1
/
5

「NewsPicks × 新規事業」で、日本の企業を変える

企業内新規事業開発に特化したプラットフォームを構築するアルファドライブ。
2018年2月に創業した同社は2019年11月、100%子会社としてユーザベースグループへの参画を決定した。
「すべてのサラリーマンの心に火をつける手法と機会を提供する」ことをミッションに掲げ事業展開してきた同社が、なぜ創業1年半でこの決断に至ったのか、アルファドライブの創業ストーリーと共に同社代表の麻生要一が語る。


リクルートの新規事業開発室長から起業家へ

――麻生さんはリクルートで順風満帆なキャリアを歩んできたように見えます。そもそもなぜ起業しようと思ったのですか。

麻生要一(以下、麻生)
リクルートでは新規事業を提案し、それを子会社化して社長を務めるという、いわゆる社内起業家のキャリアを歩んできました。上場後はリクルートホールディングス全体の新規事業開発を統括し、さまざまな社会課題に対する新規事業の立ち上げに携わってきました。

3年間で約1,500件の新規事業案の創出を手がけましたが、僕はいまだにリクルートの新規事業開発室長が日本最高の仕事だと思っています。AI、ロボティクス、IoTのような新規事業から、地方創生の新規事業まで、やってはいけない「聖域」のような領域はほとんどありません。解きたい社会課題に対して、新規事業をやりたいように、やりたいだけやらせてもらえる環境でしたから。

――そんな最高の環境にいて、なぜ起業しようと思ったのですか。

麻生
さまざまな新規事業を立ち上げるうちに、徐々にリクルートの看板や枠組みによって制限されていると感じるようになったんです。
やってはいけない領域はないとはいえ、リクルートの事業領域にある程度関連した領域以外では、新規事業を手がけにくい。不可能とは言いませんが、社内調整がかなり難航しそうなのは予測がつきます。リクルートの事業領域は幅広いほうですが、手がけられる社会課題とそうでない社会課題があるんです。その枠組を全部取り払って、一個人として好きなだけ社会課題、社会変革に向き合ってやってみたいと思うようになったのが理由の1つです。

もう1つの理由は、周囲からの声に後押しされたから。当時、新規事業開発室長として、さまざまな場に呼ばれて講演をする機会がありました。
室長になったばかりの頃は、やはりリクルートの看板が勝っていて、リクルートの人として呼ばれ、リクルートの取り組みについて話していました。でも次第に僕がリクルートでやっていた「Recruit Ventures」という新規事業開発の仕組みに興味を持たれ、うちの会社でもやってほしいとリクエストされることが増えてきたんです。

――具体的にどんな仕組みなんですか?

麻生
サラリーマンの心に火をつけ、起業家に変革させるプログラムです。この仕組みについて、ある著名な方から「今すぐ会社を辞めて、日本のすべての会社に対してやるべきだ」と言われたのが起業の直接のきっかけです。
そのときは「なるほど」くらいにしか思っていませんでしたが、次第にリクルートを辞めて自分でやりたいと思うようになりました。

新規事業開発をコアに、さまざまな事業展開をしていく

――起業した後、どのように事業を立ち上げてきたのですか?

麻生
大企業向けの新規事業開発プログラムをやろうと起業したわけですが、新規事業開発の立ち上げ時には、顧客のところに300回行ってニーズをヒアリングするプロセスが必要です。なので初年度はとにかく会社をつくって顧客のところに行き、最適な形のソリューションを作ろうと考えていました。初年度の8~9月くらいに最初のクライアントとPoC(Proof of Concept/概念実証)をやって、そこでできた型を2年目から拡販していくような事業計画を立てていたんです。

でも会社を登記してすぐに、まさかの大型受注をしてしまったんですよ(笑)。顧客検証のつもりでヒアリングに行っていたら、ある会社の担当者が精力的に話を進めてくださって、社長に直接プレゼンする機会をいただき、その場で受注が決まりました。
創業したてで受注してしまったので、そこから大急ぎでメンバーを集め、同時にオフィスも借りて……とにかく慌ただしかったですが、何とか形として立ち上げました。

――創業期の事業計画は、新規事業開発に関するパッケージを作り、それを企業に導入していく。いわゆるコンサルティングビジネスですよね。

麻生
創業時からゴールイメージは持っていて、それは今もほとんど変わりません。大企業や官公庁などの大きな組織を、創造性を持った組織に変革することを手がけていくつもりです。


新規事業開発がコアになるのは変わりませんが、事業領域としては研修会社やマーケティング会社、開発会社、投資会社など、配下に事業開発に必要となるいろいろな機能をぶら下げたカンパニーになるイメージですね。

ユーザベースグループへの参画を決めた理由

――そうして起業された中で、今回ユーザベースグループへの参画を決めた背景について教えてください。

麻生
もともとアルファドライブのスコープに、いつか、SaaSを開発することが入っていたのが大きいですね。たとえばリンクアンドモチベーションは、モチベーションクラウドを作ったことによって課題解決できる顧客層を広げ、ビジネスも拡大することで時価総額も上げることができました。顧客起点で考え、1社毎に手作りで価値を発揮する部分を共通化してサービス化し、テクノロジーによってレバレッジを効かせる。モチベーションクラウドの事例はものすごく鮮やかな事業開発だったと思います。

僕の新規事業開発の手法も、とにかく顧客起点で課題を手づくりで解決し、それをソリューション化していくという順番で組み立てることが多い。アルファドライブは、SaaS化する以前に目の前のクライアントにきちんと向き合い、価値を発揮して変革を起こし、事業を生み出せる会社にするフェーズでした。

――ユーザベースグループに入ることで、SaaS化のスピードを上げるのが狙いだったのですか?

