先日、ワークスマイルラボの石井社長とお話をさせていただく機会がありました。
岡山で新卒採用希望就職先ランキング1位に輝くワークスマイルラボ。
今でこそ輝かしい賞が並んでいますが、一時期は倒産寸前までいったとのこと。様々なお話をお伺いしましたが、その中で私の行動にも影響を与えてくれるお話がありました。
もともとは事務機の販売をすしていた会社を、「ワークスタイル」を売る会社にシフトしていった同社。それを実現するために社長が思ったことは、そもそも自分たちがその「スタイル」を実践していかないと、お客様に提供できていけない。
ということで様々な社内改革を実施していったと。
このお話をしながら、私は自身の会社を振り返りました。
2020年1月に創業したつむぎ株式会社は、
「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」
というVission(Vision×Mission)を掲げ、HRブランディングの領域から「持続的成長を続けるいい会社」づくりのサポートをしています。
・中小企業における戦略人事の担い手
・VMVドリブン経営を推進
・パーソナルブランディングを通じて社員と会社を繋げる「パーソナルブランドブック」の存在
・理念設計、採用、教育、評価制度の一貫したサポート
など、事業上の特徴を自分たち自身で整理することはできているつもりです。
一方で、「持続的成長を続けるいい会社」を作るためのサービスの”売り”をわかりやすく伝えるにはどうしたらよいのだろう。
ということは、常に考えています。
そんなことは頭の片隅に常にありながら、石井社長のお話を聞いていた時に、自分たちの会社もまだ創業4年目で「持続的な成長」という点は言えないけども、「いい会社」は意識したいろんな取り組みをしている。それを発信することには意味があるはず。
と思ったわけです。
弊社が取り組んでいることをいくつか挙げると、
- メンバー15名のうち、14名がパートナー契約の経営スタイル
- オフィスなし、完全リモートワークスタイル
- パートナー契約メンバーは時間契約は0。基本的に提供価値に応じた契約スタイル
- 月に1回のラウンドロビンランチでコミュニケーション。経費は全額負担。
- メンバー全員との1on1の実施
- 全メンバーを連れての合宿は年間2回。(1回あたり100万円の合宿費用)
- 全メンバーを連れてのクライアント視察研修
- 半年に一度のメンバー表彰制度
- 営業利益配分型のボーナス制度
- VMV実現予算として、上限10万円までの研修費をサポート
- パートナーメンバーと実施する社内プロジェクト制度
- VMVワーク、成長サポート会議
など。まだまだ挙げたらきりがないかもしれませんが、、、
そして弊社では、ギャラップ社の提供する総合満足度指標を用いて、社内のエンゲージメントを計測していますが、3.8以上がエンゲージメントが高めといわれる中で、3.9という現在地にあります。
これも中身を細かく見ると、弊社のスタイルが提供できる価値があるのではないかと思います。
それぞれの取り組みがどんな成果を生み出しているのか、またどんな組織となっているのか。
私自身の振り返りとして、また会社創りのヒントとして、少しでも参考になるものが届けられたらよいですね。
ひとまず、次回は「93%パートナー契約体制」について。
これは「人件費の変動費化」と勘違いされるんですが、全然その想いとそこから目指す成果は違うところにあるのです。
なぜ9割以上のメンバーがパートナー契約なのか?
つむぎという会社を語る上で一丁目一番地に来る話が、メンバーの9割以上がパートナー契約(業務委託契約)メンバーで構成されているという点です。
この話をすると、たまに言われるんです。
「業務委託の方がいいよね。固定費が圧縮できるもんね。」
そんな話が出たときは、「そうですよねぇ~」なんて、笑って過ごしますが、実際のところそんな気持ちは1mmも持ち合わせていません。
ちなみにですが、弊社の人件費比率は昨年実績で47%。それ以外にも合宿や社内研修の開催、展示会も年に2回開催していますがそれもある意味チームビルディングの一貫。そうした教育費も含めたら50%は軽く超えていきます。
「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」
という言葉を掲げている会社が、そんな搾取するようなことをやってはならないでしょう。(というか、やるはずがない)
じゃあ、何でパートナー契約メンバーが9割を超えるのか。
それは、私自身の経験が大きく影響しています。
私は新卒で入社した会社を15年で辞めました。
大きな使命感を持ち組織の立て直しを図った3年、
その3年を終えたときにふと気づいたのは、
これからの自分の目標は何なのだろう?
