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MVVがもたらした会社の軸

インタビュー

株式会社スズキモダンが社内で制定したミッション・ビジョン・バリューの経緯や今後の展望について代表の鈴木に話しを伺いました。

インタビュアー: まずは、ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)の制定、おめでとうございます。

鈴木: ありがとうございます。想定より時間がかかってしまったのですが、納得のいくものができました。弊社のMVVは下記の通りです。

▶︎MISSION(会社の存在意義)
『今の最適解で次の“今”をつくる。』
「最適解」は、私たちスズキモダンにとって特別な言葉です。
モダンとは、現代的であるさまを意味します。現代=今は、時代と共に変化します。どれだけ時代が移り変わっても、“今”に最も適した解決策を導き出す。それが私たちの考える最適解です。私たちは日々学び、経験し、仲間とつながることで進化し続け、次の“今”をつくります。

▶︎VISION(目指す姿)
『名古屋ナンバーワンの販促会社になる』

▶︎VALUE(大切にするもの・行動指針)
MODERN DTCの制定
① Do the right thing. +together 正しさは人を動かす。心動かすアイデアでクライアントのビジネスを加速しよう。クライアントと同じテーブルで価値あるものをつくろう。
② Think, think, think. 論理的とは、課題→根拠→結論が、無理なく繋がった状態である。「どうして?」「具体的には?」と言われることをいつも想定しよう。それに答えられない結論は論理的ではない。
③ Commitment 広告は博打ではない。結果にこだわりクライアントが目標を達成するための伴走者となろう。



スズキモダンの原点

インタビュアー: まずは、時間を遡って鈴木社長の経歴やキャリアについて教えていただけますか?特に、広告業界に進むきっかけや、これまでの経験がスズキモダンの経営にどのように影響しているかについてお話しいただけると幸いです。
鈴木: はい、私は大学を卒業して新卒で名古屋の広告会社に企画営業職として就職しました。
結果、そこで2年半の在籍でしたが、非常に多くのことを学ぶことができました。私の広告のベースになっていると言っても過言ではありません。
企画営業職では、お客様との対面のやりとりのほか、制作物が発生した場合に外部のデザイン、事務所への発注作業がありました。そこでディレクターとしてチラシやパンフレット等の制作をするわけですが、その作業がとても面白かったのを覚えています。
外部のデザイナーとのやり取りで完成した制作物をクライアントに喜んでいただいた時にやりがいを感じました。お客様とのやりとりを通じて、ツールが経営に大きな影響を与えることを実感しました。
そんな充実した毎日でしたが、ある日、次のような思いが芽生えてきました。
自分でもデザインをしたい。もっと効果的なデザインができるのではないか。
当時企画書は自分で作っていましたので、デザインも自分でできないか、そう考えたのです。「企画とデザインを自らが直接お客様のところにもっていきたい」、これこそがスズキモダンの原点です。
2023年5月で株式会社化して10年が経ちますが、スタッフも増え、この思いがようやく実現したと言う実感があります。
インタビュアー: スズキモダンの創業ストーリーや歴史について詳しくお話しいただけますか?また、会社の名前に込められた想いや意味についても教えてください。

鈴木: 先程の広告会社を経てグラフィックデザイン事務所に入りました。そこでデザインのノウハウをゼロから教わるわけですが、 スキルを磨くために、夜間は専門学校に通いました。今思い出したのですが、その専門学校の費用はデザイン会社が払ってくれていました。社員に投資していただいた事に今の立場で考えると感謝しかないですね。
その後、某コンビニや多店舗展開する薬局やスポーツ用品店をクライアントを持つ販促会社のディレクターとして2年間仕事をしました。ここで販促について多くを学ぶわけですが、クライアントとの直接取引の中で、お客様の課題や現場を見ることの大切さを学びました。
その後2007年6月にフリーランスとして独立しました。フリーランスでは、一つ一つの仕事のありがたみを感じました。仕事があることのありがたみ。食べていくことの大変さ。一つ一つの仕事が次の仕事につながること、大変でしたが、とても充実した時期でした。その後、2013年株式会社化し、今に至ります。
スズキモダンの名前の由来は、常に現代の最適解で、お客様の課題を解決したいと言う思いにあります。モダンと言う言葉は、時代とともに変化します。例えば今モダンなデザインは50年後、レトロなデザインになっているかもしれません。ただ、我々スズキモダンは、その時代、その時代に合った課題の解決方法で最適な答えを導き出してお客様に提供します。「モダン」はいつの時代も「今」を示すはずなのに、時の流れとともにアップデートされていく言葉で、その感覚がとても好きで名付けました。その時代にマッチした最適解で仕事を進めていきたい、という思いが込められています。そんな思いでフリーランスとしての始動の日に名づけました。



サービス・プロジェクト

インタビュアー: スズキモダンの主要なサービスや取り組んでいるプロジェクトについて説明していただけますか?また、その中で特に注力している分野や、これからの成長分野についてもお話しいただけると幸いです。

