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教えて吉田先生!これからの健康経営を考える!7.エンゲージメントって何?

全20回シリーズでお伝えしています「教えて吉田先生!これからの健康経営を考える」。前回は「アブセンティーズムとプレゼンティーズムって何?」でした。第7回は「エンゲージメントって何?」をお送りします。

インタビューは2020年4月6日に都内にて行われました。

―――エンゲージメントとはどのようなものでしょうか?

もともとは、婚約・契約・債務といった意味ですが、ビジネス用語としてはマーケティングならびにHR・組織開発の分野で用いられます。マーケティング領域では、顧客が企業やブランド・商品・サービスなどについて抱く愛着や親近感を指し、人事領域では、組織に対する従業員の愛着心や会社組織と従業員の間の絆、と言った意味になります。

心理学や経営学の分野では、時代と共に主流となる考え方は、職務満足・従業員満足・モチベーション・エンゲージメントなどなど変遷してきたようですが、労働を介した組織と個人の関係性においては、私も現在のエンゲージメント理論が最もしっくりくる、との印象を持っています。

弊社も含め、多くの現代の会社組織は、創業理念を旗印として掲げ、組織として生き残りつつ、いかに理念を実現していくか、を追い求めているわけです。また働く個人にとって会社組織とは、人生の少なからぬ時間を捧げる経済的基盤あるいは自らの社会参加の舞台となりますので、当然そこには経済的のみならず心理的満足が求められます。したがって、エンゲージメントとは言い得て妙で、労使がお互いに抱く親近感や愛着、果ては婚約といった意味を内包するのも頷けますね。

―――なぜ最近エンゲージメントが注目されているのでしょうか?

情報化社会の急速な進展に伴い、現代の会社組織と従業員の関係、つまり法人と個人の関係性は、エンゲージメントまで深掘りをしないと、揺るぎかねない時代になってきたのだろうと思います。「法人」も「個人」も法律上は人格を持ちますが、すでに物質的にはある程度満たされている現代社会においては、社会参加の舞台としての職場に、「法人」と「個人」間の感情的・心理的な紐帯が求められている、ということでしょう。エンゲージメントの語源は「誓いの中に入れる」という意味のようですが、個人にとって「入社」の意味合いも、以前とは異なってきているのでしょうね。

精神科医として世の中を見ていると、社会参加の意味や会社組織に所属して価値を生み出すことの意義は何だろう、と模索している人が多くなってきたように感じます。特定の組織に所属し、自分の人生の大切な時間を会社に捧げ、対価を受け取る意義とは何か、ということを、おそらくひと世代前に比べると、ずっと真剣に考えるようになった。

そのような背景から、労使ともに相手に求めるコミットメントや、ベクトルがどれほど合っていてどれくらい互いに貢献してもらえそうか、を意識することが、重要になってきていると思います。エンゲージメントが、労働安全衛生法で義務づけられているストレスチェックにおいて、次の標準質問セットとの呼び声高い80問版では測定できるようになるのも、時代の必然と感じています。

(聞き手:株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介)

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