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【事例紹介】事業会社の経営経験をメソッド化したO2流コンサルティングとは?【前編】

製造業の設計に特化したコンサルティング会社である株式会社O2。当社はAIやIoTを取り入れた設計・生産のデジタル化実装や、既存技術の応用を通じた新規事業創出・新製品/サービス開発などを中心に支援を行っています。過去には数多くのクライアント企業様の事業を、成功に導いてきました。

具体的にどのようなプロジェクトに携わってきたのか、O2 取締役の勝見靖英が前編・後編に分けて事例をご紹介します。今回取り上げるのは、新規事業創出・新製品/サービス開発の事例。O2の持つコンサルティングのメソッドをぜひご覧ください。

大手ファームで経験を積んだ後、O2へ参画

――事例紹介の前に、まずは勝見さんのキャリアについてお聞かせください。

私は日本国内の石油会社に新卒入社してキャリアをスタートした後、自分のスキル特性はコンサルティングに合っているのではないかと考えて、日本のSIerとフランスのITコンサル会社の合弁企業に転職。ITコンサルタントとして働き始めました。

数年ほど経験を積んだ後にPwCコンサルティングに転職すると、すぐに会社がIBMに買収されました。買収後は、米IBM Corporationのビジネスコンサルティング部門の日本法人であるIBMビジネスコンサルティングサービスで、SAPやERPのソフトウェアの導入支援業務に従事。後に社内転職をして日本IBMに移り、企画部門を1年ほど経験したうえで、製造業向けのコンサルタントや営業を担いました。

その後、デロイト トーマツ コンサルティングに転職しました。デロイトではコンサルタントとしてIT戦略の立案・実行やM&Aなどのプロジェクトに携わり、その後は再びIBMへ。自動車業界のコンサルタントとして業務に取り組みました。

――数多くの著名企業で、長きにわたりコンサルティングに従事されてきたのですね。O2に転職された経緯をお聞かせください。

O2グループの会長である松本晋一とは高校の同級生で、旧知の仲でした。そんな彼と、同窓会で20年以上ぶりに再会したのです。私はコンサルタントで松本はコンサルティング会社を経営していることもあり、定期的に会って話をするようになりました。

――松本さんにどんな印象を受けましたか?

松本には良い意味でバカなところがあって、思いの強い人間です。私はコンサルティング畑で長年やってきたので、合理性を重視してリスクを避ける傾向があります。しかし彼は逆で、「日本の製造業を元気にしたい」という熱い思いが原動力になっています。

「自分の周りにいる優秀なメンバーたちが、一緒になんとかしてくれる」と語り、壮大なビジョンに向かって突き進む。そんな姿を見ると「彼の思いの強さはすごい」「自分が支えなければ」と周りが自然とサポートしたくなります。企業のトップになる器は、彼のようなタイプなのだと思いました。初めて同世代の仲間で事業家に会ったという感覚でしたね。

松本と同窓会で会った頃の私は「そろそろ自分でコンサルティング会社を創業しようか」と考えていました。しかし、松本を見ていると「会社のトップに立つ者とは、こんな人物であるべきだ」と思い知らされ、創業しようという考えは吹き飛びましたね。

そんな松本から「手伝ってくれないか?」と声をかけられたのがきっかけで、2015年7月に戦略DivisionのシニアマネージャーとしてO2に入社しました。その後2016年10月にゼネラルマネージャー兼COOへと昇進し、2018年4月からは取締役を務めています。


【事例①】自社事業で培ったノウハウを活用し、人材派遣の価値向上を実現|株式会社テクノプロ様


――これまで、O2のコンサルタントの方々は数々のプロジェクトを経験されてきたと思います。今回のインタビューではいくつかの事例をピックアップし、詳細をお話しいただけますでしょうか。

まずは株式会社テクノプロ様の事例を解説します。テクノプロ様は、製造業の会社に対してエンジニアを派遣する特定労働者派遣業を行っている企業です。製造業に特化した大手人材派遣会社は、このテクノプロ様も含めて日本で3社ほど。そのなかでもエンジニアの数が圧倒的に多い企業になります。O2はテクノプロ様との協業を行い、事業拡大のお手伝いをしてきました。

エンジニア派遣の事業では、派遣したエンジニアの人数と単価が会社の売上に直結します。人数を増やすか単価を上げるか、どちらかでしかビジネスのボリュームを増やすことはできません。通常ならば、たとえば月単価70万円、80万円のエンジニアを、いきなり100万円に上げるのは難しい。しかし、O2の持つ知見を活用して派遣する人材の価値向上を行うことで、単価アップに結びつけました。

――具体的には、どのような施策を実施したのでしょうか?