鈴木: グラフィックデザインを中心にビジネスを行っていますので、デザインが機能的で美しいことは当然です。加えて、なぜこのデザインなのかの理由や根拠、そしてデザイン会社としては珍しくマーケティング戦略の提案を必ず加えています。プランニングから施策の実行、効果測定までを行い、数字から逃げないことで名古屋エリアの販促ナンバーワン企業として頼られる存在になり、そうあり続けることを目指しています。
今は単体でのお仕事をご依頼いただくと言うよりも、例えば新商品が開発される際のスタートからお呼びいただき、商品開発、販売計画等の段階からお手伝いすることが増えてきました。物やサービスを得るために企画とデザインをご提案するという、独立当初からやりたかったことが実現できるようになりました。



MVVについて

インタビュアー: スズキモダンがMVVを策定しようと思った経緯についてお聞かせください。また、そのプロセスを通じて、従業員や経営陣がどのように組織の目標に向かって一体となったのか、そのエピソードもお願いします。

鈴木: 策定しようと思った経緯に関しては、社員の数が増えてきたことに起因します。現在は少数精鋭で運営していますが、今後20人規模に拡大した際に、会社の文化・会社の方向性・存在意義などを確認する必要が出てくると感じています。弊社では中途採用が多いので、様々な文化を持った社員が集まります。組織としてまだ人数の少ない段階でMVVの策定をすることで、現在いる社員が自分事で捉えてくれて、新しく入るスタッフに継承することを期待しています。
そのような考えから社員全員でミッションの策定に取り組みました。期間としては3ヶ月から4ヶ月をかけて話し合いました。策定の過程で1番良かったと思う事は話し合いの時間です。通常、会社の存在意義について、普段そのようなことを話す時間は、それぞれの想いが聞けてとても勉強になりました。最後の最後まで、細かいニュアンスや文字面までこだわったことを覚えています。

長年、私たちはデザイン会社として名古屋を中心に活動してきました。しかし、コロナ禍を境に業界全体が激変し、私たちもそれに対応するために変わらなければなりませんでした。そこで、社内で話し合いを重ね、何のための会社か会社の存在意義を明確にする必要があるとの結論に至り、新たにMVVを策定することにしました。その経過は決してスムーズではありませんでしたが、振り返ると、このプロセスが会社の今後の方向性を明確にし、私たちの結束力を高めるきっかけとなったと感じています。

インタビュアー: 策定のポイントについてお聞かせください。どのような要素を重視し、どのようにそれらを取り入れましたか?また、そのポイントがスズキモダンの組織やビジネスにどのように反映されているかも教えていただけますか?

鈴木: まず、社内全員が参加できるプロセスにこだわりました。皆の意見や想いを大切にし、一緒に考えることで、全スタッフが共感できるMVVになると信じていました。また、他のデザイン会社のミッションも参考にしましたが、独自の言葉で表現し、自分たちのオリジナリティを大切にしたいと思い、言葉の決定には長い時間をかけました。
ミッションは企業の「存在意義」の意味ですが、考えれば考えるほど、突き詰めれば突き詰めるほど普遍的な内容になりがちです。その点、私たちはスズキモダンの名前の由来に触れることで弊社独自の内容にできました。個人的に気にいっているのは、「私たちは日々学び、経験し、仲間とつながることで進化し続け」という部分で、日々の業務で自分たちの領域を広げよう、その経験をクライアントに還元しよう、としている我々の態度をよく表した文章だと思います。
一方で、ビジョンとバリューについては、より具体的な行動指針を示すものなので、私自身がひとりで決めました。決めたといっても、今まで皆で意識してやってきたことを振り返り、それをまとめ、言語化した印象です。
また、デザイナーは誠実である必要があります。クライアントの気持ちを汲み取り、何とか役に立ちたい、そんな想いがベースにあるのが商業デザイナーだと思っています。
① Do the right thing. +togetherはそんな想いから綴られました。お客様と同じテーブルでモノを作りたい気持ちで「+together」が追記されました。
② Think, think, think.は日本語で言うと、「考えて、考えて、考える」。この文章は独立当初に運営していた私のHPに掲げられていた言葉です。デザインと言う表面的なものだけでなく、内側にある「企画」の部分にまずこだわりたい。そんな気持で今までやってきました。
③ Commitmentに関しては、少しビジネス的な側面があります。大半のお客様は忙しく、広告費を使ってせっかく作った販促物の費用対効果を得ることなく次の仕事に入ります。それではもったいない。私たちは企画制作するだけでなく、施策後の成果にこだわり、PDCAを回しながらより効果的な販促はないかと言う観点でお客様に伴走します。
よくスタッフに話しをするのが、「榎並さんと接するように、企業担当者と接しよう」という話し。榎並さんとは、とあるセレクトショップのオーナー様で、オープン当初から販促物をお手伝いしてかれこれ6年になります。個人のお客様なので近い距離感でご提案や物づくりができ非常にやりやすい反面、広告費=榎並さんのお金ですので、とても緊張感があります。
一方で上場企業様との仕事のように規模が大きくなると、扱うのは個人のお金ではなく「広告費」と呼ばれ、どこか「ビジネス」として捉えてしまうことがあります。しかし、窓口である担当者様の想いや、ビジョンに共感することで、近い距離感で寄り添い、細かな対応ができるように心掛けています。そうすると喜んでいただける機会が増えて自然とお仕事が頂けるんですよね。そんな想いをバリューの策定に込めました。

インタビュアー: MVVの制定後は具体的にどのような変化がありましたか?

