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なにをやっているのか

白い海鮮丼 ~今日のネタなんですか?~
たまねぎキャッチャー
1.【多彩なプロと連携して、道の駅を再生する仕事です】  シカケは、道の駅の再生や立ち上げ支援を行なっています。  全国に1,213カ所(国土交通省 令和6年2月16日 第60回登録)ある道の駅のうち、約1/3が赤字というデータがあります。多くは、行政が出資して運営している第三セクターです。  シカケはそんな第三セクターに改善策を提案し、道の駅のリニューアルや新規立ち上げをサポートしています。  代表の金山が独立する前に関わった道の駅うずしお(兵庫県南あわじ市)を運営する第三セクター(行政が出資している法人)では、新商品の開発などを通じて8億円だった売上を、14億5千万円まで向上させました。 2.【道の駅を支援する流れは、大きく3段階】 ①第1段階 ・道の駅の立ち上げやリニューアルの調査。 ・ポテンシャル・ギャップ分析を経て改善提案、必要になるプロフェッショナルの選定。  たとえば「調査の結果、この施設は8億円稼げるポテンシャルがありました。現状は5億円なので、こんな施策やこんな商品開発をしてみませんか?」とご提案するイメージです。  この際、大切にしていることは3つです。  a. 目指すべき方向性をビジュアル化・可視化して、ご提案先に未来を明確にイメージしてもらうこと  b. 多くの利害関係者と調整を図るために、空気は読んでも忖度はせずに率直な意見をぶつけること  c. 目指すべき未来を実現するために必要であれば、プロフェッショナルを選定し巻き込むこと ②第2段階 ・飲食店の立ち上げ、商品開発などプロジェクトメイキング。  来訪されるお客様目線に立ちながら、看板商品の開発を行ったり、一般的な飲食店を繁盛店に変貌させたりします。  たとえば、先ほど紹介した道の駅うずしお(兵庫県南あわじ市)の場合は「白い海鮮丼」と「たまねぎキャッチャー」が大当たりしました。  淡路島のおいしい白身魚と玉ねぎが、どうやったら輝くか。どんな魅せ方をしたら、大行列ができるようなお店になるか。お客様目線で「シカケ」を考えていきます。  「白い海鮮丼」の場合は、瀬戸内海の白身の魚を食べてほしいという思いからスタートし「白身の魚だけで海鮮丼を作りましょう」と提案し商品企画がスタートしました。  最初はそのまま丼に乗せていましたが、白身の魚だとどうしても色味が悪く「これは1,000円いただけないな・・・」という見た目になってしまいました。  そこで「白い海鮮丼」というキャッチーな名前をつけ、高級焼肉店のように白身の魚を別盛りにしたり、魚の名札をつけたりしました。今では、道の駅うずしおの大人気商品となっています。 ③第3段階 ・道の駅の経営支援、運営会社メンバーのマインドセット改革。  商品がヒットし業績が回復しはじめたら、道の駅の経営自体に入り込んで支援するケースもあります。  特に重視しているのが「道の駅で働くスタッフのマインドセット変革」です。  シカケの支援が終わり私たちが離れたあとも、利益を出し続けられる状態を目指しています。だからこそ、支援先のスタッフが、自分で考えて行動し、それが人の役に立つと体感してほしいのです。仲間やお客様から褒められ、結果、お金を稼げるようになるという流れを生み出すことを重要視しています。  スタッフひとりひとりにやりがいが生まれ、仕事が楽しくなるサイクルを組織の中につくっていく事が、シカケが目指す最終的なゴールです。