施策を説明する前に、まずO2の歴史について簡単に解説する必要があります。O2は創業から現在まで、ビジネスモデルが徐々に変遷していきました。その過程で得たノウハウがこの事例では活用されています。

O2はもともと、設計者に特化した派遣会社として創業した会社です。創業から2年後に、技術コンサルティングを開始しました。創業当初から設計者の単価は高めでしたが、コンサルティングによって顧客へ提供できる価値が向上したことに伴い、1人あたりの平均単価はそれまでの約2.5倍になりました。


この体制を実現するために、O2ではコンサルタントの素養のあるエンジニアを社内で育成する取り組みを行ってきました。それだけではなく、コンサルタントとエンジニアがチームになって技術コンサルティングサービスを提供することで、エンジニア単体で客先に派遣する場合よりもエンジニアの単価を向上させたのです。

テクノプロ様との協業では、こういった私たちがもともと持っていた、エンジニアの価値と単価を上げるための知見とノウハウが活かされています。テクノプロ様に所属しているエンジニアの方々をO2が受け入れてOJTや研修で育成したり、営業活動やコンサルティングでテクノプロ様とO2の社員が協力し合ったりといった施策を行ってきました。こうした施策により、テクノプロ様のエンジニアの価値や単価を向上させることができたのです。

テクノプロ様は「エンジニアの社会的地位を上げたい」「エンジニアがより良く働けるようにしたい」という志を持って事業を展開されています。単価や価値を上げることは、その実現に直結しますから、この協業は非常に意義のある取り組みだと考えていますね。

【事例②】水産加工業の手作業をAI化し、未来の工場を創る|株式会社ラックランド様


――他の事例についても教えてください。

株式会社ラックランド様の事例についてお話しします。ラックランド様は、主に商業施設に関するマーケットリサーチや企画開発、設計、監理、施工を行う企業です。飲食業界との強いネットワークを保有しており、M&Aによる事業分野拡大にも積極的に取り組まれています。O2はラックランド様との業務提携契約を締結して、各種プロジェクトを共同で推進しています。今回お話しするのは、未来ファクトリープロジェクトの事例です。

――未来ファクトリープロジェクトとは何ですか?

現在、日本各地にある工場では、労働集約型の事業モデルが主流となっています。しかし、人間の労働力に頼る割合が大きい産業は、どうしても事業の継続性や発展性に課題を抱えがちです。ラックランド様が保有する施設や設備でもそうした課題を抱えており、継続可能な産業へと変えていくにはDX推進が必要だと考えられていました。そうした、継続可能な“未来の工場”をつくるために立ち上がったのが、未来ファクトリープロジェクトです。

O2はラックランド様と協業しながらこのプロジェクトに取り組んでいますが、いま開発を進めている最中なのが、AIセレクターと呼ばれるクラウドソリューションです。これは、個体差がある海産物の質量をAIで学習し、自動で測定・選別できるようにするためのシステムになります。ラックランド様が所有する施設のなかには水産加工工場も存在しており、それらの工場における業務改善を目指したものです。

水産加工業には数多くの課題があります。たとえば、業務が人による手作業に依存している、就業者人口が減少している、自動化・効率化のための設備導入には何億円もかかるため中小企業ではとても実現できないなどです。

そこで、手作業への依存から脱却するべく開発を進めているのが、AIセレクターです。AIセレクターは、サイズや重さがばらばらの水産物をAIで判定し、自動選別することを目指すシステム。しかも、これまで水産加工工場で用いられてきた自動化設備よりも、圧倒的に安価なコストで導入できるのが利点です。

リリース予定は2021年12月で、ラックランド様の子会社である株式会社ハイブリッドラボ様にて、AIセレクターを各種施設へ導入していくことを目指しています。


――この事例では、どのような点でO2の強みが生きているのでしょうか?