ということでした。
もちろん、働く上での目標は会社の目指す目標に向かって一緒に進んでいくことだと思います。
自分の目標と会社の目標が一致する。こんなに幸せなことはないでしょう。
ただ、
「果たしてそんなことってあり得るのか?」
と私は思ったわけです。
それぞれ違う人生がある中で、100%同じ方向にベクトルが向かう方がむしろ稀で、それぞれが目指したいものは、本当は心に別に持っているのではないかと。
むしろ、「自分の目標」と「会社の目標」は、別にあることこそが自然だし、それが両方追いかけられる形の方が幸せなのではないかと。
そう考えたときに、ベストな働き方は「パートナー契約」ではないかと行き着いたわけです。
だから、弊社ではメンバーに対して伝えていることがあります。
みんなはみんなが実現したい夢を探そう。目指そう。それを私は全力で応援します。ただ、つむぎの仕事をするときだけはうちのことを100%考えてほしい。つむぎの理念の実現に向けて全力を尽くしてほしい。
と。
パートナー契約で働くメンバーに、会社の理念にコミットしてもらうことは簡単ではないだろうと思っていました。現に簡単でもありません。
ただ、それでも理想の働き方はこれだと思っているので、どうやって「パートナー契約×理念共感」を実現するのか、それがつむぎという会社の中心にある、ずっと追いかけ続ける命題として存在しています。
ありがたいことに、今いるメンバーは、そのあたりの共感も高く、それぞれが高いパフォーマンスを発揮してくれる最高のメンバーばかり。
これからも、一人一人が最高に「やりがいのある働き方」を実現するために、いろいろとチャレンジしていこうと思います。
Vissionが生まれた背景
つむぎには、「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」というVissionがあります。
Vissionは、MissionとVisionをかけあわせたつむぎ独自の造語です。一歩間違えるとVisionの誤字にも見えかねませんし、言葉で伝えるときも必ず注釈が必要なのですが、この言葉を使っているのも自分たちらしさを磨くために必要なものだったと感じています。
今でこそ、一番大切に扱い、社内でも最も使う言葉でもあるのですが、実は創業当時にはこの言葉はない言葉でした。
もともとは自分たちが描く最高の姿としてのVisionに『“信念のあるいい会社”を支える存在であり続ける』という言葉を使い、そのために日々意識すべきこと・実践すべきこととしてのMission『人と企業と「未来」を紡ぐ』という言葉を掲げていました。
それはそれは、考え抜いた言葉たちだったので、創業した当時はこの言葉に嘘偽りもなく、また採用の場面でもしっかりと熱をもって伝えられるものでした。
そんな中、ブランドブックというサービスをどのようにお客様に届けるのか、マーケティング担当メンバーと話をしている際に、最初はキャッチフレーズ的に出てきた言葉が、「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」という言葉だったのです。
その時に何かがピンと来たんです。
当時は人材紹介事業も行っていたこともあり、転職者の検索キーワードなんかも見ていました。そこには、結構つらい現実があることを思い知らされました。
「仕事 辛い」
「仕事 やめたい」
「仕事 面白くない」
など、まぁなんともマイナスな言葉ばかり。
世の中には、こんなに仕事への向き合い方が後ろ向きな人が多いのか、とある意味ショックを受けたことを覚えています。
そんなショックな印象と、キャッチコピー的にできた言葉が、この時につながったんです。
「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」
これは単にうちのサービスを売るための言葉ではなく、
この言葉が実現できるということは、世の中にいる数多くの仕事に対して後ろ向きな人たちを救うことになるのではないか?
むしろ、これの方がよっぽど社会課題の解決につながる、目指すべき大きな志なんじゃないだろうかと。
そう思うようになり、つむぎでは最初に語られる言葉として、「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」が使われるようになりました。
しかし、悩ましい課題もうまれます。
創業時にはVisionもMissionも作っている。じゃあこの言葉は何になるんだろう?
当時はコンセプトと言ってみたり、ライフビジョンと言ってみたり、まったく定まらず。
またちょうどメンバーも10名を超えてくるぐらいになり、掲げているVisionやMissionについても、もっと浸透させたいなという思いもあり、思い切って「この言葉たちはつむぎにとっての何なのだろう?」ということをメンバーとともに決めることにしました。
合宿の中で一枚の模造紙にみんなで書き込みながらのディスカッション。
経営理念とはなんだ?社是とは??クレドとは???
みんなでそんな議論をしながら定まったのが、最初にお伝えした
Vission (Mission×Vision)
だったのです。
これは、最上位概念であり、社会課題を解決するための目指すべき最高地点でもありながらい、一方で日々常に意識し実践していくべきものでもある。その想いをここに込めました。
概念的なものでいうとPurposeが一番近いようにも感じます。まさに私たちの存在する理由なので、Purposeという言葉も間違いはないのですが、私たちの中では「なんからしくないよね」ということになりました。
なんとなく感じる流行り言葉のような感じや少し難しそうな印象。
誰もPurposeだとしっくりこなかったので、最初は冗談半分でメンバーから上がったVissionが本当に形になりました。
ここでこんな議論をしたことで、VissionはもちろんStatement(※もともとのVisionは、自分たちの在り方を示すものとしてStatementにシフト)やタグライン(※もともとMissionとしていたもの。私たちのサービス全般に共通する価値であると定義し、タグラインにシフト)についても、より理解が深まるいい時間でした。
今では、「それはVissionの観点からはどうなんですか?」みたいな声も上がるほどです。
出来上がったものはたった数十文字の言葉たちですが、この議論がもたらす価値は、そんな数十文字では収まり切れないほどの意味があるなと思いますね。