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常に「余白」を大切に──仕事も人生も楽しみたいから

技術部門の部長として日々を多忙に過ごす三橋まさと。職場での「エンジニアの顔」以外にも、実はさまざまな側面を持っています。その源泉は「楽しむこと」へのこだわりです。三橋はどうやって、楽しさを体現しているのでしょう?

ものづくりの楽しさと、人に見て楽しんでもらう楽しさ

幼い頃から知らないことを知るのに貪欲だったという三橋。中学くらいまでは受身でインプットをするばかりでしたが、中学校に入ってから、アウトプットにも興味を持つようになります。

三橋 「小さい頃は病弱で、家で過ごすことが多かったんです。だからかな、自分にとってアウトプットの方法は『ものづくり』でした。ものをつくることが自己表現だったんだと思います」

学校での図工の授業に始まり、ゲームやプログラミングも好き。当時はパソコン通信で多くの人に自分がつくったものを共有できる場があり、そこに自作のCGを公開していたことも。

三橋 「学生時代にインターネットへ自分の作品を公開し、人に見て楽しんでもらう喜びを知りました。そのとき感じた楽しさが、今の仕事にもつながっているのかなと思います」

“女性”の世界が好きな理由

現在は女性向けゲームのエンジニアを担当している三橋は、「男性が女性向けサービスをやるのって楽しい?」とよく聞かれます。しかし三橋自身は女性向けサービスが楽しく、やりがいも感じています。

三橋 「根が乙女なんです(笑)。小さい頃から女の子向けのマンガとかも好きで。その当時は、男の子が女の子のマンガを読むのはまだ『変』っていわれる時代でしたね。逆も然りで。ただ、そういうことは気にならなかったんです。だって、楽しいに垣根はないから。ダイバーシティの先駆けですね(笑)」

社会人としてエンタメ業界へ転職してからは、占いや恋愛ゲームなど、もっぱら女性向けサービスに携わっています。転職した当時は、女性向けサービスといえば占いくらいしかなく、ゲームは男性がやるものという時代でした。

三橋 「ものづくりって観点からすると、女性向けコンテンツをつくる方が繊細なセンス求められると思うんです。つくり込む楽しさや繊細なものをつくっているイメージが、女性向けサービスに引かれるゆえんです」

また、きちんとつくって提供すれば、女性の方がひとつのサービスを長く愛してくれて、アップダウンが少ないとも感じています。アンケートの返答率も女性の方が高く、フィードバックの楽しさもあります。

三橋 「やはり人間なので褒められたいですよね(笑)。女性は繊細なものをきちんとつくれば、きちんと評価してくれる。これからも女性向けコンテンツをつくっていきたいです」

目に見える垣根を取っ払って、自身の求める本質を追求すると、それが実現できる領域が見えてくるのです。

自分の世界を広げることが楽しさにつながる

三橋を語るときに忘れられないのが、趣味の多様さです。

立体造形、とくにビスクドールや球体関節人形の造形が好きで、造形サークルに参加中、『ドールのようになれる、人がかぶり人形になれるマスク』を公開。主任造形師のもと、主に仕上げ、カスタム担当として作品を発表し続けています。

乗り物も好きで、自分で乗るのも好きだしフィギュアを集めるのも好き。車を3台、バイクを6台、自転車を4台所持するほどです。その他にもアニメや映画も好きだし、聖地巡礼にも足しげく通います。旧式パソコンも好きで常に稼働できる状態を維持しています。

三橋 「知識欲が強いし、収集癖もあります(笑)。とにかく、知らないことを知るのが好きですね。なんでも知りたいし、知らないことがあるのが悔しいです。なぜなら、知らないことを知ると、そこには必ず発見があるから。どこに自分の得意分野が転がっているかもわからないですしね」

仕事では時に大変なことやつらいこともあります。ただ、多くの趣味を持つことで、それよりも楽しいことの方が多かったり、やりたいことがいっぱいあったりする。それが仕事を頑張る力にもつながっているのです。

自分の世界を広げることが、仕事においても人生においても、楽しさをつくり出すエッセンスになっています。

エンジニアとして今、思うこと

エンジニアは新しいことへ挑戦するのも必要ですが、過去のものを継承して安定させるのも必要で、その両方をやらなくてはいけません。新しいことばかりやるのは、ただのわがままだと考えています。だからこそ、ちょっとでも遊ぶ時間を設けることが大事です。

三橋 「エンジニアって余力がないとやる気がなくなっちゃうんですよね。ここからここまでって時間管理に無駄がないプロセスは破綻します。ものを考える時間、新しいことを考える時間が必要です。極論、納期を守れれば何をしても良いです。みんなには、自分の自由な時間を使って伸びていくエンジニアになってほしいと思います」

また、空き時間を趣味に振るか仕事に振るかはその人それぞれですが、いかに毎日楽しく仕事ができるか?を常に考え、おのおのが自身のモチベーションをコントロールできるようなチームをつくっていきたいと考えています。

三橋 「良い仕事をする上でモチベーションは不可欠です。モチベーションの源泉は人それぞれですが、自分にとってのモチベーションは『人に見てもらって嬉しい』と『お金を稼ぎたい』のふたつです。行き着くところ、そのふたつは一緒だなって思います。美術家と同じで、評価は価格であり、クレジット、名誉は次の仕事につながるものでもあり、自分が生きた証でもありますから。お金を稼ぎたいのは趣味に費やしたいからです(笑)」

一度の人生の中ではやり切れないと思うほどに、やりたいことがいっぱいあるからこそ、それを実現できる「余白」を常に持ち続け、仕事も人生も悔いなく楽しみたい。そして、その背中を若い世代にも見せていきたい。

三橋はこれからも、エンタテインメントな人生を自らが体現していきます。

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