日本の労働人口は2022年の時点で6860万人。10年前の2012年は6565万人であった。一見増加しているようだが、実際は女性の非正規雇用が増加し実数を押し上げている。また、日本の高度成長期を支えた特徴として、経営学者ジェームス・アベグレン氏がかつて唱えた「三種の神器」は「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の3つだ。これらが良しとされてきた時代はとうに終わり、少子高齢化による人口減少、それによる労働力不足、テクノロジー進化に世界からの後れをとる日本の経済市場。そして、コロナ禍で迫られた働き方への急激な変化。それによるメンタル疾患者や自殺者数の増加。いまや、働く人だけではなく、社会全体が大きく揺らぎ価値観の転換機を迎えている。
<参考資料>労働力調査 令和3年平均結果の概要
そんな変化を一番日々感じるのが、企業内で働く人事労務業務に携わるの方々ではないだろうか。かつて人事といえば事務職の一つとして捉えられていた。給与計算、社会保険対応や人材育成。また入社退職などを担当する人としたイメージが強い。一方で、この数年で人事を取り巻く環境は大きく変化した。HRテックという言葉をはじめとし、「人」に関わるテクノロジーが進化し、限られた人材のリソースをいかに生産性高く活用し、事業成果に繋げるか。これらを経営戦略の中心に据え、注力する企業が増加してきた。
昨今では、健康経営・人的資本経営などの言葉をはじめとした人事と経営に関わるワードが拡がり、企業にとっての「人」への重要度は増すばかりである。
今回お話を伺ったのは、長年事業会社で人材マネジメントの制度構築から社員個人のメンタルサポートまで幅広く携わる人事のプロフェッショナルでありながら、ひいては産業カウンセラーとしてSmart相談室で働く人のモヤモヤ解決支援のカウンセラー活躍する水杉 翼(みずすぎ あきら)さん。Smart相談室1人目カウンセラーとして携わった経緯、カウンセラーを志した理由、現場で働く人事労務として考える課題について、CEO藤田とともに話を聞いた。
<筋トレ好きの2人(左 CEO藤田、右 水杉さん)>
水杉さんプロフィール
大学卒業後、採用コンサルから人事として、人材マネジメントの制度構築から社員個人のメンタルサポートに携わる。より働く個人への支援にシフトしたいと考えカウンセラーを始める。
1976年生まれ。うお座、O型。大阪府大阪市出身。埼玉県在住。妻、息子(6歳)、いぬ(11歳)の4人家族。趣味は筋トレ(5年前から自室にパワーラックを設置して日々いそしみ中)。
目次
- 僕の原体験の人です
- 水杉さんは 1人目カウンセラーと伺いましたが、藤田さんとの出会いを教えてください
- カウンセリングとの出会い
- サービスの内容が変わっていくことをどう感じてました?
- 初めての相談。不安な気持ちが感動へ
- 最初のカウンセリングは覚えてますか?
- 最初にまさにやっていくぞという時、水杉さんはどんな存在でしたか?
1. 僕の原体験の人です
1.1 水杉さんは 1人目カウンセラーと伺いましたが、藤田さんとの出会いを教えてください
藤田さん)
水杉さんは僕の原体験の人です。僕の前職で、労務や採用担当として事業部の人事をされてたんです。
水杉さん)
そうなんです。藤田さんが前職のときに、私が事業部の人事として支援している中で年齢も近いことがあって、いろいろなことを相談しやすかったんです。その時に、勉強していた産業カウンセラーの資格を使って、個人を支援したいという話をしていました。後日、藤田さんが「パワハラ相談窓口として事業をやっていこうと思うけどどうかな?」と相談をしてきてくれて、実際にカウンセラーとしてお声がけしてもらったという流れでした。
あってますよね?
