(この記事は DeNAヘルスケア事業本部サイトからの転載です)
6.16%――。
なんの数字かわかりますか?
実はこれ、日本における男性の育児休業を取得した男性正社員の割合です(2018年度・厚生労働省調査)。
一方でDeNAヘルスケア事業本部の男性社員の育休取得率は、なんと50.0%!(2018年8月~2019年7月の1年間)。子供が生まれた6人のパパのうち、3人が育児休業を取得したのです。
「育休などはいくら制度があったとしても、育休に理解ある“風土”がないと取りづらいもの。そういう意味ではDeNAは圧倒的に取りやすい風土というか、ムードがある」と、今年育休を取得した1人である日暮菜雄は言います。
実際、育休の取得はどうだったのか、日暮の体験談を聞きました。
父のように、子供との時間を大切にしたかった。
――日暮さんは、いつ育児休業をとられたんですか?
日暮菜雄(以下、日暮):今年の7月に第二子である長女が生まれて、その直前にベビーケア休暇からまずとりました。そして生まれた日から2ヶ月間、育休を取得したんです。
――ベビーケア休暇とは?
日暮:DeNAの制度で、配偶者が出産したとき、年次有給休暇とはまた別に出産予定日前後に5日間の有給休暇がとれる、というもの。だから合計すると65日間、育休をとったことになりますね。
――もっとも、日暮さんは第一子の時は、育休制度を使わなかったそうですね?
日暮:そうなんです。まだ前の会社にいたころでしたからね。
僕は新卒でリクルートに入り、その後、転職して医療系の人材会社へ。そして、「もともと興味のあるヘルスケア領域で、しかもBtoCの事業を手掛けたい」と考えてDeNAに転職しました。
それが2016年12月。長男が生まれたのが、その一ヶ月前の11月だったので、退職前の有給休暇をちょうど消化して育休のように使うことができたんです。
――今回は早くから「育休をとろう」と決めていたそうですね?
日暮:はい。実はきっかけがあって、DeNAに入った直後は、少しがんばりすぎて体調を崩してしまったんですね。
これを機に「働き方を変えよう」と、それまでの働き方とガラッと変えたんです。具体的には朝は早めに出社して、帰宅は必ず定時に、というワークスタイルをすでにはじめていたんですよ。
――なるほど。その延長で、育休もしっかりとろうと。
日暮:はい。体調を崩したタイミングで、子供の頃の父親の姿をあらためて思い出したことも影響しています。
父は公務員でしたが、途中でやめて自分で会社を経営していた人。仕事は忙しかったはずですが、時間を自由に使える面もあって、とにかく早く家に帰ってきた。そして僕と一緒にお風呂に入ったり、旅行につれていってくれました。
仕事もあきらめずに、あんな風に子供と接する生活ができるなら、自分もそっちを目指したい。子供にいい思い出を残してほしい。そう強く願うようになっていきました。だから2人目ができたとわかったときは「今回はしっかり育休をとろう!」と決めていましたね。
――とはいえ、正直、男性が育休をとるのは日本全体では少数派。言いづらさはなかったですか?
日暮:それがまったくなかったんですよ。というのは、私の上長が男性なのですが、彼がすでに育休経験者だったので。
制度だけではなく、理解ある“風土”に助けられた。
――上長が“育休パパの先輩”だったわけですね。
日暮:そうなんです。妻が安定期に入った2月くらいのタイミングで「育休をとりたいです」と上長に相談したら、「おめでとう! 育休期間はまかせるよ」と言ってくれました。すでに身近に育休経験者の男性がいたことは、そうとう心理的なハードルが低かったですね。
結局、妻と相談して育休期間は2ヶ月に。あまり取りすぎると仕事感が鈍る気もしたので、それくらいにしました。
――他の同僚の反応は?
日暮:想像以上に好意的でした。最後に「育休にいってらっしゃい飲み会」まで開いてくれて(笑)。ヘルスケアという業務上、QOLへの意識が高いのか、世間よりもすごく「生活を大切にする」「家庭を重視する」ことに共感してくれる人が揃っている気がします。
同時に大きいのは、現在の雇用形態が、「裁量労働制」であることかなと。時間の使い方は、個々人に委ねられる。
制度が整っているだけじゃなく、「裁量をもたせる。あとは自由に」という意識と空気があること。それこそが、DeNAヘルスケアが男女問わず育休をとりやすい理由かもしれません。とくに最近子供ができた男性社員の育休取得者は、直近1年だけで僕ふくめて6人中3人ですからね。ベビーケア休暇取得者も入れると、6人中5人が休暇の取得をしているんです。
――8割を超えますね! とはいえ、育休に入る前の「引き継ぎ」はとても気を遣われたと伺いました。
日暮:そうですね。私の担当業務は、kencom(※1)の新しいサービスやプロダクトの企画。業務上、幅広な部署や外部パートナーとすすめているプロジェクトがあり、タスクも多かった。なので、4ヶ月前から引き継ぎの工程表とマニュアルを作成。実際に業務を引き継いでもらう同僚には早めに自分の関わるミーティングに同席してもらったりしました。
※1 kencom 健康保険組合の加入者の皆さんや健診機関の受診者など、団体を通してサービスを提供するBtoBtoC型のヘルスケアエンターテインメントアプリ。
「名もなき家事」を体感して、妻と同志に。
――育休に入ってからは、具体的にはどのように時間を使われたのですか?