O2はコンサルティングだけではなく、ものづくりができることが強みです。O2グループ内に設計・実装のできる優秀なエンジニアを有しており、そもそもO2のコンサルタントも大多数がエンジニア出身です。こうしたシステム開発のプロジェクトにおいても、戦略の策定からプロダクトの実装まで、一気通貫で実現できます。


さらに私たちのグループにはIBUKIという会社があり、ここではプラスチック射出成型という製法で用いられる金型の設計・製造・販売を行っています。実は同社で、AIセレクターと似たプロジェクトを経験しているのです。

射出成型では製品を作成するときに、金型の内部がどんな状態になっているか肉眼では確認できません。そのため、射出成型で品質の高い製品をつくるには、ベテランの勘や知識が必要でした。しかしIBUKIでは、金型にセンサーを取り付けて各種データを分析することで、プラスチックが固まるときの状態を可視化できる“IoT金型”という製品を生み出したのです。

この技術を応用することで水産物の選別も可能になります。外から見ただけでは内部の状態がわからない貝類などの水産物でも、同様の技術を用いて内部の状態を判別できるのです。

過去に経験した職場よりも、O2は圧倒的に仕事が“面白い”

――O2ならでは仕事の醍醐味や、O2で得られる経験についてお聞かせください。

まず、O2だけではなく他のコンサルティング会社でも得られるものですが、自身の成長や仕事のやりがい、プロ意識、誇り、優秀な仲間などが挙げられます。

一方、O2だからこそ感じられる要素としては、製造業の支援を通じて社会課題を解決しているという実感です。O2は単なるコンサルティング企業ではなく、日本の製造業を元気にするという目標を掲げて、その達成のために日々尽力している企業ですから。お客様にも恵まれており「この方々の力になりたい」と、心から思えるような企業ばかりです。

志を持った優秀なメンバーが多いので、彼らの存在も非常に刺激になります。コンサルタントという職業は、自分の能力を向上させていくことでお客様に提供できる価値も上がりますし、自分自身の待遇にも反映されます。必然的にコンサルティング会社には、秀でた人間が集まるものです。しかし、O2はそういったプロ意識にプラスして「自分の力を使って、製造業をより良く変えたい」という熱い思いを持った人間が多い。私はいろいろなコンサルティング会社を経験してきましたが、これはO2ならではの特徴だと感じています。

また、チャレンジがしやすく風通しも良い環境です。若手社員や入社したばかりの社員にもどんどん意見や企画を出してもらっていますし、そうした声が事業戦略やサービスに結びついたことも数多くあります。そして、社員が担当したいプロジェクトの希望を出しているならば、可能な限りアサインしていきます。グループ内で実際に事業経営を行っていることや、現場に出てお客様の事業に携わることなどから、ビジネスの“リアルさ”を実感できるのも良い点です。

新しいものと古き良きものをかけ合わせる経験ができるのも、O2の特徴でしょうか。グループ会社のIBUKIで、金型づくりにAIやIoTを導入しているのが好例です。日本伝統のものづくりの良いところと、最新のテクノロジーや新しい社会をかけ合わせたり、若い人の新しいものの見方とベテランの持つ技術をかけ合わせたりといったことで、可能性は大きく広がります。


――高い志を持った方、コンサルタントとしてチャレンジしたい方にとっては、O2の環境は魅力的ですね。

間違いないですね。最後にお伝えしたいのは、O2での仕事は何より“面白い”ということです。もちろんコンサルティングの仕事は楽ではありませんから、大変なことも数多く経験してきました。ですが、そういった要素を加味したうえでも、私はO2に入社してから現在まで、面白いプロジェクトしか担当していないと胸を張って言えます。これは長年コンサルティングの仕事をしてきたなかで初めての感覚でした。これからO2に参画してくださる方々にも、ぜひO2のコンサルティングの醍醐味を味わっていただけたら嬉しいです。

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勝見のインタビュー前編では、新規事業創出・新製品/サービス開発の事例についてご紹介いたしました。後編ではデジタル化実装の事例についてご紹介いたしますので、そちらもぜひご覧ください

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