日本が世界に誇るエンタメ産業。特に最近では日本の大手VTuber事務所2社が大型IPOを果たし、VTuber市場は全世界的に成長を続けています。
日本人が日本で起業しグローバル市場を目指すなら、エンタメ産業にこそ最大のチャンスがあると言っても過言ではありません。私たちが提供するVTuber推し活アプリ「my dear.」もそのような狙いから開発しました。
共同創業者2人で学生起業した当社は、メンバーの平均年齢も若く、学生インターンにも大きな裁量があるのが特徴。経営者と同じ目線で考える姿勢が求められる代わりに、他では経験できない仕事も体験できます。
今回はインターンの募集にあたり、代表の萩原湧人にインタビューを実施。起業までの経緯やどのような学生を求めているのか聞きました。
数々の企業でインターンを経験した後に「起業」を選んだ背景とは
―まずは萩原さんが起業するまでの経緯を聞かせてください。
私は元々は医学部の学生でした。医学の勉強を進めていくうちに、自分は医者には向いていないことに気づき、東京大学を再受験して入学し直しました。
そんな経緯もあり、早く自分が本当にやりたいことを見つけなければならないと思い、大学で様々な活動をしていたところ、ベンチャー企業での「インターン」に熱中してしまいました。
休学もして、とにかくがむしゃらに様々な業種のスタートアップやメガベンチャー7社でインターンをさせてもらって。そのように働くうちに「どこかの会社に就職するよりも、自分で会社を作ってみたい」と思うようになったのが起業のきっかけです。
それから自分で事業計画を作り、仲間とビジコンに出るようになって。そのうちの一つで、今のビジネスの原型となったサービスが投資家からも評価が高く、資金を調達できる算段がついたので起業することにしました。
―当時はどのようなビジネスアイディアだったのでしょうか。
当時はサブスクリプション型の音声コンテンツアプリを考えていました。海外でポッドキャストアプリが流行していたので、日本でも流行ると思ったのです。当時はビジネスやカルチャーなど、様々なジャンルの音声コンテンツを配信していました。
事業を進めていくうちに、「ボイスドラマ」というジャンルの人気が特に高いことに気がついて。同じコンテンツを何周も聴いてくれていた聴取者に話を聞いてみると、どうやらストーリーを聞いているのは1周目だけで、2周目以降は声優の「声に癒やされる」のが目的だというインサイトを得たのです。
であれば、脚本作りから編集まで大きなコストがかかるボイスドラマ制作より、もっとミニマムに声に癒やされる体験に特化した方が良い。
さらに検証していくと、ただボイスを購入して聴けるだけではなく、ユーザーの方々一人ひとりにカスタマイズして収録された個別ボイスの方が反響が良いことに気づきました。
ちょうど、VTuberによるボイス販売市場が伸びていることもあり、その知見を基にピボットして、試行錯誤しながら開発して生まれたのが、1対1体験ができるVTuber推し活アプリ「my dear.」です。
―今やライブ配信アプリやYouTubeなど様々なサービスが存在します。それらのサービスとの違いや優位性について教えてください。
「my dear.」は、VTuberさんがユーザーさんに対して1対1感覚でコンテンツを届けられることが特徴です。競合サービスはどれも1対多、不特定多数の人に対して配信しています。ユーザーさんにとっては、自分に向けられたメッセージかどうかというのは非常に大きな違いになります。実際にユーザーさんからも「自分に向けてメッセージをもらえるのが嬉しい」といった声を数多く頂いています。
これからmy dear.はさらに1対1体験を楽しめる機能を磨き込んでいき、熱量の高いファンサービスができるプラットフォームとして展開していきます。
そして2023年3月には松竹様と協業して、VTuber事務所「my dear. production」を立ち上げました。
2023年9月にはKONAMI様のアクセラレータープログラムの一環で、東京ゲームショウのステージに登壇して、3期生をデビューさせました。
今後はさらにVTuberさんに向けて企業案件の提供やイベントの開催をして、より大きなネットワークを構築していきます。
また、国内と並行して海外展開の検証も進めてまいります。
「素直、理解力、会社への貢献」インターンに求める資質
―現在、積極的にインターンを募集していますが、どのような業務を任せたいのか聞かせてください。
先日、プレシリーズAラウンドで1.2億円の資金調達を実施し、さらに事業拡大をしていくフェーズなので、常に人手不足です。インターン生には社員と同等の裁量を持ってもらい、事業責任者レベルで大きく業務を任せたいです。
具体的な業務内容の例としては、
・企業案件の獲得
・プロジェクトの企画立案、進行管理、効果検証
・VTuberのマネジメント
・新規VTuberとの関係構築
・人材採用の計画策定と実行
・プレゼン資料、企画書の作成
・SNS施策の立案と実行
・ASO、SEO対策
・海外進出の検証
などです。
勿論これらは流動的に優先順位が変わりますし、インターン生自身が考えて必要だと思ったことは、どんどんタスク化・プロジェクト化して主導していただけると嬉しいです。
―仕事の幅はとても広そうですね。
もちろん、これらの業務を一人でこなす必要はなく、複数の学生で手分けをしながら取り組んでもらえればと思っています。最初は大変かもしれませんが、慣れてくれば任せられる仕事の幅も広がると思いますし、これらの仕事をもし一人でできるようになったらどの会社でも通用するのではないでしょうか。
また、私たちが仕事をお願いするだけでなく、事業の当事者として自分たちからサービス改善の提案をしてくれることも期待しています。
―そのような業務を任せるとして、どのような学生を求めているのですか?
