技術は広く浅く、プロジェクトは狭く深く。両輪で動くことが、理想のキャリアへの一番の近道【GEクリエイティブだから実現できた!僕の・私のキャリアパス】
前回は新卒研修、その前は畠山のインタビューだったので、久しぶりになってしまいましたが…「GEクリエイティブだから実現できた!僕の・私のキャリアパス」の第3弾を公開したいと思います!
今回、ご登場いただくのは、プロジェクトマネージャーの水野さん。GEクリエイティブで最も長く活躍するメンバーの一人です。
クライアントと一緒によりよいものを作り上げていくために水野さんが大切にしていることとは? ベテランエンジニアの視点を、ちょっと覗いてみていただければと思います。
*聞き手は、採用や人事業務担当の経営管理部・保原です
“狭く深く”よりも、”広く浅く”
保原:
水野さんはもともとIT業界を志望されていたんですか?
水野さん(以下、水野):
実は、前職は金融機関で営業をしていたんです。子どもの頃からパソコンが大好きで、中高生時代は雑誌を見て簡単なゲームを作ったりもしていたのですが…。高校のときに文系か理系かで迷ったときに、当時は経済にすごく興味があったんですね。それで、高校は文系、大学では経済学を学び、金融機関に就職したというわけです。
保原:
じゃあ、GEクリエイティブへは未経験での入社だったんですね。
水野:
そうですね。GEクリエイティブで仕事をしていた友人から、文系でもエンジニアになれると聞いて。しかも、ベンチャー(*)だから自由で、細かいルールもなくて、やる気があればどんどん任せてくれてスキルアップできる、と。IT業界のことはまったくわからなかったのですが、可能性に惹かれてチャレンジしたという感じです。
*水野さんが入社したのはGEクリエイティブの前身の会社で、当時、設立4年目でした
保原:
となると、仕事をしながらプログラミングを学ばれたんですか?
水野:
そうですね。たしか最初のプロジェクトは、空港の手荷物検査を管理するシステム開発だったのですが、とにかく設計書通りにプログラミングをするのに必死でした(笑)。
保原:
今の水野さんからは思いも寄らないエピソードですね。でも、どうやってスキルアップをされてきたのでしょうか?
水野:
将来のこととかはあまり考えていなくて、本当に好奇心だけで動いてましたね(笑)。仕事で使うかどうかわからない新しい言語であっても、流行りだったり、興味があれば、とりあえず触ってみてましたから。
でも、まあ、結果的によかったのかなと。GEクリエイティブは中〜小規模で、しかもいろいろな業種のプロジェクトが多いですよね。そうなると、ひとつのことを突き詰めるよりも、広く浅い経験が活きることが多いんです。仕事に関係なく、個人的に勉強していたことが思いがけず役に立つということも、けっこうあるんですよ。僕はどちらかというと、いろんな言語ができるほうが好きなので、今の環境はとても楽しいです。
保原:
ちなみに、一番おもしろかったプロジェクトは?
水野:
パチンコ・パチスロの液晶画面を作るプロジェクトですかね。あるアニメの名シーンを液晶画面で再現するというもので、映像の制作会社さんに絵コンテから描いてもらったんです。一般的な業務システムの開発とは、まったく毛色が違うという意味で、おもしろい、ユニークな仕事でした。
プロジェクトに入ったら、とことん深く考える
保原:
数々のプロジェクトを経験される中で、考え方が変わったなど、転機となったプロジェクトはありますか?
水野:
もう十数年前の話なのですが、詳細設計〜開発、テストまでを行うプロジェクトにマネージャーとして入ったことがあったんです。僕のほかに、5、6人のメンバーが一緒だったのですが、若くて、経験も浅い人が多かったんですね。しかも、開発スケジュールもすごくタイトで。これを炎上させずにやりきるには、若手の力を最大限、発揮できる環境づくりが大事で、だから気持ちよく仕事をしてもらおうと考えたんです。
気持ちよくといっても、もちろん、楽をしてもらうという意味ではなく。モチベーションを持って能動的に動いてもらえる状態を作りたかったんです。そのためには、上下関係を感じさせないようなフラットな関係を築くのが重要だと思ったんですね。それで、フットワークが軽い人、深く調査をしてくれる人、など、特性を見極めて仕事を振るようにしました。このやり方は今でも、プロジェクトを上手く進める上での、ひとつの大きなポイントになっています。
保原:
やらされているだけは、おもしろくないですものね。メンバーとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?
