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なにをやっているのか

外観検査の自動化を実現するソフトウェアや装置の開発を行っています。1999年の創業以来、1000台以上の検査装置を稼働させ、顧客に喜んでいただいています。 ●パッケージソフトウェアの開発&販売 核となる技術は画像処理ソフトウェア。 一般的には検査対象が変われば検査アルゴリズムが変わります。そのため対象物ごとに開発費をいただき受託開発で対応するのが一般的です。その場合、とても良いものができたとしても守秘義務などに縛られ広く展開することができないという問題があります。 一方で弊社の場合、10年以上前より、顧客より開発費をいただかず「なんでも検査できるソフトウェア」を目指して開発を進めてきており、同じソフトウェアを半導体業界、自動車部品業界、食品業界など幅広く販売し、1000台以上稼働させてきました。 ●PC、カメラなど動作環境(ハードウェア)の販売 当初はソフトウェア販売の形で展開、利益率は高くなるものの、売上高は上がりにくい状況でした。現在はそのソフトウェアに合わせて、PC、カメラ、照明器などの市販品を仕入れ、「画像処理ユニット」としてセット販売することで売上高も伸ばしています。 ●ハンドリングを含めた検査装置の開発&販売 もともと外観検査という作業は付加価値を生みません。検査をしたからといって価格をあげることはできません。よって、この作業を単純に機械に置き換えたとしても付加価値は生むことはありません。そのため低予算にならざるを得ず「ニーズは非常に高いがカネは無い」という厄介なビジネスになります。そのニーズの高さゆえ参入企業も多いのですが、苦戦を強いられていることが多いようです。 そのような背景の中「検査員の何倍も早い検査装置」というコンセプトを打ち出し、外観検査にかかるコストを大きく削減することで、カネを生みだせるようにしました。これにより顧客に大きな投資効果をもたらし、それに比例する形で利益を上げることに成功。業界内でトップクラスの利益率の高い会社となりました。

なぜやるのか

外観検査はあらゆるモノづくりの現場において、品質維持のため必ず行われている作業であり、そのほとんどがまだ人海戦術で行われています。生産の自動化が進んでいる工場では「人員の半分以上が検査員」ということもあります。このように外観検査の自動化は、人件費が比較的高いとされる日本においても普及が進んでいない状況であり、今後の海外も考えると非常に大きな可能性があります。 【解決しようとする課題】 ・工場で日々「不良品を流出させてはいけない」とストレスを感じながら検査業務に携わる目視検査員を解放する。 ・自動化することで、確実に全数検査を行い、品質を安定させる。 ・目視検査員の感覚による検査は「不良品を流出させてはいけない」という思いから過剰品質を生み出す。これを抑制できれば、出荷数を増やすことで売上を増やし、廃棄物を減らし環境負荷を下げることができる。 ・目視検査員よりも数倍早く検査することで生産効率を上げる。これにより外観検査のコストを下げ、利益を上げられるようにする。ここで利益を上げられるようにすることで、外観検査に関わる全ての人を幸せにする。 ・利益の上がる仕事に従事することで、働く人のモチベーションを上げる。 ・すでに1000台以上を稼働させており、今後も稼働させ続ける責任がある。今後、何十年も継続する組織を作る必要がある。 【創業ストーリー】 大学院卒業後、メカトロニクスがやりたくて電機メーカーに就職し、メカ設計に従事。もともと独立志向が強かったこともあり、知り合いの画像処理検査のベンチャー企業に転職。接待営業で無理な仕事を取ってくる経営者と営業担当、それを実現しようと努力する現場のエンジニアの構図で対立。1999年、30歳で単身で独立に踏み切る。その「ブラックボックスを高く売る」やり方へのアンチテーゼから、"Open" VIsion Technologyを社名とした。 当初は「自分ですべてのソフトウェアを作る」ことを試みたが、画像処理ソフトウェアライブラリHALCONを使った方が、顧客により良いものをトータルで考えると安く提供できることに気づき「使う」技術にシフト。以降、ハードウェアなども含め、よい「部品」を「製品(使える形)」にして製造現場に提供するビジネスになった。 HALCON採用後も「ユーザーの仕様に合わせて」という受託開発を行っていたが、仕事の有無の波が非常に大きい上、顧客の限られた予算に対して、毎回、開発工数がかかり、外観検査という「感覚」の自動化ゆえ手離れも非常に悪くなるという問題に悩む。 そのような中、「良品と同じならば良品」というアプローチで検査すれば、ほとんどのものが検査できることに気付きパッケージ化。2004年、FlexInspectorをリリース。展示会などで高い評価を受ける。また、2007年、この事業で京都市ベンチャー企業目利き委員会でAランク認定を取得。 その後も「ニーズはある、が予算がない」という客先がほとんど。モヤモヤした状態で、ブレーキを踏みながら、アクセルを少しずつ踏むという状態が続く。 ある程度、事業が回り始めたこともあり、検査装置の最終形と考えていた「ロボット+画像処理ユニット」である"FlexInspector-ROBO"を製作しロボット展に出展。注目はされたが「人がやった方が早いんじゃない?」という声が多く、目が覚めた。人ができることをわざわざ機械に置き換える必要はない。人ができないことをやる、人ができることを人ができないレベルでやる、そうでないと自動化、ロボット化の意味はないことを痛感した。 そして今は「顧客が儲からないと、自分たちも儲からない」という事実に気づき、「人の何倍速で検査できるか」に注力し、アクセルを踏み込み始めた。

どうやっているのか

コアなファンを作る。 「外観検査の自動化」は社外秘に関わる内容ゆえ、ネットで検索しても出てこない。そのため顧客は社外の情報に飢えている。そのような中で、弊社はブログや展示会のセミナーなどで「刺さる」発信を繰り返してきた。その結果、コアなファンが存在、セミナーでは圧倒的な集客力をもち、「機会があれば」という潜在顧客が少なくない。 ・日本工業出版社「マシンビジョン・画像検査のための画像処理入門」の巻頭言の執筆依頼  https://honto.jp/netstore/pd-book_28424017.html ・自治体からのセミナー講演依頼  https://www.hai.or.jp/pvc/event/191009seminar/ 現物主義。先に検査装置を作り、顧客に評価してもらう。実際に触ってもらって、検出能力がニーズに合っているか、自分たちで操作できるのかを事前に評価してもらう。そして改善要求は真摯に対応する。ただし無理な受注は顧客に迷惑がかかる上、フォロー工数が増えるので行わない。 受注したら、顧客の現場で「装置」をガンガン動かすことに全力投球。それにより顧客が大きな利益を得られるようにする。実際に触ってもらって、操作性まで評価してきていただいた顧客は戦力化も早い。 大きな利益を得てもらえれば、顧客と対等な関係を構築することができ、ともに楽しく仕事ができる。目的を共有し、協力することができる。 大きな利益を得てもらえれば、特に営業活動しなくても自然に2台目以降もリピート受注でき、自社の利益が大きくなる。1社で何百台になることもある。 すなわちWIN-WINでなくWIN-winであることが最重要。顧客が儲かって初めて自分たちが儲かる。 自社の利益を大きくできれば、資金に苦労せず新しい技術にチャレンジできる、待遇改善も可能になる、会社の雰囲気も良くなる。 そして新しい技術を確立し、発信し、顧客に評価してもらい・・・で回す。 自社で稼ぐ仕組みができていれば外部資金の必要はない。資金調達のプレゼンなど必要はない。ただ顧客に向き合うことだけに注力すれば仕事は回る。