鈴木: まず、自分たちの目標が明確になりました。「名古屋ナンバーワンの販促会社を目指している」と名言することで、では具体的に何をすれば良いのか考えるようになりました。私たちは現在、デジタルマーケティングの分野を強化していきたいと考えています。人数を増やし、WEBマーケ部門を持ち、WEB制作、広告運用、WEB広告戦略に取り組んでいきます。ミッションにある「どれだけ時代が移り変わっても、“今”に最も適した解決策を導き出す」ために、私たちも進化していきたいと思います。
そこで重要なのは日々勉強する姿勢と経験の数ですね。昔に比べて技術の進歩が早く誰でも「デザイン」ができるようになりました。しかし、私たちが提供しているのは単なる「見た目」ではなく、根拠をもった戦略です。広告を専門としている私たちの役割は、多くの企業の宣伝サポートを通じて身につけた経験やノウハウを、次に必要とするお客さまに最適解で提供することだと感じます。綺麗なデザインを納めれば喜んでもらえたのは昔の話。現在は、マーケティング視点の施策提案と明快なデザイン、そして何よりクライアントが目指す目標値に対してのコミットが求められていると感じます。期待は大きいです。その辺りの想いも今回のMVVの制定に込めることができました。

インタビュアー: 今後、自社事業にも力を入れていくとのことですが、具体的にどのような取り組みを考えていますか?

鈴木:まずは自社事業の立ち上げに動きます。請負業務だけではなく、自分たちで経験することで、またクライアントにも還元できると考えています。その点過去にも3つの自社商品を開発・発売していますので、いよいよ時がきたと感じています。デザインの知見を軸に更なる進化を遂げたいです。

インタビュアー: 事業立ち上げに際して、特別なアプローチは考えていますか?

鈴木:特別なアプローチはありません。ただ、皆で考える事は大切にしたいと思っています。前に進めるのはチームメンバーかもしれませんが、アイデアを出すのは全スタッフで行います。皆には自分が参加している気持ちでこのプロジェクトに参加して欲しいです。

インタビュアー: MVVを検討している際のエピソードは何かありますか?

鈴木: ミッションの内容が固まった際に、自分にできるかどうかを見極めるために、A4の用紙を出力し、テーブルの上に1ヵ月ほど放置しておいた経緯があります。毎朝出勤すると目にする、その用紙を読み、自分の中の理解を深めていきました。それを続けているとある日、すっと腹落ちし、この内容で大丈夫、そう思いました。
また、ミッションを考えた際には、他のデザイン会社のものも参考にしました。しかし、見れば見るほど迷いが広がっていったのを覚えています。どうしても高尚なミッションを掲げないといけない、そんな思いに駆られてしまいました。また、多くの会社が似たようなミッションを掲げているのを見て、独自のミッション、独自の言葉とは何だろうかと考えました。結果、社名の由来と結びつけることによってオリジナリティーを出すことができました。

インタビュアー: ミッション・ビジョン・バリューの制定による経営判断や、組織のマネジメントにおいてどのようなメリットがあると感じていますか?

鈴木: 会社の経営にとって、ミッション・ビジョン・バリューは必須のものではありません。それでも各社が取り入れているのには理由があると思います。メリットの一つは、経営陣とスタッフの共通言語ができること。組織のマネジメントにおいて、意識のズレを起こすことなく、共通の言葉で理解を深めていける、それが1番のメリットだと思います。そんな中、個人的に策定して良かったと思う点は、経営判断に白黒が付けられるようになったことです。何か迷いが生じたときに立ち戻る場所(判断の拠り所)ができた、そう感じています。制定するのは大変でしたが、マイホームのような非常に心地の良い拠り所ができたと感じています。

今後の展望

インタビュアー: 最後に、今後の展望や目標についてお話しいただけますか?

鈴木: まずは名古屋ナンバーワンの販促会社を目指して、誠実に仕事をしていきたいと思っています。デザインはもちろん、マーケティングやWEB制作、広告運用などにも力を入れていきます。また、自社事業にも力を入れていく予定です。デザインだけでなく、様々な分野で専門知識を持ち、市場で必要とされるソリューションを提供できる会社になりたいと考えています。
また、社員全員がミッション・ビジョン・バリューを共有し、お互いに高め合いながら成長できる環境を作り上げたいです。そして、このスズキモダンの文化や考え方が会社内に浸透するのが目標です。
まだまだ道半ばではありますが、社員一丸となって目標に向かって努力していきます。これからも、私たちスズキモダンをよろしくお願いいたします。

インタビュアー: 鈴木さん、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後の更なる活躍を期待しています。お疲れ様でした。

鈴木: ありがとうございました。

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