「自分がしっかり勝てる、ユニークなキャリアを描きたい」という想いでバックオフィスの道を選んだ佐藤匡介さん。
とはいえ、バックオフィス業務といえば、書類の管理をしたり、オフィス環境を整えたり、税理士や社労士を始めとする専門家とやり取りをしたり…と何だか地味なイメージがあります。
株式会社コロプラの新卒総合職1期生を経て、さまざまなスタートアップのバックオフィスを整備し、現在は業務委託メンバーとしてFUSIONの経営を支えている佐藤さんが、この仕事に魅了された理由を聞いてみました。
佐藤匡介(さとう・ただすけ / @tadasukeeee)
株式会社コロプラ新卒総合職1期生を経て、「360Channe(サンロクマルチャンネル)」を創業し、5年間、経営企画部部長を務める。その後、パートナーとともにパーソナルジムを創業する傍ら、さまざまなスタートアップの経営企画に携わる。2020年からFUSIONのバックオフィスの整備を担当中。
「自分が勝てるユニークなキャリア」を歩むために
ーーまず、これまでやられてきたことを教えてください。
大学を卒業してから、スマートフォン向けアプリ事業を展開する株式会社コロプラの新卒総合職1期生として入社しました。どうしても「新卒1期生」になりたくて…!
ーーどうしてですか?
学生のころ、自分がしっかり勝てるユニークなキャリアを作るには何がいいのかをすごく考えたんですよ。仮に大手企業に入ったとしても、たとえば営業職には体育会系の強い人たちがいるわけじゃないですか。それでは勝てるわけがないなって。
そのなかで生まれた仮説が、事業が伸びていて、キャッシュもある会社の「新卒1期生」で入ることです。
当時社会で活躍されている方々の経歴を見たときに、「新卒1期生」として入社している方が多かったので、自分も「新卒1期生」を狙いにいきました。
新卒から数年って、能力的にはあまり変わらないはずなのに、社会人経験差で序列が決まってしまうもの。でも、新卒1期生は、先輩が中途の方しかいないので、見られ方が違うんです。すごい下駄を履かせてもらって、いろんな活躍の機会を与えられる。
僕の場合、同期とともに「360Channe(サンロクマルチャンネル)」という360度VR動画専用の配信プラットフォームを展開する会社を創業しました。
ーー1年目からさまざまなことをやられていたんですね。
そうですね。
そのなかで、僕が中心となって行っていたのが経企・経理・労務・総務・法務の機能すべての立ち上げです。東証1部上場の企業の完全子会社であるからには、バックオフィスがきちんと整っていないといけない。
事業計画を作ったり、経営管理をしたり、リスクの整理をしたり、会社として成立させるために必要なことはすべて担いました。
それからバックオフィス業務に5年ほど注力しましたが、とはいえ、子会社ではある程度整ってしまえば、それ以上ドラスティックに変更することはあまりないんです。
そこで、次のステージに行くために、飲食関連のスタートアップに転職しました。バックオフィスを整えたら人を採用して、事業側に移りたいと思って入ったのですが、バックオフィスを整えてるうちに、緊急事態宣言など大変な状況になり、大打撃を受けて倒産してしまったんです。
それからは、自分のなかに収入のフローを作ってからチャレンジをしたほうが、外的要因に引っ張られずに、自分のポリシーや哲学のもと、意思決定や判断の軸をブラさずにいられると感じたので、パートナーとともにパーソナルジムを設立。
その傍らで、さまざまなスタートアップに対し、事業規模や目指している方向性に合わせて、適切なバックオフィス機能の整備をしています。
バックオフィスを整えていくことは、会社の成長を加速させること
ーーお話を聞いていると、数ある職種のなかで、佐藤さんがバックオフィスというポジションを選んだ理由が気になるのですが…!
「勝てる領域でしっかり戦って勝っていく」というのをつねに意識しているからこそ、選んだキャリアだと思っています。バックオフィスの業務というのは、基本的には「適切にミスなく回す」という印象が強いですよね。
でも、そんな業務を完遂する人たちがたくさんいるなかで、「改善する」「ドラスティックに変更する」「企業の発展に合わせて意思決定をしていく」ことって、実は「適切にミスなく回す」人たちにとっては難しいことでもあるんです。
僕は数字に携わることこそが会社経営に携わることだと思っているので、一歩踏み込んでその領域ができるようになると、希少価値が出ると考えたんですよね。
だから、事業側にいてもバックオフィス側にいてもやることはあまり変わらないと思っています。課題を特定して、適切に優先順位をつけて解決していくことが僕の仕事です。
バックオフィスは各領域に対して一定の専門性が必要なので、インプットが不可欠なんですけど、僕は勉強することが得意なので、わからないことや、やったことがないことはむしろウェルカムです!
