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なにをやっているのか

一般社団法人日本建設業連合会が2018年に発表した「再生と進化に向けて〜建設業の長期ビジョン〜」では、2025年には建設業界での必要労働者数に対して労働者数が約130万人不足する需給ギャップが発生すると予測しています。また、前述の理由による労働力の減少に加えて、昨今の働き方改革による日々の就業時間の制限や休日数の拡充など、人手による生産が主な生産方法である現状では直接的な生産量低下の問題にも対応する必要があります。 私が開発したトモロボとは、建設現場の生産性向上と作業者の負担軽減を目的とした、人とともに働き、土間・スラブなどの単純な結束作業から職人を解放し、より高度な作業への注力を可能にする「職人力発揮ツール」として現場を支える自走型協働ロボットです。

なぜやるのか

私は33歳まで現場で鉄筋を組んでいました。夏季の炎天下の中で意識がもうろうとなりながら、また冬季は悴む手をこすりながら必死で鉄筋工事と向き合ってまいりましたが、何よりつらかったのは先の見えない単純な大量作業の繰り返しでした。 現状の建設工事業界では、高度な技術を必要とする作業と単純な作業を同じ職人がこなしており、鉄筋工事では1kg×〇円・型枠工事で言えば1㎡×〇円と、すべての作業が均一化されて単純な量として評価されています。それが、建設現場の仕事が高度な知識と技術を必要とする仕事なのに金銭的また社会的に評価が低い理由であります。職人たちがより高度な技術が必要な作業へ注力し、“職人力”を発揮できる環境を整え、その仕事が正当な評価を得ることが出来るようにすること、そして辛い単純作業の反復から解放したい。 そんな思いで、協働型鉄筋結束ロボット「トモロボ」を開発する決意をしました。

どうやっているのか

トモロボを現場作業ごとにシリーズ化し、少数の熟練工が、単純作業を担うロボットを使いこなすことで大幅な生産性向上を実現できます。それによって、市場は安定的で安価に高品質の供給を受け、供給者は生産コストの減少と生産量の増加を達成し、職人の汗一粒の価値を高めることで報酬・拘束時間・労働環境の改善という、三方よしの産業革命が実現するのです。 しかしその実現には、ロボットなどの開発だけでなく、生産性を高めるための“ロボ協働作業基本モデル”、安全に運用するための“現場運用での安全管理基準”“世界標準を念頭とした現場作業ロボットの製造・運用基準”の策定をはじめ、運用オペレータの育成など、一過性の流行ではなく真の生産革命を成すための基盤整備を行う事が重要です。