日暮:基本的に妻は生まれてきた長女の育児にかかりっきりになりました。なので、それ以外の「すべての家事」と「長男の世話」が僕の仕事になったんですね。
ざっくりとスケジュールを言うと朝起きて、朝食を作る。長男を起こして、ご飯を食べさせ、着替えさせて、ゴミを捨てがてら保育園へ送る。いまコレ簡単に言いましたが、1,2時間かかりますからね。
「食べない」「着替えない」「保育園いきたがらない」という長男の抵抗を、うまくいなしながらなので(笑)。
――よくわかります(笑)。保育園に送ったあとは?
日暮:ようやく家事です。
洗濯機をまわして、掃除機をかけ、お昼になる前に妻と自分の昼食をつくって、食べて、ようやく一息つける。そうこうすると、もう16時前で、お迎えの時間。夫婦で育休をとっていると、保育園の預かり時間がどうしても短く制限されるんですよね。
だから迎えにいく。すると今度は長男が「帰りたがらない」(笑)。
――とてもわかります(笑)。
日暮:なんとか先生から引き剥がして、スーパーで買い物をしてから帰宅。夕ご飯の支度をして、子供に食べさせて、長男がテレビを観ている間に、長女をお風呂に入れて、着替えさせて、長男と1時間くらい格闘の末に、寝かす。
そして妻が入浴している間に、今度は長女を抱っこしながらソファーに座り、背中をぽんぽんと叩きながら今度はこちらを寝かしつけて、布団に入れる。1日が終わる(苦笑)。
――家事と長男の育児と、フルコース。仕事より大変そうですね。
日暮:実は家事そのものは以前からやっていて、掃除・洗濯は好きで得意なので苦ではありませんでした。けれど、ほぼすべての家事を任されて、はじめて見えていなかった「名もなき家事」がたくさんあることに気付かされましたね。
「子供の連絡帳のチェックと記入」「生協への注文と受け取り」「冷蔵庫の在庫管理」「洗剤の詰め替え」……。こうした、家事の一部をやっただけでは見えてこない細かなタスクが本当にたくさんある。その大変さを体感できたことは、本当に良かったですね。復帰後もごく自然に家事をうまく分担しよう、という気持ちになりましたね。
――そのほか、育休で得たメリットはありますか?
日暮:もちろん子供との濃密な時間がとれたことは代えがたい経験でした。あとは、ママ友のネットワークに入れてもらえて、気軽に情報交換ができるようになったのも良かった。
ただやはり一番は家事と育児の苦労を共有できたことで、妻と同志のような関係にあらためてなれたことですね。
――「体験してわかる」という意味では、育休で日暮さんが休んだ間、サポートしてくれた同僚の方々とのリレーションも変わりそうですね。
日暮:それはあります。「お互いさま」の感覚が芽生えるから、多くの男性が育休をとって、当たり前に支えるというムードが醸成されていくんだなと感じましたね。
――復帰はスムーズでしたか?
日暮:まったく問題なかったですね。ただ、妻が「一馬力になるのが不安…...」とむしろ、家庭のほうが心配でしたね(笑)。ただ、育休から復帰したあとも、やはりなるべく早めに出社して、17時には退社するスタイルで、なるべく家事と育児に時間を割けられるスケジュールを続けています。
さらに今後は、いまDeNAでも取り組みを始めているリモートワークを試していきたいですね。
――なるほど。いま育休を考えている、どうしようかと悩んでいるパパに何か後押しするようなアドバイスは?
日暮:「仕事大丈夫かな」とか「引き継ぎが大変そうだな」とか考え始めると本当にキリがないと思うんです。だから、とにかく「育休をとる」と決めてしまい、宣言することだと思いますね。そうするとやらなければならないことが明確になって、動き出さずにいられなくなる。
あとはやはり周囲の協力が不可欠なので、普段からの関係性もふくめてコミュニケーションをしておくこと。あとは社内ですでに育休を取っている方がいらっしゃったら、その方々の情報がオープンだといいですね! 相談することができるだけで、ずいぶんとハードルが下がります。DeNAヘルスケアへの転職もいいですね(笑)。僕をふくめて、経験者がなんでも相談にのりますよ(笑)。
日暮菜雄(ひぐらし なお)|DeNAヘルスケア事業本部
DeSCヘルスケア kencomサービス部 プラットフォーム企画開発グループ
1984年千葉県生まれ。早稲田大学、東京工業大学大学院でスポーツ/運動工学を専攻。修士課程修了後、新卒でリクルートに就職。リクルートではリクナビの開発プロジェクト管理等に携わる。2014年に医療人材系の会社に転職。プロジェクトマネージャーや企画開発を担当する。2016年12月にDeNAに転職。DeSCヘルスケアにおいて健診機関向けのkencomの立ち上げや、kencomサービスの企画業務に従事。趣味は走ること(マラソンやトレイルランニング)。
聞き手:箱田 高樹 編集:八島 朱里 撮影:小堀 将生
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