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cotree×TYME対談:MVVリニューアル共創プロジェクトを振り返って

株式会社cotree(コトリー)は、オンラインカウンセリングの「cotree」、個人向けアセスメントコーチングサービスなどを提供している会社です。

2023年3月、cotreeはミッション・ビジョン・バリュー、そしてコーポレートサイトをリニューアルしました。今回は、リニューアルプロジェクトをサポートいただいたクリエイティブエージェンシーのTYME株式会社から代表の上田さんと小山さんをお迎えして、cotree代表取締役の西岡とともにプロジェクトを振り返ります!

株式会社cotreeがミッション・ビジョン・バリュー、コーポレートデザインを刷新
2014年10月にサービスを開始以降、これまでcotreeを通じたオンラインカウンセリングの相談件数は、「書くカウンセリング」、「話すカウンセリング」の合計で11万件を超え、心理資格の中でも専門性の高い「臨床心理士」や「公認心理師」の保有者は150名以上登録し、国内最大級の登録数*となりました。 ※国内カウンセリングサービスの公開カウンセラー数を比較(2023年3月時点、自社調べ) ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000103500.html


まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

西岡
株式会社cotreeで2代目の代表取締役をしている西岡です。今回、会社の体制が大きく変わったなか、ミッション・ビジョン・バリュー・コーポレートデザインのリニューアルプロジェクトをTYMEさんにサポートいただきました。

上田
株式会社TYMEで代表取締役をしている上田と申します。基本的に映像の企画、クリエイティブディレクションを中心にやっていて、最近はブランディング領域にも業務を広げています。今回、プロジェクトの監修をさせていただきました。

小山
同じく株式会社TYMEの小山です。今回、主にデザイン面を担当させていただきました。

中央:上田さん・右:小山さん


今回のリニューアルプロジェクトは2022年8月頃からスタートして、長期にわたるものでした。西岡さんと上田さんが知り合ったのは、どのタイミングだったのでしょうか。

西岡
プロジェクト初期から、型にはまった進め方ではなく、私たちと一緒に作り上げていただけるような外部パートナーを探していました。TYMEさんは共通の知り合いにご紹介いただいて、実績が豊富なだけではなく、これからのブランドデザインについて深く考えていらっしゃって、ぜひご一緒したいと思いました。

上田
ちょうどお話をいただく前にTYMEの未来を見直していて、キーワードとして「ブランディング」がありました。従来のブランドデザインのやり方ではないことができたらいいのではと思っていたところ、「イメージ通りのお仕事が来た!やろうやろう!」と。すごく大きな意思決定されたタイミングでのブランドデザインに大きな価値を感じました。

これまでは映像やイベントの企画演出など基本的には流動的なお仕事が多かったのですが、「ストーリー」を作ることが色んな案件のコアにはなっていたんですね。ストーリーづくりはブランドデザインにも活かせるのではないかと思いました。


今回のリニューアルプロジェクトは、どのように進めていったのでしょうか?

西岡
まずはTYMEさんに私と事業責任者の茂木さんの2人にインタビューをしていただいたり、他メンバーも含めてワークショップもしました。TYMEさんにまるっとお渡ししたわけではなく、常にslackでコミュニケーションを取りながら丁寧に進めていただきました。まさに「共創」していった形かなと思います。

上田
TYMEでこういった進め方は初めてでしたが、独立する前は公共施設の案件で地域に向けたワークショップなどもしたことがありました。そのときの仕事の進め方を思い出しましたね。オーダーに対して答えを出すのではなく、一緒に共創するという進め方に違和感はなかったです。

西岡
いままでのデザイン会社のイメージだと、要件を伝えて上がってきたA・B・C案から選んでアウトプットをすりあわせていく形でした。

今回、TYMEさんには私たちの背景をきちんと汲み取っていただいて、最終的なビジュアルだけではなく言葉やストーリーを一緒に創っていくプロセスを取りました。だからこそ、デザインができあがった時には驚きや違和感などはなくて、「ああ、たしかに!私たちの想いはこういう絵になるよな〜」という納得感が強くありました。

上田
通常の広告クリエイティブを例にすると、エージェンシー・クリエイティブディレクター・コピーライター・アートディレクターと分かれていて、クライアントさんの考えを翻訳するひとと絵にするひとは分業でやっていくことが多いんですね。そこを取っ払って、どちらもTYMEでやっていくことが今回のプロジェクトに合っていたかもしれません。


ワークショップは、どのようなことをしたのでしょうか?