ーーなるほど。バックオフィスのやりがいはどんなところにあるんですか?
バックオフィスを適切に整えていくことで、会社の成長が加速する瞬間に立ち会えることですね。
たとえば、売上や稼働などの数字を適切に管理して、リアルタイムでわかる状況にするだけでも、現場の意識が変わっていきます。自分の稼働状況がわかると、がむしゃらにやるのではなく、利益を最大化するやり方を模索するようになりますよね。
事業責任者や経営者の意思決定の精度が上がれば上がるほど成長角度は上がるので、きちんと情報整備をして、どこまでやるかを擦り合わせて実行していくのが面白いんですよね。
営業の場合は、案件を取ってくることが事業の成長に繋がったりしますが、バックオフィスでは縁の下から強いパワーを発揮できることが楽しいところだと思います。
ーー業務のなかで気をつけていることはありますか?
バックオフィスの業務というのは、会社が大きくなれば大きくなるほど「ミスがない」ことが「普通」だと思ってしまいがちで、問題が発生したときのみスポットが当たります。
そんなときにヒューマンエラーを責めるのではなく、ミスがない仕組みをいかに作るかを考えないとしんどくなってしまうし、誰かの頑張りによって成り立っているようでは持続可能性が低い組織になってしまう。
だからこそ、「人を憎まず仕組みを憎もう」という思想を持ちながら業務を進めています。
「成長していない会社」のバックオフィスは、やることがない
ーー現在FUSIONでやられていることを教えてください。
今は週1、2のペースで働いていて、バックオフィスのほかに事業開発に携わったり、上場準備に取り組んだりしています。
FUSIONには、大学の同期から「知り合いの会社がバックオフィスまわりで困っている」と教えてもらったことがきっかけで、ジョインすることになりました。
当時のFUSIONは創業2期目で、従業員としてはまだ3名しかいなくて、採用を強化していくタイミング。
その一方で、代表の前田さんが自分ですべて社労士や税理士とのやり取りや税金の支払いなどもやらなくてはいけないし、事業にも集中しないといけない…という状況だったので、全部巻き取りました。
ーー経営をしながら外部の専門家とやり取りをするのは大変そうですね。
やっぱりそれぞれの領域の知識がないと、専門家と対峙できないんですよ。
やるべきかやらないべきかで聞いてしまうと、もちろん専門家は立場上「すべてやるべき!」と答えるしかないので、知識と解像度がないと擦り合わせにくい。
経験と知識をもとに状況に合わせて専門家を巻き込みつつ、やるべきリスクラインをしっかり見ていくことが必要なんです。
とはいえ、自らが力技で都度処理していくのとフローができあがってるのには大きな差があるし、ルールだけが増えても運用を徹底していなければハリボテのまま。
いかにちゃんとフローに乗せて運用するかが大事なので、バックオフィスの採用も含めて、1年弱をかけて整えていきました。
ーー実際にFUSIONにジョインしてみて、いかがですか?
基本的に、バックオフィスがお願いすることって面倒くさいことが多いんですよ。成長していくためには絶対に必要なことだけど、これまでルールがなかったところに新たに稼働が発生するわけだから。
でも、FUSIONのメンバーは「整えてくれてありがとうございます」と言ってくれるんです。
僕たちは面倒くさいことをやってもらうという立場上、謎の反発を喰らいがちなので、必要なことをちゃんと理解して、むしろ感謝してくれるっていうのはすごくやりやすいですね。
さらに、重要なのが会社自体がちゃんと成長しているということ。
成長していない会社のバックオフィスは、やることがないんですよ。
バックオフィスというのは、会社の規模や事業が複雑化するとともに、やらないといけないことが大きくなっていくものなので、成長していない会社のバックオフィスほどつまらないものはないと思います(笑)。
その点、FUSIONはバックオフィスを頑張れば頑張るほど、会社の成長にも直結していくので、キャリア的にもいい職場だなぁと思いますね。
ーーありがとうございます。今後FUSIONでやられていきたいことはありますか?
最低限の必要なことは整えましたが、ここから採用を加速させていったり、事業の規模や種類が増えていくなかで、どんどん経営判断が難しくなっていくはずです。その成長にバックオフィスが遅れてしまうと、間違った打ち手がなされたり、ズレを引き起こしかねない。
先手で着実に手を打って、会社成長が滞りなく行われる、もしくは加速する仕組みを作っていきたいです。
そこが、今のフェーズのFUSIONに関わる楽しさだと思うので、そこを楽しめる人にぜひ来てほしいですね!
(取材・執筆=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)