藤田さん)
完璧です!今ね、Twitter(現X)やってて早速アップ作業しているところなんですよ。*下記この瞬間に投稿されていたTweet
1.2 カウンセリングとの出会い
水杉さん)
4年前に仕事について悩んでいる時期があって。自分は本当は何をしたいのかなと思っていた時に産業カウンセラーの方が書いた本に出会い、その人に会ってみたいなと大阪への帰郷のタイミングで予約をして受けてきたんです。内容は本当にただ話を聴いてもらうだけだったんですけど、最後にカードを書いてくださいと出されたんです。カウンセラーの方から、「自分がこうやっていきたいというのをまとめるとどうなりますか?」と訊かれ記載したのがこれです。
<お財布からカード取り出す水杉さん>
<決意のカード。ブレないようにいつも持ち歩いているとのこと。>
自分が悩み苦しむ中で、同じようなに悩む人の辛いことをやわらげるようなことをしたいとずっと考えていました。それで、カウンセラーの勉強を始めたんです。藤田さんにお伝えをしたら「できるよ。やってみない?」と声をかけてもらい「やります。」とお伝えしました。その後も、少しずつパワハラ相談窓口からモヤモヤの状態でもなんでも相談できるサービスにしようかと思っているなどの話を伺い、人事目線でも意見をお伝えするという流れでした。
1.3 サービスの内容が変わっていくことをどう感じてました?
水杉さん)
そうですね。働く人たちのお悩みをお聴きする中で、自己解決を支援していくという考えが、自分がやりたいことにとてもマッチしているなと感じました。実際産業カウンセラーの資格をとってから、仕事としてじゃあ本当にできるのかなというのは、私以外の資格をとる人が多く思っているのではないでしょうか。私はたまたまそのタイミングで声をかけてもらえて、ラッキーだったなと思いました。言っておくもんだな〜と。もちろん、社外の方に自分が勉強したことをきちんと提供できるのかなという不安はあったんですけど、それでもやってみよう!とやらせてもらいました。
2. 初めての相談。不安な気持ちが感動へ
2.1 最初のカウンセリングは覚えてますか?
水杉さん)
はい、覚えてます。主にマネジメントについて悩まれている方でした。その時は、始まる前は緊張していましたが、開始後にはお話をお聴きして集中してでき、終わる時には相談者さまから「スッキリしました。」という言葉もいただけました。正直、社外の方へのカウンセリングは初めてでしたので、「これでよかったのかな?」という気持ちと「これでよかった!」という気持ちが入り混じり、それが時間とともにホッとした感覚と感動へと変化していきました。
まさか、その相談者さまは私が初めてのカウンセリングだと思っていらっしゃらないはずなので、「この人、大丈夫?」と不安にならないようにしつつも、鎧を被って聴いてくれないなと感じられないような心の持ちようでいました。これはいまも同じように意識しています。
2.2 最初にまさにやっていくぞという時、水杉さんはどんな存在でしたか?
藤田さん)
心強いです。とにかく心強い存在です。なんといっても気心知れてますし、信頼できる。あと自信もって任せられるし、失敗も許容できるし。そういう関係性のあるカウンセラーと出会えたことが、このサービスをうまく立ち上げられた理由だと考えてます。
水杉さんからはいろいろなご意見もいただけました。例えば時間調整をメールでやっていたんですよね。それが見づらかったりタイミングも遅いと言われました。
藤田さんからの相談に・・・
快く回答してくれる水杉さん。
<実際に行っていた日程調整。個別に一人一人行っていたそうです。>
あとは、現在ある4回コースの設定も水杉さんに無理やりお願いして作ったんですよ。
相談者さまのニーズへ応えながら、コースは作られた。今のSmart相談室の在り方に通じる。
水杉さん)
いえいえ、無理やりではないですよ(笑)ただ、4回のテーマや宿題などを一緒に考えさせていただきましたね。
藤田さん)
こうしたお願いにも、「それは違いますね。」「こうした方が良い。」などを率直に意見を言ってくれる。正直僕に言いづらい人もいると思うんだけど言ってくれる水杉さんの存在は大きいんですよね。
次回は、人事労務の抱える課題に迫り、これからのSmart相談室について話を展開していく。
記事執筆:まゆこ
インタビュアー:Midori Egawa
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次回の【カウンセラーの想い】
▶[後編]CEO藤田×カウンセラー水杉さん | 1人目カウンセラーが語る、Smart相談室誕生の軌跡
▶カウンセリング中は独りだけど、その後ろにはたくさんの仲間がいる|齊藤香織さん
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