私たちの言うことを汲み取ってくれる理解力はもちろんですが、同時に素直で会社に貢献したいというマインドを持っている学生を求めています。知識を持っているかではなく、私たちの事業を理解し、実行に移せる学生と働きたいです。
以前インターンをしていた学生は、1年生から働き始めたのですが、私たちのお願いすることをすぐに理解して仕事を覚えてくれる子でした。私たちもどんどん任せられる仕事が増えていって、任せた仕事だけでなく自ら提案もしてくれるようになって。
最終的には抽象的に仕事を依頼しても、自分で考えて具体的な形にしてくれるようになっていました。
―選考ではどのようなポイントを見ているのか教えてください。
その時に求めているポジションにもよるのですが、総合的に考慮して「一緒に働きたいと思えるか」という点を重視させていただいています。
簡単に具体例を挙げると、
・過去の努力と成功体験
・将来的なキャリアをどう考えているのか
・any styleでの長期インターンで得たいことは何か
といった要素です。
インターンでも「経営者目線」を経験してほしい
―インターンを経験することで、学生たちが得られるものについても聞かせてください。
私たちの日々のディスカッションに参加できるようになれば、スタートアップ経営陣の目線でビジネスを考えられると思います。普段から事業に関する情報は、可能な限り全て社内で共有しており、インターン生も見ることができます。
例えば、投資家とのディスカッション内容や、進行中のプロジェクトの状況なども随時共有しているので、学生ではなかなか触れられない上流の情報も知ることができると思います。
将来、起業したり経営に携わりたいと思っている学生にとっては、絶対に役立つ知見を得られるはずです。
―なぜそこまで情報を共有しているのでしょうか。
私も様々な会社でインターンをしてきたのですが、上から降ってくる課題をこなしているだけではつまらなくて。それよりも共有されている情報をもとに自分で考えて、会社に提案できる方が面白いですよね。
言われたことをやるよりもハードルは高いかもしれませんが、それを面白いと思ってくれる学生と一緒に働きたいと思っています。
―学生からの提案も受け入れられるのですね。
誰からの提案かは関係ありません。学生からの提案であっても、経営陣からの提案であっても同じようにフィードバックします。学生だからといって甘くみることもありませんし、いい内容だったら本人に率先して企画を進めていってほしいですね。
私たち自身も学生時代に起業しているので、学生だからビジネスができないとは思っていません。仕事ができるなら、社会人でも学生でも関係なく仕事を任せたいと思います。
―インターンから、そのまま入社することもできるのですか。
今はフルコミットできる人材を集めているので、むしろ大歓迎です。以前インターンをしてくれた学生も別の会社で修行をしていますが、それが終わったらまた会社に戻ってきてくれると言っているので。
もちろん、私たちのインターンを経て別の会社に就職してくれても構いません。弊社のインターンでバリューが出せるようになれば、今後どのような企業に入るにしても確実に成果を上げられるようになるはずです。
―働く日程や時間についても教えてください。
インターンなので日程は自由に調整してもらいたいですが、例えば「週3日」などと固定しないで「ビジネスが好きだから、つい事業のことを考えてしまう」という学生の方がマッチすると思います。サークルのように、楽しいから毎日部室に顔を出すような感覚で取り組んでもらえると嬉しいですね。
もちろん、連絡にはレスをして欲しいですが、基本的にはあまり管理をせずに自ら動ける学生だと楽しめると思います。最初はオフィスでキャッチアップしてもらいながら、慣れてきたらリモートでも可能なので、自分で自分を管理しながら働ける方がいいです。
―最後にビジョンを聞かせてください。
日本が世界に誇るエンタメ領域において、世界中のファンの方々にコンテンツを届けたいです。
既にVTuber業界では2社が大型IPOをしていることもあり、この領域こそが日本人が日本で起業する最大のチャンスだと思っています。
グロービスが主催するG-STARTUPというアクセラレータープログラムで最優秀賞を獲得したときも、その点を評価してもらえました。「今の日本が世界のマーケットで勝つには、この産業しかない」と。
そして、日本発のエンタメ・カルチャー領域から日本の経済を盛り上げていきたいです。生まれてから一度も好景気を体験したことのない世代だからこそ、その旗振り役に自分たちがなれれば嬉しいです。
そんな大きな目標に一緒に挑戦してくれる学生をお待ちしています。