば素人でもできるようになれます。勘違いしてしまうっていうのはあると思います。でもそれは、その人がすごいんじゃなくて、仕組みがすごいだけで。ちょっと学んでいくとできることが増えてきて楽しくなるんですけど。でも、超えて欲しいのはその先であって。業務システムなどを作っていくと、ちょっと学んだだけではできないことがたくさん出てきて、壁にぶち当たります。そこをいかに超えていくのか。

− エンジニアの仕事とは

三木:若手と接してて思うのは、例えば、ライブラリが対応できないときにそれを解決しようとしない。「できないからできない」で終わってしまう。なかったら作るっていう発想にならない。ライブラリに依存しちゃっているなと。パズルを組み立てることは上手だけど、自分でパズルを作ろうとしない。そこをやろうとするのかどうかでその後が変わってきそうな気がしています。

吉田:なければ自分で作るという思考は大事ですよね。

三木:本質的に解決方法があるのに、「こういうライブラリ使っていてこうしかできないから、こう作りましょう」というように方針を決めるのが、僕はちょっと嫌なんですよね。そういう風に舵切っちゃうと、実際にお客様が使ってみると使いにくいということが起きて。もっとこうだったらいいのにな、ということが起きてしまう。でもそういう時に「こういう事情でできません」と言わざるを得なくなります。それって、お客様も自分たちもどちらにとっても不幸ですよね。本当は、時間をかけて本質を解決できれば、お客様にも喜ばれるし、自分たちのやりがいにもなる。これって成長するために大事なことなんですよね。

吉田:プログラムを作るだけがエンジニアの仕事じゃないですもんね。エンジニアの仕事って、半分くらいはお客様との対話ですよね。これどうしましょうか、どう実装しましょうか、とか。たくさん話し合って。

− 次に一歩踏み出す

三木:そうですよね。エンジニアやっててよかったって思うのは、「こういうのを作ってほしい」「これを解決してほしい」と言われたときに、「もっとこうしたら良くなりますよ」と提案してうまくいったときです。自分の力でできたという自信にもなります。そういった体験を増やしていくことで、新しい発見も生まれるし、また新しいことを学ぼうという意欲にもつながるなと思います。やっぱり、本質的な解決のために、できる方法を考える、ないものは作る。この発想での取り組みが、次に飛び出す一歩になりますよね。

身を置く環境と機会を生かして学び続ける

− やらなければいけない環境に身を置く

三木:自分が運営しているコミュニティで、「この部分つくってほしい」とか、「これをレビューしてほしい」と依頼されることがありますが、それに応えるために勉強することがありますね。

吉田:なるほど、そうですね。LTとかで誤った情報を出さないように調べたりしますね。

三木:勉強しようと思ってするときもありますけど、とにかくやらないといけない環境に自分の身を置くというのは大事だなと。

− 社内LTでアウトプット、学びの共有

三木:社内に目を向けると、スキル、技術はDentaLightでなくても学べます。でもDentaLightでしか学べないこと、つまり歯科の知識を業務を通じて学んでほしいと考えています。業界を知る、社会を知ることは企業人として、仕事をする上で大事なことです。

吉田:自分が将来やりたいことがあったらそれを学んでいくことは必要ですよね。会社の中で業務を通じて学べたらいいですし、会社の業務で学べなかったら社外で勉強したらいいんです。イベントに参加するとか。

三木:ただ、みんながみんな自主的に学んでいける人たちではないですよね。開発チームをマネジメントする立場として、そういう人たちが学んでいけるようになるにはどうしたらいいのか。チームづくりという観点で最近考えることがあります。

三木:自分のチャレンジとしては、社内でLT会をやってみました。業務で学んだことを共有する場です。この取り組みが定着してきたのでよかったなと。やはり場をつくることが大事なのかなと感じますね。

吉田:いいですね。アウトプットの場を毎週つくっている会社もあります。毎週LT会の実施。個人的には、それを社外に公開してやるといいと思っています。社外の人を巻き込んで大きなコミュニティにすることで学びが広がる。DentaLightを中心にそういったことをやれるといいですよね。


▼次に、シニアエンジニアの課題について

技術革新を受け入れる、生かす

吉田:ここまでどちらかというと若手エンジニアの課題について触れてきましたが、シニアエンジニアの課題はどう思いますか?…そういう自分もいつの間にかシニアの域に入っているのか(笑)。

