「当社の研究領域は、課題が言語化すらされていない事が多い。課題定義は最も頭を悩ます一方、繋がった時の快感は凄まじい」研究員田中
CEO羽生やCTO川島とはインテグリカルチャー創業前からの仲。様々な協力者に支えられ会社の土台が構築された
CEO羽生とCTO川島とは創業以前からの付き合いでした。当時理系学部2年生であった私は、ある学会で川島と知り合って、彼が主催していた勉強会に参加したんです。
そこで羽生や現研究メンバーの福本とも知り合いました。二人の印象は、羽生は純粋にSFオタク、川島と福本はガチガチのバイオ研究者という印象でした。
今もその印象は全く変わりませんがw
その勉強会の場で羽生が「培養肉作って宇宙で暮らしたい」というネタを投げたのが全ての始まりです。
川島には幼少期から細胞で食料など様々なものを作る夢があり、二人の思いがタイミングよく共鳴した感じでした。
それからというもの、勉強会は「培養肉の技術的課題や実現性を議論する機会」に変わっていきました。
時期を同じくして、羽生筆頭に市民主導の細胞農業推進団体 Shojinmeat Project が始動し、私も参加しながら勉強を始めることに。
大学院では、培養肉に最も近い分野ということで再生医療を意識した組織工学ラボを選択しました。(当時の研究テーマは繊維材料を使った骨格筋組織の作製)
その後、羽生と川島の考えもあり、培養肉の開発を本格的にバイオベンチャーとして推進することになり、状況が次々と変わっていくのを目にしました。その時から私も研究以外の場で仕事を共にするようになったのです。
会社が始まった当初は人・モノ・金の全てが無く、とりあえず株式会社リバネスさんのラボを間借りしたり、私と羽生で科学向けCG制作事業をやって小銭を拾い集めたりをしていました。(今では楽しい思い出ですw)
資源が非常に少ない状況でしたが、そんな中でも川島や福本、金山が基礎開発を続け、今のインテグリカルチャーの技術の基礎を構築していきました。
運が良いことに、僕らは様々な外部の理解者に支えられ、会社としての土台が構築されていきました。
やがて大学院2年生になり残り1年で卒業という時期になると、就活をどうしようかと悩みました。。。
周囲の人間は名だたる大企業への面接を受けまくる中、インテグリカルチャーへの入社を希望するか否かは真剣に悩みました。
ですが、これから成長していくであろう会社への未練もあり、最終的には入社を決心して現在に至ります。
今となっては一番正しい選択だったと信じています!
「開発における課題」は難しさと面白みが表裏一体
研究開発メンバーとしての業務は、動物細胞の新規培養手法の探索が主です。
具体的にはインテグリカルチャー独自の培養系であるCulNet Sytemの機能の向上にフォーカスしています。
少しずつ知見が溜まるにつれ、外部の企業様からの依頼や相談も増えており少しずつCulNet System が認知され、実装へ歩み始めているのだと実感しています。
「開発における課題」は難しさと面白みが表裏一体という実感です。具体的には2つあります。
1つ目は、CulNet Systemが含む研究開発要素が膨大であることです。これは単に培養肉を創るのではなく、コストや利便性など社会実装しなければならないという軸があるためです。これは自分にとって大学院時代とは全く異なる視点でした。
ですが良い見方をすれば、CulNet System は未開拓な研究領域を生み出し続けるプラットフォームという意味でもあります。その中で優先度の高い技術を選択しつつ前に進んでいかなければならないので、よく考え方に迷ってメンバーと相談して進めたりします。
2つ目は、検討していて見つかる現象や事態に対して、それをどのように課題として言語化するかに苦労します。
というのも、インテグリカルチャーが進める研究はあまりにも未開拓な領域であるため、課題が言語化すらされていない事が非常に多いんです。「一体これは何が問題なんだろう?」とか「これを包括的に解決する技術要素って何なんだ?」という具合です。
良い例として、CTO川島は頻繁に自分なりの造語でその都度、技術内容を定義しており、「CulNet」も彼が定義した技術概念です。
この課題定義は日々の業務の中で最も頭を悩ます要因でもあるのですが、少しでも頭の中で繋がった時の快感は凄まじいものです。
といっても。自分はまだ何も実現できていないという認識なので、今後継続して磨いていこうと思ってます。
プライベートは、多様な趣味に没頭
まず読書ですね。昔から様々なことに興味を持つ性格なので、1つのジャンルに固執することは無いです。
最近読んだ本では、自由律俳句、幕末武士の絵日記本、人気イラストレーターが世界の名画を模写した画集、コミックマーケットの同人誌が面白かったです。いずれも時代に囚われない人間性にクローズアップした作品で惹かれる部分があります。
次が音楽鑑賞です。家族の影響もあり、昔からロック、ジャズ、ポップ、ヒップホップ、ファンク、テクノなどジャンル問わず触れてます。Youtubeを見ていてもカッコ良いバンドが次々に見つかるので飽きることは無いですね。
一方で、一番好きなのは1世代昔の音楽だったりします。特にSteely Danやニューウェーブ音楽のP-MODELが好きなんですが、時代に関係なく普遍的にカッコいい音楽はカッコいいと思ってます。見聞を広めたいが為にライブハウスに行ったりもします。
後はファッションで、よく買い物にも行きます。ブランド物が欲しいものではなく、今の身の丈や「こうありたい」状態に合った服を探しているのが好きです。
大学院で再生医療用途の繊維材料の研究していたバックグラウンドもあり、今では服の素材にも興味を持ち始めました。 総じて自分が触れたことの無いカルチャーに触れるのが喜びなんだと思います。
バカげた夢を共有し、良い意味で世間を裏切ることをしていける仲間と仕事がしたい
純粋に生物的な探求を重ねていくことは面白いですね。
一方で、私個人はバイオ研究が誰も予想も期待もしなかった分野で社会実装されていくことに興味があります。ファッションや音楽がその最たるものと考えます。今の常識では最もバイオから遠い領域ですよね。
そういった意外性を表現し、良い意味で世間を裏切るのが長期的なインテグリカルチャーらしさだと思ってます。
20年以上かかるとしても、そんな細胞培養の新しい価値を示せる人間になるのが私の夢です。
良い意味でバカげた夢を共有できるメンバーが会社に増えることを願ってます。
どこかでお会いしたら皆さんの興味話を聞かせて下さい。
【お知らせ】研究職(オープンポジション)を募集しています!ぜひご応募ください。