水野:
深く、深く、考えるように促しています。開発(プロジェクト)って、経験を重ねていくと、「こんな感じでいいだろう」と浅く考えてしまいがちなんです。
でも、ユーザーさん(=発注元のクライアント)の言っていること=本当にほしいもの、やりたいこととは限らないですよね。それを見つけるためには、もう一歩、深く考えることが必要だと思うんです。
保原:
ユーザーさん自身が上手く言葉にできない、みたいなこともありそうですよね。
水野:
そうなんです。なので、ユーザーさんが実際に操作している状況を、できるだけイメージするようにしてます。この操作をなくせば手を動かす数が減って使いやすくなるかな、とか。使いやすさ、安全性など、あらゆる面を考慮した上で、さらに想定外の使い方にも対応できるようにしておく。もちろん、ユーザーさんがやりたいこと、言っていることも否定せずに、「こういう形なら、上手くいきそうです」といった感じで、なるべくより良いものを提案するようにしています。
保原:
ユーザーさんと一緒に作り上げていく感じなんですね。とはいっても、ユーザーさんは開発者でもないし、なかなか興味を持ってもらうのもむずかしいのかなとも思ったのですが…。
水野:
そうですね。なので、まずは興味を持ってもらうために、システムを作るとユーザーさんのお仕事がどう変わるのかというイメージを共有するようにしています。
たとえば、1,000万円くらいかけてシステムを作ってデータが蓄積されるようになったけど業務量はぜんぜん変わらないよね、となると、ユーザーさんにとっては「よかった」とは思えないですよね。
じゃあ、どうするか。システムを導入することによって、この業務が20%削減されてほかの仕事ができるようになるとか、直接的なメリットがわかれば、がぜん興味が出てくると思うんです。最初の段階でここをしっかり伝えておくと、上手く進めやすいと思います。
いいシステムを作るコツとプロジェクトを上手くリードするコツは同じ!? ポイントは「見える化」
保原:
メンバーやユーザーさんとのコミュニケーションのほかにも、プロジェクトを上手く進めるコツはありますか?
水野:
プロジェクトのタスクをすべて洗い出すことかなと。むずかしい部分を「まだ先のことだから」と放置していると、後々、その不確定要素に重大な問題が出てきたりして、余計な時間とコストがかかってしまうことって、よくあるんです。
だからこそ、プロジェクトの最初の段階でなるべくタスクを洗い出すようにしているんです。分解すれば、簡単なタスクの集まりだったりするので、自分で理解できるレベルまでタスクを細かくするのも大事ですね。
保原:
問題がわかれば答えは半分わかったと同じ、といいますからね。問題を見えるようにして、整理しておくのが重要なんですね。
もうひとつお聞きしたいのですが、ユーザーさんに「よかった」と思ってもらえるシステムを作るには、どこに気をつけたらいいんでしょうか?
水野:
さきほどもちらっとお話しましたが、ユーザーさんが実際にどう使っているのかをイメージすることが重要だと思います。イメージができていない状態で、勝手な判断でシステムを作ってしまうと、使い勝手が悪かったり、結局、使えないシステムができてしまうんです。
保原:
ユーザーさんに聞いて、具体的なイメージを膨らませていく感じなんでしょうか?
水野:
ユーザーさんと直接、お話できる機会があればヒアリングしますし、そうできない場合でも、なるべく多くの情報を集めるようにしてます。このときに、全体像を理解するのがポイントですね。
基本となるのが、業務フローを理解すること。まずは、ユーザーさんがやっている業務の流れを絵(フローチャートみたいなもの)に描いて、認識をちゃんと合わせます。そのうえで、今回のシステムを導入するとこういう感じになりますというのを見せます。こうすれば、ユーザーさんのやりたいことと乖離がなくなりますし、絵にすることで「ここの業務はちょっと無駄が多いな」とか気づけたりもするので、けっこう丁寧にやっています。
AIの可能性を引き出したい!
保原:
まだまだお聞きしたいことはたくさんあるのですが、お仕事もありますし…いったん最後の質問にしますね。 水野さんが今後やってみたいことをお聞かせいただけると嬉しいです。
水野:
あんまり大それたことは考えていないのですが…。今のプロジェクトの前に、1年半くらいAI開発をしていたんです。そのときに、ユーザーさんが溜めた情報、いわゆるビックデータをどう活用していくかについては、もっと新しい需要を掘り起こせるんじゃないかなと思いまして。自分でも深く掘り下げて勉強して、ユーザーさんに提案できるようになれたらいいな、と。
保原:
具体的に、この領域でこんなふうにAIを活用できるんじゃないか、というイメージは持たれているんでしょうか?
水野:
僕がやっていたのはディープラーニングというものなんですよね。何ができるのかというと、たとえば需給予測をする場合、人間だと「冷夏だと除湿機が売れる」とか経験則で判断することが多いですよね。
一方でAIは、たくさんのデータを先入観なしで分析して答えを出します。すると、思いもよらないことが需要の増減に影響していることがわかったり、人間では思いつかない切り口で情報を引き出せたりもするんです。
今は、どこのメーカーさんでもデータを集めてはいますが、蓄積するだけで終わっちゃっているんですよね。せっかく集めたビックデータなんだから、きちんと分析をして、戦略づくりとかそういうところにどんどん活かせるようにできたらいいなと思ってます。
保原:
データを溜めちゃってるだけというのは、もったいないですね。戦略づくりや予測に活かせれば、生産のムダも減らせますし、世の中にもいい影響がありそうです。
AI開発のプロジェクトに参加されたときには、ぜひまたお話を聞かせていただければと思います。今日はありがとうございました。