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【元日本代表FW岡崎慎司 × スポエン代表・中川 特別対談(前編)】“監督としての挑戦”と“欧州の環境”から見える日本スポーツ界の可能性

日本のスポーツ業界が求めるのは“開拓者”――海外で活躍した日本代表FW・岡崎慎司選手は、ドイツ6部リーグの『バサラマインツ』や国内の『バサラ兵庫』を運営しながら、新たな仕組み作りに挑んでいます。一方、スポエン代表の中川は、ビジネス面でスポーツ選手のキャリアを支え、新しい選択肢を提供する取り組みを推進。

本特別対談の前編では、岡崎選手が監督として直面したリアルや、欧州(ドイツ)サッカーの環境と若手育成の課題などを中心にお届けします。海外と日本のスポーツ環境をどう捉え、どんな新しい挑戦を進めているのか――ぜひご覧ください。


岡崎 慎司

清水エスパルスでプロデビュー後、VfBシュトゥットガルトや1.FSVマインツ05などドイツ・ブンデスリーガで活躍。2015年にイングランド・プレミアリーグのレスター・シティへ移籍し、奇跡のリーグ優勝に貢献した。日本代表としては100試合以上に出場し、歴代3位となる50得点を記録。現在はドイツ6部リーグの「バサラマインツ」と国内の「バサラ兵庫」を運営し、選手育成からクラブ経営まで多角的に携わりながら、サッカーの新たな可能性を追求している。

中川 喜正

大手コールセンターの新事業立ち上げに関わり29歳で役員に。東証上場直前に独立し、スポーツビジネスを盛り上げることをミッションに掲げるSports Entertainment株式会社を設立。現在はダイレクトマーケティング事業を軸に、「スポーツビジネスをブーストさせ持続可能な社会を実現する。」というミッションを掲げ、多角的な取り組みを推進している。

テーマ1:ゼロから始めた“監督業”とクラブ運営のリアル

中川:岡崎さん、本日はドイツから帰国されている貴重なお時間を頂きありがとうございます。バサラマインツを立ち上げて半年ほどですが、リーグ7位という好位置ですね。最初は監督も運営も“未知の世界”と伺っていましたが、ここまでの手応えはいかがでしょうか?

岡崎:いえいえ、こちらこそありがとうございます。半年やってみて思うのは、本当に“やってみないとわからない”ことばかりだということですね。僕自身、現役でプレーしながら同時に監督を務めるっていうのが初めてだったので、最初はどう動いていいかすら手探り状態でした。クラブ運営自体もゼロから始めましたし、監督としての視点もまったく違う。最初の頃は“考えを持つ”以前に、何を考えたらいいのかすら分からなかったですね。

中川:現役時代、数々の監督の元でプレーしてきた岡崎さんにとっては、自分が“指揮を執る”立場になるのはなかなか刺激的ですよね。

岡崎:そうですね。“監督の気持ちってこういうものなのか”って、改めて実感することが多いです。たとえば選手としては「自分のほうが監督の要求をしっかり満たしてるのになぜ起用されないんだ?」って思う瞬間がありますよね。でも実際に監督の立場になってみると、たとえばドイツ人選手は言うことを聞かない部分や文句が多い反面、迫力や自己主張が強く、チームに刺激を与えてくれることがある。一方で日本人選手は真面目で、ベンチでも大人しくて扱いやすいぶん、存在感という点では少し弱いかもしれない。

それで“影響力”や“チーム全体のモチベーション”を考慮したときに、あえてドイツ人選手を使うことがあるんですよ。もちろん、そういう使い方をすると真面目にやってきた日本人選手からすると「なんでアイツなんだ?」ってなるし、不満も出てきます。そこでコミュニケーションをしっかり取らないと、チームが崩れてしまう。選手時代には「なんで監督はあの選手を使うんだ?」と思っていましたが、実際に監督になると“ベンチも含めて全員が納得する理屈”を示す難しさを痛感しますね。

中川:なるほど。クラブ運営としても、監督としても、始めの数ヶ月はとにかく模索の連続だったわけですね。

岡崎:はい。逆に言うと、後半になってやっと視点が定まってきたというか、“全体を俯瞰して考える”楽しさを感じられるようになったんです。最初は勝ち負けに直結する部分を追うだけで必死でしたが、今はようやくチーム作りの面白さを味わえる。7位という順位も、自分たちの取り組みが間違ってはいなかったと確認できる一つの材料になっています。

テーマ2:欧州(ドイツ)サッカーの環境と若手育成

中川:日本から見ると、ドイツ6部と聞くとあまり馴染みがないかもしれません。でも、映像で拝見すると驚くほど芝生が綺麗ですよね。欧州・ドイツの環境ってそんなに充実しているんでしょうか?

岡崎:そうなんです。ドイツは11部リーグくらいまで市が管理しているグラウンドがあって、必要最低限のコストで借りられる仕組みなんですよ。しかも基本的に芝生が当たり前。土のグラウンドなんてほぼ見ないですね。6部リーグでも人工芝や天然芝をきちんと利用できる環境が整っているので、練習や試合をする上でのストレスが少ない。これは本当に恵まれていると思います。

中川:日本だと、下部リーグや社会人リーグであってもグラウンド確保だけで一苦労です。そういう意味では、ドイツに行った若手選手もサッカーに専念しやすいのかなと思うんですが、一方で短期間で帰国してしまう若者が多いと聞きました。

岡崎:そこが悩ましいところで、やっぱり最初の1年で挫折して“もういいや”って戻ってしまうんですよね。理由はいろいろあると思いますが、言語や生活環境の差に適応できなかったり、クラブの内部事情に馴染めなかったり。僕自身も19歳のときに海外へ行ったら大変だったと思います。だからこそクラブとしては、住環境をサポートしたり、現地のルールを教えたり、こまめにケアする必要があると痛感しています。

中川:なるほど。やはり技術的な面だけじゃなくて、“社会人としての基本”も大切なんですね。

岡崎:そうなんです。借りている家を汚いままにしてオーナーと揉めたり、ゴミ出しの曜日を守らず注意されるなんて例も珍しくない。そういう小さなトラブルで心が折れてしまい、“サッカーとは関係ない部分”でモチベーションを失うんです。でも、海外でやっていきたいなら“周りの人々との関係”をきちんと築かなきゃいけない。そこをサポートしながら“自分がなぜここにいるか”を選手自身が強く認識できれば、1年やそこらで諦めずに続けて成長できるはずなんですよね。

監督業をゼロからスタートした苦労や、欧州のサッカー環境の魅力が浮き彫りになった今回の前編。続く後編では、働きながら競技を続ける新たな選手支援の仕組みや、日本のスポーツ業界が抱える課題、さらにはビジネス面での挑戦についても、岡崎選手と中川氏の視点から深掘りしていきます。ぜひ後編もあわせてご覧ください!

▼後編はこちらから!

【元日本代表FW岡崎慎司 × スポエン代表・中川 特別対談(後編)】"サッカーと仕事"の新モデルと"開拓者マインド"が切り開く未来 | SportsEntertainment株式会社
前編では、岡崎慎司選手が監督業を始めた頃の苦労や、ドイツ下部リーグの充実した環境から見える若手育成のリアルについて語っていただきました。後編では、"サッカーと仕事"の両立を支えるバサラ兵庫×スポ...
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