麻生
あくまで理由の1つですね。
想定より早く事業が立ち上がったので、事業展開のスピードを早める必要が出てきたんですが、ファンドを作ればいいのか、開発会社を持ったらいいのか、マーケティングをやればいいのか……何から手を付けようかなと考えていて。

スピードを加速させていくためにもどこかと提携したほうが良いと考え、1年ほど前から提携先を探していたんです。そのタイミングで、坂本さん(NewsPicks事業の代表取締役社長COO)から買収の話をもらったんです。これは予想もしていませんでした。
ただ、僕が考える事業展開をしていくにあたって、ユーザベースやNewsPicksの力を借りるのが、ビジョンに最も早く到達できると思って最終的に決断しました。

SaaS化に関していうと、いずれはSaaS化したいと思いつつ、CTOもいないしTech部門を持っていなかったので、短期的には難しいと考えていました。いつかやりたいと思いつつ、直近ではないので棚上げしていたんです。でも今回のディールでは、ユーザベースグループがSaaS化を全面支援してくれる形になっているんですよ。


ビジネスSaaSといえばユーザベースだと思っていたので、ユーザベースグループが開発を支援してくれるなら最高だと思いました。アルファドライブが想定以上に垂直に立ち上がったこともあり、大企業の変革ノウハウはだいぶ貯まってきているので、あとはそれをSaaS化するだけです。

――他に参画を決めた理由はありますか?

麻生
もう1つは、もともと僕がNewsPicksの執行役員として担当していた「NewsPicks for Business」との統合です。
NewsPicks for Businessでは、社員を挑戦者に変えるエンゲージメントデザインを展開しています。NewsPicks Enterprise(社内報と社外の経済ニュースを合わせて読めるソリューション)やMOOC(Massive Open Online Course/大規模公開オンライン講義)などのオンラインコンテンツと、イベントなどのオフラインを行ったり来たりしていくことで、社員の顔つきが徐々に変わっていきます。このような根本的な社員の意識変革レイヤーには、アルファドライブでは触れることができません。メディアだからこそできることだと考えているんです。

NewsPicksという経済メディアを法人向けソリューションとして展開していくプロダクトは、アルファドライブ単体では絶対に持てない強力なアセットです。


ビジネスパーソンの心に火をつけよう

――最後に、今後のビジョンと一緒に働きたいメンバー像についてお聞かせください。

麻生
僕らが誰のために仕事をしているか。それは大企業で働く1人ひとりのビジネスパーソンのためです。
3年前の成功体験が通じない時代において、過去の成功体験を引きずり、10年前の先輩と同じようにやれと言われる。当然成果が上がらないまま、年だけ取っていく。会社の愚痴を言うだけで新しいことをせず、日に日に目が死んでいく――そんなことはもう止めてほしい。もっと目をキラキラ輝かせながら働いてほしいし、新しいことを生み出してほしい。過去ではなく未来に生きる国をつくりたい。そのための仕事がしたい。

アルファドライブは、新規事業開発プログラムを通して、ビジネスパーソン1人ひとりの心に火をつけて意識を変えることをやっていますが、いくらプログラムを整備しても全社員に効くわけではありません。やはり既存事業を背負っている人もいるし、どれだけハードルを下げても、あくまで新規事業ですから。既存事業やビジネスパーソンの日々の生活から、シームレスに新規事業やイノベーションをつないで意識変革していかなければ、本当の意味で全員を変えるのは難しい。その文脈で、NewsPicks for Businessは威力を発揮します。

NewsPicksは単なるSNSではなく、クオリティの高い経済メディアでもあります。それが社内向けのインナーメディアになったのが、NewsPicks for Business。これを使って社内の空気感を変えて、社員の意識を高めていく。
ここに、アルファドライブがやっている新規事業開発やイノベーションを今後つないでいきます。これを実現できたら、計り知れない変革が生まれるはず。僕たちは、そういうことをやっていきたい。

――一緒に働くとしたら、どんな人がイメージですか?

麻生
新規事業開発の経験は問いません。アルファドライブのコンサルタントは未経験だと難しいですが、今回NewsPicks for Businessと統合し、イベントの運営やコンテンツ制作、プロデュースなどさまざまな仕事がありますから。
また、スキルや経験ももちろんですが、僕たちが目指している方向性やカルチャーに共感してくれる方に、ぜひ仲間になってほしいですね。

ユーザベースグループに参画しようと思った理由の1つに、アルファドライブとカルチャーが似ていることもあります。ユーザベースの「7つのルール」と、アルファドライブの「5 VALUES」はほとんど同じことを言っているので、統合しても違和感がありません。

統合する事業部門であるNewsPicks for Businessは、7つのルールに加え独自に2つのバリューを設定しています。これもアルファドライブの考えていることに近いんです。


麻生
今回、ユーザベースグループに入ることで、アルファドライブとNewsPicks for Businessのビジネスがこれからますます加速していきます。「すべてのサラリーマンの心に火をつける手法と機会を提供する」という僕たちのミッションとカルチャーに共感してくれる人は、ぜひ話に来てほしいと思いますね。

(構成:筒井智子 編集・写真:山田聖裕 デザイン:村木淳之介)

株式会社アルファドライブでは一緒に働く仲間を募集しています
4 いいね!
4 いいね!

同じタグの記事

今週のランキング

株式会社アルファドライブからお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?