西岡
まずは全メンバーにMiro(オンラインのホワイトボード)を使って、「ビジョンにある「やさしさ」とは具体的にどういうことか?」「cotreeを英単語一文字で表すと?」「cotreeを擬人化するとどんな人?」「働く上で大切にしている価値観は?」といったことを機能価値・感性価値・対内価値(社員の価値観など)の3軸で考えてもらいました。

それを元に私と事業責任者の茂木さん、取締役の古田さん、デザイナーの上さんのcotreeメンバー4名とTYMEさんとでワークショップをして議論を深めていった形です。

全社ワークショップで実際に使ったMiro


上田
あと「"cotreeさん"とお客さんが集う場所のイメージを教えてください」「"cotreeさん"が振る舞う料理(ドリンクも可) はどんなものでしょうか?」といったビジュアルで答える問いかけもして、右脳の部分と左脳の部分を行き来しながら進められるようにしました。

西岡
「"cotreeさん"が振る舞う料理(ドリンクも可) はどんなものでしょうか?」という質問は、色々なアイデアが出ました。「参鶏湯」や「焼きたてのアップルパイ」なんて回答から「バクラヴァ」なんていう珍しい中近東の食べ物の名前も出ました。書いたメンバーによると、カウンセリングって知ってる人は知ってるけれど知らない人は知らない、出した時に知ってる人は非常に喜ぶものの、知らない人は「これはお菓子なんですか?」となる。そんな食べ物を書いたそうです。

いままでもcotreeについて社内で議論してきたものの、問いかけを変えるだけで、いつもと異なる会話が広がっていき、すごく面白いなと思いました。

上田
このワークショップを通して、「cotreeって"場"なんだ」という共通認識が出てきました。代々木公園のような広々とした公園というよりは、すこし静けさがあって風通しの良い居心地の良い場所のイメージです。最終的なMVVを決める際にも、ここで出てきたものがしっかり表現できているか何度も立ち返るなど、ベースとなったワークショップでした。

西岡
言葉だけで雰囲気を伝え切ることは難しいですが、ビジュアルを共有することで一気にイメージが湧きました。デザインを生業にされているTYMEさんならではのワークショップが出来たのではないかと思っています。


実際にワークショップをやってみて、一番面白かった/逆に大変だったというポイントはどんなところでしたか?

西岡
メンバー同士だけではなく自分自身も「ここのニュアンスはたしかにこれだけど、ここはちょっと違ったかも」といった微妙な認識の違いを整えることができて、私の頭の中もクリアになりました。

大変だったことは、常にロジック寄りのメンバーたちもいるので、雰囲気や色など抽象的な話に苦労してましたね。普段のビジネスの場では問われない問いかけがあったりしたので。いつもと違う頭脳の使い方をしたのではないかと思います。

上田
もっと形式的で遊びがないようなワークショップもありますが、西岡さんとどんなワークショップにするか話しながら、右脳や左脳、言葉とビジュアルを大切にしようと。今回は、我々なりに試行錯誤しながらアレンジをして1回90分くらいにまとめたプログラムを作ったのは面白かったですね。

小山
出てきたキーワードを組み合わせていって、そこから生み出されていく模様みたいなものを考えていった時に、「これだと強度がないな」とか「ちょっと抽象的過ぎて伝わらないかも」と常に客観的な視線を持ちながら創っていくことが難しかったですね。またcotreeさんとやりとりしながら擦り合わせていくというのは、自分としても新しい取り組みでした。


これまで白や緑を基調としたデザインから、5つの和の色を軸にグラデーションを使ったビジュアルに変更になりました。これらはどのように決めていったのでしょうか?

before

after

上田
MVを書き進める中で「やさしい居場所」というキーワードに辿り着き、「じゃあ、やさしい居場所ってどういう場所だろう?」と考えた時に、「人とのつながりにぬくもりを与えるところ」「円」「でこぼこな円」といったものをビジュアルに落とし込んでいきました。

西岡さんにインタビューした時に「四季」の美しさを話されていて大事にしたいと思い、和の色を選びました。西洋的なバシッとした色味を使うと強過ぎてしまって「あいまいさ」が出しづらいんですね。それに比べると和の色は沈んでしまったり静かだったり、結構使うのが難しかったりもするのですが、和の色を使うことはcotreeらしさを雄弁に語ると思いました。

特に、やさしくてあたたかい色だけではなく、「留紺」という一見「孤独」や「ネガティブさ」を表すような深い色を使ったこともcotreeにとって重要な色だったのではないかと。より一層、他の色も引き立つようになりました。


円が重なるイメージについては色んなパターンを作っていたと思うのですが、TYMEとcotreeでそれぞれどういった視点で作られていたのでしょうか?