三木:やっぱり、学ぶことをやめたらいけないですよね。

− AIを否定する?危機意識を持つべし

吉田:うんうん、そうですよね。子どもの通う小学校のおやじの会のつながりで、いろんな業種の人と話す機会がありますが、AIの話題になると自分の仕事はAIに奪われない、全然大丈夫って思っている人が結構いて。AIで生成したものは人間臭さがなくて面白くない。面白くないから使わないと。でも、それって使い方次第ではないかなって思うんです。

吉田:ChatGPTはできた以上はもうなくならないと思いますが、例えば、CopilotみたいにAIは一緒にものづくりをするパートナーになってくる。ただ、AIは責任は持てないので、AIが生成したものに責任を持つ人、つまりエンジニアがいないといけない。AIがアウトプットしたものをチェックして、エラー処理して。そうやって一緒にものづくりをしていく。そういうものだと思うのに、AIを否定する人がいるんですよね。エンジニアの中にも。そういった人たちは必然的にアウトプットが少なくなってくると思っています。これからは、アウトプットを多く求められてくる時代になると考えています。ChatGPTなんかは一瞬でコードを組める。技術革新は受け入れていかないと厳しいなと感じますね。

三木:日々ルーチン的にやっている業務はなくなっていきますよね。Copilotも、質の良いペアプロですよね。今まで二人でやっていたことを一人でできる。もう一人は別の仕事ができて、生産性が上がる。今やっている仕事がAIに置き換わるんじゃないかということは考えていた方がいいでしょうね。

− 時間の使い方が変わる

三木:これから生成AIありきのものが絶対に出てくる。僕らの生成AIがない時代って、組んだプログラムがうまく動かないときに、なぜ動かないのか必死に調べていましたけど、今はその解決が一瞬で片付きます。となると学習の仕方が絶対に変わります。覚えておかないといけなかったことも覚えなくてもよくなったり。そうすると知識も広く浅くでもよくなるかもしれない。ただ一方で、業務に必要なドメインの知識は自分で学んでいかないと身につかないですから、そちらに時間を割けるようになるのは大きいですね。

吉田:そうすると、作る時間はある程度減ってくるのか。

吉田:僕らのときって、C言語でメモリ管理とか大学の頃勉強していたけど、今やらないですよね。メモリ管理って何?ってなりますよね。

三木:メモリ疑うことって今はないですもんね。それと同じですよね。やらないといけなかったことを今はやらなくてよくなったり。自戒を込めてですが、時間の使い方をシニアは考えていかないといけないかなと。

成長するエンジニアの特長、共通点

− なんでもやってみるという自主性と積極性

吉田:成長しているエンジニアの特長や共通点って、なんでしょうか?

三木:子どもにプログラミングを教える活動をしていて、その中に20代のメンバーがいるんですけど、なんでも「自分がやります」と手を上げるんです。「こういうのあったらいいねー」と話が出たら、すぐに「やってみます!」と。とりあえず動くものを素早く作ってくる。その積極性と実行力はすごいなと思います。

三木:DentaLight社内でいうと、天邪鬼タイプなメンバーが一人いるのですが、なんだかんだ全部カバーしてくるんです。向上心があって、勉強がすごく好き。尊敬しますね。やっぱり積極性。やってみたい、やってみようと思える姿勢です。子どもみたいに無邪気にやってほしい。そうすると、自ずと成長していけると思います。

吉田:素晴らしいですね。積極性大事ですね。

− 新しい技術への敷居の低さ

吉田:最近、身近な若手エンジニアで優秀な人がいて。その人は、新しい技術に対する敷居が低くて、とりあえず使ってみましょう、とりあえず触ってみましょうというタイプのエンジニアなんです。その主体的で、アクティブな姿勢が素晴らしいですね。だから成長スピードも早いです。

三木:確かに。これからの時代、成長スピードはより求められるし、そういった意味でもチャレンジする姿勢は重要になってきますよね。


▼最後に、お二人のご自身の課題感について

三木:自分一人ではできないことをできる人たちと一緒にやって、大きな仕事をしたいですね。小粒な仕事はたくさんやってきたので。「これをつくった」と言えるようなものをたくさんやっていきたいです。

吉田:いいですね。僕の場合は、やりたいことがたくさんあるんですよね。ブロックチェーンとかNFTとか。とりあえず手を出したい。でも、僕が自分でやりたがりなところがあるので、人に任せられるようにならないといけないです。すぐ自分でやってしまうので。周りからも他の人に任せた方がいいいと言われる。だから、今やっていることを誰かに任せて、自分がやりたいことにチャレンジしていきたいですね。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。いかがでしたか?これからの成長に課題感を持つエンジニアの皆様にとって、ヒントとなるお話をいただけたのではないかと思います。吉田さん、三木さん、ありがとうございました!

(対談:2023年10月下旬)


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