なぜやるのか

1.【道の駅支援のきっかけは、20代のときの飲食店への営業活動】  道の駅支援をするようになったきっかけは、代表の金山が東京、大阪で過ごした20代にあります。  グルメサイトの営業部署に配属され、たくさんの飲食店に飛び込み営業をしていました。  仕事はグルメサイトの契約をいただくことでしたが「そもそもこの店は、グルメサイトに載せて可視化したところで、お客さん来ないんじゃないか」と思ったので、飲食店自体のプロデュースにも手を出していきました。  「看板メニューがないと、お客さんの印象に残らないですよ」とか「よそのお店はこんなことをやっていますよ」と伝え「なんでお前に言われないといけないんだ」と怒られながらも、少しずつ一緒に改善していったのです。  改善して、その内容をグルメサイトに反映させてというサイクルを繰り返すと、みちがえるようにお客さんが入っていきました。200万円の売り上げが、500万円くらいまで伸びるケースもありました。  この経験が1つの転機になったのです。ふだん自分が思っているお店への不満を伝えたり、世の中で流行っている情報を渡してあげたりするだけで、こんなに売り上げが変わるんだと新鮮に感じました。    なにより、たくさんの感謝をもらえたことがうれしかったです。最初は副業としてはじめ、お金をもらっていませんでしたが「うちは本当に救われた。すごく売り上げが上がったし、店舗も増えた。こんなの無料でやったらあかんで」と言ってもらえるようになり、お金をいただいて支援するようになりました。  人の役に思う存分立っていたら、感謝をされるし、経済的なリターンもあるんだなと気づけました。自分自身の存在価値を知れた瞬間であり、道の駅支援という今の事業につながる起点にもなりました。 2. 【ミッションは、前向きな人を増やし地域の産品を流行らせること】  代表の金山は、シカケを立ち上げたり、飲食店営業をしたりする前、新卒で人形浄瑠璃の世界に飛び込みました。  憧れて入った大好きな世界でしたが、理不尽や無駄への怒りを感じ、それが原体験になっています。  採算をとれていないという事実や劣悪な労働環境を「500年の伝統」という言葉で、片付けていたのです。  そのときに、昔の話ばかりしていてもダメだ、ちゃんと現実を直視して改善していかないといけないと感じました。  今取り組んでいる道の駅の状況も似ています。  第三セクターで行政のお金が入っているから維持はできているけど、採算はとれていない。それなのにそこから目を背けて「昔はよかった」と昔話ばかりしている人が多いのです。    だけど地域には、たくさんの魅力的な産品が眠っています。厳しい現実で聞きたくない言葉かもしれませんが、シカケは感じたことを素直に伝えることを大切にしています。そのうえで、目指すべき未来を示し、一緒に1つずつ改善していきます。  人生の大切な時間を後ろ向きなことに使うのではなく、前向きに未来をよくするために使いたい。地域に眠っている魅力が発掘され多くの方に届き、その結果として地域の活力を向上させていく。それがシカケのミッションです。

どうやっているのか

シカケの強みや大切にしている価値観は3つあります。 1. 【土台としての、食に対する圧倒的な知識と経験】  代表の金山がもつ食に対する圧倒的な知識と経験が、シカケの強みの1つです。  もともと食への関心は高く、20代の頃はお金を借りてでも、積極的に新しいお店に食べに行っていました。  食べログのレビュアーさんと仲良くなり、食のプロともたくさん出会いました。裕福な人との接点もできて「お金をもっている人ってこういう感覚なんだ。お金に糸目をつけないんだ」と体感できたのもこの頃でした。    もともとは「道の駅には数百円の商品しか置いてはいけない」という先入観がありましたが「いいものはちゃんとお金をもっている人に届けよう」という視点が身につき、シカケの事業に活きています。 2.【忖度せずに意見し、目指すべき場所を明確に示す】  言いたいことを率直に言う力は重要です。空気を読む必要はありますが、忖度は不要です。  地域にいくと、ほとんどの人がマイナス思考ですが、目標は口にしなければ実現はしません。  たとえば、売上1億円行こうと思うなら、ちゃんと「1億円を目指す」と言わないといけません。赤字を脱却したいよね、給料あげたいよね、ボーナスは出た方がいいよね、長時間労働やめた方がいいよねと、みんなが心の中で不満に思っていることを、素直に声に出して目指すべき未来を明確に示すことを大切にしています。 3.【すごい人はすごいと認め、素直に聞く・頼る】  シカケはたくさんの人と一緒にプロジェクトを進め、外部のプロにも多く入ってもらいます。人の力を借りる能力は、シカケでは特に重要です。  すごいと思った人にはすぐに会いにいきます。そこに対するお金と時間の投資は惜しみません。そうすることで、一緒にプロジェクトに参加してくれるパートナーが増えるし、シカケとしても成長していきます。  たとえばメンバーが「こんなことをやりたいけど、やり方がわかりません」と相談にきてくれたら「じゃあこの人に話を聞きに行こう」とすぐに言います。「出張費出すから聞きに行ってきてよ」とすぐに言うはずです。  すごい人を素直に頼り、聞きにいく姿勢を大事にしています。多様なプロを巻き込んでプロジェクトを進めていくシカケだからこそ、大切にしている姿勢の1つです。