オンプレミスは自社内でサーバーを管理し、ITシステムを利用する形態です。情報漏洩のリスクが低く、既存のアプリケーションとの統合が容易です。一方、SaaSはインターネットを通じてベンダーが提供するソフトウェアを必要な分だけ利用できる形態です。どこからでもアクセス可能で、複数のユーザーが同時にファイルの編集や管理ができます。
オンプレミスとSaaSの違い
オンプレミスとSaaS(クラウドサービス)の違いについて解説します。
導入コスト
オンプレミス
- 自社内での管理と運用が必要であり、ハードウェアの導入費用がかかります。
- サーバーとして一般的なPCサーバーは約200万円かかる場合があります。
SaaS(クラウド)
- 物理サーバーの導入が不要なため、初期費用が大幅に削減されます。
- 一部のサービスでは初期費用が0円というものもあります。
運用コスト
オンプレミス
- ソフトウェアライセンスの購入やサーバーの運用にかかる人件費が高額です。
- IT技術者を雇用して運用管理する必要があります。
SaaS(クラウド)
- サービス利用料に含まれるため、月額費用で全てのコストを賄います。
- クラウドサービスプロバイダーが運用管理を行うため、内部のリソースを割かなくても済みます。
セキュリティ
オンプレミス
- 自社でのサーバー管理が可能であり、セキュリティ対策の全てを自社で行います。
- 物理的なセキュリティ対策も必要ですが、全体の管理が可能です。
SaaS(クラウド)
- プロバイダー側がセキュリティ対策を行っており、利用者はその恩恵を受けます。
- ユーザー側はログイン情報の管理や定期的なパスワード更新に責任を持つ必要があります。
導入期間
オンプレミス
- ハードウェアの調達やシステムの構築に数週間から数ヶ月の期間がかかります。
- 物理的なスペースの確保も必要です。
SaaS(クラウド)
- 申し込み後すぐに利用を開始できることが多く、導入障壁が低いのが特徴です。
- クラウド上での管理なので、物理的なスペースを確保する必要がありません。
カスタマイズ性
オンプレミス
- 自社のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
- 他社との連携や既存システムとの統合が容易です。
SaaS(クラウド)
- 複数企業で共有されるため、特定の要求に対するカスタマイズは難しい場合があります。
- 必要な機能を追加したい場合は、別途IaaSやPaaSを利用して自社システムを構築する必要があります。
障害対応
オンプレミス
- 自社で障害対応を行う必要がありますが、予備機などの導入で対策が可能です。
SaaS(クラウド)
- サービス提供者が障害対応を行いますが、完全な障害無しの保証はありません。
- 必要に応じて冗長化やバックアップを検討する必要があります。
オンプレミスとSaaSはそれぞれ特性が異なり、企業のニーズや状況に応じて選択する必要があります。
オンプレミスの特徴
ここからはさらに詳しくオンプレミスの特徴について解説します。
連動性が高い
オンプレミスの大きな特徴は、他のシステムとの連動性が高いことです。全てのIT環境を自社で運営するため、他のシステムとの統合やカスタマイズが容易です。従業員のニーズに応じて柔軟に対応できます。
セキュリティ要件に対応
オンプレミスは、自社で運用管理するため、セキュリティ環境を自由にカスタマイズできます。専用のセキュリティソフト導入やアクセス制限、災害対策などを自社のポリシーに合わせて構築することが可能です。
クラウドの特徴
ここからはさらに詳しくクラウドの特徴について解説します。
初期費用の抑制
クラウド移行は初期費用が安く、導入の障壁が低い特徴があります。専用のサーバーや環境を構築する必要がなく、既存のリソースを効率的に活用できます。
メンテナンスの不要
クラウド提供側がメンテナンスを行うため、自社の保守作業やメンテナンス期間の管理が不要です。業務の効率化と運用コストの削減が期待できます。
拡張性の高さ
クラウド上では必要に応じてサーバーの容量を簡単に拡張できます。ストレージ不足や無駄な費用を避けつつ、柔軟にシステムの拡張が可能です。
SaaSを導入するメリットとデメリット
ここからは実際にSaaSを導入することで、どのようなメリットやデメリットがあるのか解説します。クラウドの方が導入企業が多いからといって、安易にクラウドに移行せず、メリットデメリットを知った上で、どちらの方が自社に合っているか判断しましょう。
メリット
- 迅速な導入 SaaSはすでに稼働しているサービスを利用するため、機器の設置や設定が不要で、数日から1ヶ月程度で導入可能です。
- ストレージの心配が不要 クラウド上で運用するため、必要に応じて容量を柔軟に増減でき、ストレージの管理や無駄な費用が発生しません。
- 運用の手間が少ない 運用メンテナンスが不要なため、自社の運用保守作業を削減できます。障害発生時もクラウド提供者が対応し、自社リソースの逼迫を避けられます。
デメリット
- カスタマイズ性の制限 オンプレミス環境ほど自由なカスタマイズが難しい場合があり、要件に合わない可能性があります。
- データ移行や連携の課題 オンプレミスからクラウドへのデータ移行が難しく、既存のシステムとの連携に課題が生じる場合があります。
- サービス停止のリスク パブリッククラウドでは他の企業の影響でサービス停止が発生するリスクがあります。プライベートクラウドの利用を検討することでこのリスクを低減できます。
※関連記事パブリッククラウドとは?メリット・デメリットや選定ポイントを解説
オンプレミスからSaaSへ移行する際のチェックポイントとは
セキュリティ面をチェックする
運用ミスや攻撃などでサーバーがダウンし、クラウドに保存したデータへアクセスできなければ、社内業務が停止してしまう可能性があります。データの管理、アカウントの管理について信頼できるか、セキュリティ面の観点からチェックしましょう。
移行すべきシステム要件を整理する
クラウド移行前にクラウド化するべきシステム要件を整理しておきましょう。要件定義によって確認しておくべき事柄は大きく2種類あります。
①機能要件
- 商品検索する
- 商品を注文する など
②非機能要件
- 性能
- 信頼性
- セキュリティ など
コスト削減につながるのか検討する
クラウドサービスの費用は「使った分だけ毎月払う」というのが原則です。毎月支払い価格が変動するため、予算の見通しを立てることが難しいのです。
単純なコスト比較としては、クラウドサービスに月々払う予定の金額と同期間にオンプレミスでサーバーを利用した際の金額を比較してみると、どちらの方がコストがかかるか確認できます。
クラウドサービスの費用をシュミレーションするのが難しければ、専門の業者に相談するのも良いでしょう。
まとめ
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
- SaaSはユーザーが必要な分だけサービスを利用することができるソフトウェア
- SaaSは既に存在しているサービスを利用するため導入期間が短い
- SaaSは既存の自社システムとのカスタマイズ性が低い
- SaaSとオンプレミスのメリットとデメリットを把握しておくべき
SaaSを導入することは、業務効率化、コスト削減につながりますがオンプレミスの方がメリットが大きい場合もあります。本記事を読んだ方はこの機会に導入を検討してみましょう。
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詳しくは下記の記事もご参照ください。
➡ 【2024年出版】SaaSとは?SaaSの種類・将来展望を解説