上田
今回、cotreeのデザイナーである上さんと一緒に作っていったことも重要なポイントで、TYMEからのフィードバックを上さん自身が咀嚼して形にしてまたやりとりをするといった対話がありました。おそらく社内だけだとある程度コントロールができたり、「ゆらぎ」が無かったりするかと思うのですが、今回は社内外を交えたことで「そういうふうに捉えるんだ」といった意外な視点をやりとりすることで、上さん自身に変化や成長があったように思います。

小山
そうですね、最初の頃は2〜3案だったデザイン案が最終的には10案以上出てきたり、上さん自身のデザインの考え方がだんだん馴染んできたような感じがありました。

西岡
なかなかデザインの知識を教育やインプットを十分にできる環境ではなかったので、プロフェッショナルなTYMEさんと一緒に創り上げるプロセスを歩めたことで、徐々に上さん自身が「こうしたら良いのでは」と自発的に意思を伝えるようになってくれたことが嬉しかったですね。

最後の詰めの段階ではcotree側とTYME側で調整しながら進めていたかと思うのですが、調整する中で見えてきた違いはありましたか?

上田
最初はワークショップをもとにしながら、ふんわりしたやさしい言葉でつくっていたのですが、そこから「もうすこし、具体化したい」というオーダーがあって。すこし硬めに構築をすると元々持っていたふんわりしていた部分が削ぎ落とされ過ぎてしまったりして、そこらへんの調整は難しかったです。

西岡
しっかり共感いただけるMVVを作ろうとした時に、まずはメンバーたち全員が語れるものにしないといけない。この抽象度でメンバーたちに浸透させることができるだろうか?と、もっと解像度を上げるためにフィードバックさせていただきました。世界観を残しつつも具体的なキーワードを入れて微妙なバランス感を調整して、最終的にはいい形に落ち着きました。


今回のベストこだわり・気に入っているポイントを教えてください。

上田
ミッションの「やさしさでつながる社会をつくる」から「やさしい居場所」というキーワードに辿り着いたことですね。初期からあった「木漏れ日の光」「光が当たっているあたたかい場所」といったイメージを、「居場所」や「心のサードプレイス」など違う言い方をしていたのですが、「やさしい居場所」というしっくりくる言葉に出来たときが嬉しかったです。

小山
和の色が気に入っています。そもそも色を定義するってどういうことなんだろう?というところから始まりつつも、cotreeが定義する色から見える風景やストーリーを模索しながら「いいときもあれば、わるいときもあるよね」といったイメージをうまく表現できたのではないかと思っています。

西岡
私も5色のカラーですね。せっかくビジュアルやブランドカラーを変えるのであれば、カラー自体にも意味を持たせたいと思ったんです。いままでを大事にしながらもこれからの事業や組織において必要なことを表せたのではないかと、この5色を使っていくことにワクワクしています。

「正円」ではなく「でこぼこな円」にしたところもポイントです。このメンタルヘルス領域において、整っている状態が美しいわけではないと感じていて。四季の移り変わりがそれぞれ美しいように、人間のメンタルヘルスの状態も誰もが冬になり、また綺麗な花を咲かせる時もある、1つ1つが大事なシーンだと思っています。そのように、でこぼこな円が重なっていくと正円になっていく表現が気に入っています。

最後の最後には、A案かB案か迷っていたときに社内に持ち帰ってみると、「なんとなく良さそう」とか「こっちだと王道では」と見てしまったりで意見も割れて難しかったのですが、TYMEさんから「メンバーの皆さんの納得度が大事」と折衷案のC案を作ってくださって、それを磨いていったものに決まりました。

上田
社内の人たちの「これは自分たちだ」と思えるかはすごく重要で、「なんかしっくりこないな」と思う部分は、きっと何かが足りてないんですよね。

小山
デザインを客観的に見たときに視認性が取れているかとか、強度はどうだとか気にしてしまうのですが、最後はメンバーの皆さんがこれをTシャツにして着れるくらい自信がある方がいいなと思いました。

西岡
内製だけでも外注だけでもまた違うものができたんだろうなと思います。私たちが掲げる「メンタルヘルスのインフラを創造する」というミッションを達成するためには、社内の納得感も社会からの共感もどちらも大切です。今回、こうしてcotreeとTYMEさん双方から見てバランスの取れたものが出来上がって良かったです。私も自信を持って発信できます!

MVV刷新についてnoteでも想いを書き出しているので見ていただけると嬉しいです。

わたしたちのこれから〜次なるcotreeのステージ〜|cotree 公式
わたしたちcotree(コトリー)の次なるステージ ...
https://note.com/cotree/n/n63eb23a6b4a4

いかがでしたか?今回、TYMEさんとcotreeによる共創だからこそ生まれたミッション・ビジョン・バリュー・コーポレートデザイン。

この「共創」という言葉は、個人それぞれの力を合わせたチームでの共創、そしてメンタルヘルス業界を超えて周りを巻き込んでいく共創など、新しいMVVのなかでも大事なキーワードになっています。

現在、新たなステージを迎えたcotreeでは、エンジニア・カウンセラー採用を強化しています。ご興味のある方は、ぜひエントリーをお待ちしております!

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