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【トレンド】ヨーロッパの家庭菜園・ガーデニング市場は拡大傾向に

コロナ禍において、日本では家庭で楽しめる家庭菜園やガーデニングへの注目が高まりました。同じような動きがヨーロッパのガーデニング市場にも見られ、今後も成長が続くと予測されています。コロナ前のヨーロッパの家庭菜園事情と、コロナ禍における市場成長の動向について

コロナ以前のヨーロッパの家庭菜園事情

EU-15諸国(註1)では、自己消費のために作物を栽培する「家庭菜園」の総面積は、15万haを超え、それは屋外での野菜類の栽培面積の約8分の1を占めています。また、花なども含めたガーデニング製品の販売については、一人当たりの年間消費金額や今後の成長率は、北米に次ぐ市場価値があるとされています。

註1:ベルギー、デンマーク、ドイツ、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、スウェーデンおよび英国(現在は英国は含まれない)

コロナ前、鈍化傾向にあった西ヨーロッパ市場

西ヨーロッパのガーデニング製品は、北米に次ぐ市場価値があると言われています。2016年は、一人当たりの年間消費金額は約 62ドル(約6,800円)。特に、ドイツ、フランス、イギリスを中心に消費行動が盛になっています。

しかし、コロナ以前の2013〜2018年頃には、西ヨーロッパ諸国における市場は鈍化傾向にありました。また、イタリアなど南欧諸国では、長引く経済不況により高価格商品の購入意欲が低下しています。

市場が伸びる東ヨーロッパ

東ヨーロッパでは、2016年の一人当たりのガーデニング製品の年間消費金額は約 7ドル(約770円)でしたが、経済成長に伴って近年ではガーデニング市場全体の成長が見られます。

特にルーマニアとポーランドは、ヨーロッパで最も急成長している市場です。ルーマニアの都市部では、自宅の庭でプランターなどを使ってハーブやスパイスを育てる人が、ポーランドの都市部では、“緑のある生活”への関心が高まりから、室内で鉢植えやプランターなどを使ったガーデニングを楽しむ人が増えています。

北欧ヨーロッパは園芸メーカーに新たな機会を

北欧ヨーロッパのガーデニング市場も成長を続けています。日照時間の短い時期が長い北欧では、自宅や室内でも楽しめるレクリエーションが好まれます。また、経済的にも余裕のある北欧諸国の人々のライフスタイルも、その背景にあると思われます。


コロナ禍で広がる市場の変化

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックの中、ヨーロッパ諸国ではガーデニング関連製品の売上が一気に上昇。EUによる調査によると、特にベルギーやスイスでは、コロナ禍でのガーデニングの必要性を感じているとの回答が多く見られました。外出が規制される環境下で、家の中でも家族で楽しめ、なおかつインターネットで簡単に購入できることで注目を集め始めました。

eコマースによる購買は、世界各国でコロナ禍において急速に上昇し、スペインではデジタルチャネルにおける購買率が44%、ベルギーでは41%も上昇しました。(出典:Statista)

また、それまでガーデニングをしていなかった人や、カジュアルに楽しむ人が増える中、市場価値も上がっています。

2019〜2024年の市場予想の総売上高はCAGR(年平均成長率)1%と拡大し、絶対成長率は9億3,800万米ドル(約1,030億円)になると予測されています(Euromonitor international調べ)。

ガーデニング市場の成長が予想される4つの理由

ヨーロッパでは、今後もガーデニング市場の成長が予想されています。

1.経済状況の改善

経済状況の改善と可処分所得の増加により、基礎生活用品外であるガーデニング用品などを購入する余裕がうまれます。特に西ヨーロッパでは、今後ガーデニング市場価値の大きな伸びが予想されています。

2.都市化にともなう屋内ガーデニングの増加

ヨーロッパでは、人々が生活の拠点を都市へと移していく“都市化”が進んでいます。都市に人口が集中することで、一世帯あたりの居住空間、庭の面積が小さくなっていきます。そのような住環境の中で、自然との繋がりを取り戻したいという欲求が高まり、庭や屋内でのガーデニング栽培が広がり、都市園芸の普及が増えていきます。

3.高齢化によるガーデニング人口の増加

西ヨーロッパにおいてガーデニングは、退職後の高齢者の趣味の一つとして楽しまれています。高齢化が進むヨーロッパ諸国では、これから益々ガーデニング人口が増え、需要の高まりが見込まれます。

4.地球環境への関心による若者の意識の変化

地球全体で環境への配慮・関心が高まっています。特に、次世代をになっていく若者たちにとっては深刻な問題です。自分たちが口にする食べ物の生産場所や方法、輸送経路など、あらゆることが環境負荷にも関わっていく時代です。そのため、家庭菜園による食の調達は、環境意識の高い西ヨーロッパの若い世代にも好まれています。

日本でも家庭菜園を始める人は増加

日本においても、家庭菜園の経験者は50%に達しています。コロナ禍の外出自粛期間以降に家庭菜園を始めた人は約30%、その中で今後も継続したいと考える人は90%以上にも達しており、(2020年度野菜と家庭菜園に関する調査|タキイ種苗株式会社)、家庭菜園がライフスタイルとして、新しいスタンダードになっていることがうかがえます。

ベランダや室内での栽培では、軽くて水をかけて簡単に培土になり、また廃棄も手軽な圧縮ココピートがとても便利で、好まれています。

参考文献
Gardening in Europe: Emerging Markets and Future Prospects
Gardening in Western Europe
Statistics in focus AGRICULTURE AND FISHERIES
Impact of the Coronavirus on e-commerce/European commission

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