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デザインの力で、”No Choice”と言ったフィリピン人の人生を変えたいと思った。モンスター・アカデミア校長 神子インタビュー

「モンラボ解剖シリーズ」が本記事から始まります!第一段では、モンスター・ラボ セブ拠点リードデザイナー、モンスター・アカデミアCOOの神子愛香さんにインタビューしました。

神子さんは現在、モンスター・ラボ セブ拠点のリードデザイナー、アートディレクターとして従事しています。2019年2月に開校した、セブ島初のデザインスキルと英語を学べる学校、Monstar Academia(モンスター・アカデミア)のCOO・校長としても活躍しています。



自分の人生の転機となったセブ島で、デザインの力で誰かの人生を変えたい。

ー神子さんが現在、どんなお仕事をされているか教えていただけますか?

はい。主に2つあります。

1つ目はモンスター・ラボ セブ拠点のチームリードデザイナーとしての役割です。フィリピン人デザイナーと日本人メンバーのチームマネージャーとして働いています。具体的な業務としてはデザイナー育成、クライアント様の課題ヒアリング、デザインプロセス全般の提案などです。

2つ目はモンスター・アカデミアのCOO兼校長としての役割です。モンスター・アカデミアでは主にブランディングの統括、運営管理、カリキュラム構築などを行っています。


ーこれまでのご経歴を教えていただけますか?

高校ではインテリアデザインを学習しており、座学というよりは「ひたすらモノをつくる」という感じでした。大学進学後はインタラクティブアートについて学んでいたのですが、大学時はあまりちゃんと就職活動をしていなくて(笑)、卒業後はICC(NTTインターコミュニケーション・センター)という美術館でアルバイトをしていました。「小さい制作会社でデザイナーとして働きたい」という想いがあって、SNSやデザイン本に掲載されている好きなデザインを手掛けたデザイナーさんの名前を調べて、その方の所属している会社に応募をしてみたりして。応募した会社の1つに、インターンのアシスタントデザイナーとして入社しました。人数が4名くらいの本当に小さな制作会社で、昼夜を問わずめちゃめちゃ働いていましたね。


ーなるほど。どうして”憧れ”のデザイン会社から、セブ島へ?

前の会社には4年くらい勤めていたのですが、働いているうちに、「デザイナーとしての成長のイメージ」にふと想像がついてしまったんです。もっと環境を変えて、違うキャリアの選択肢も知りたいなと思うようになりました。

もともと、別のデザイン事務所に転職をするつもりだったんですが、準備をしていてふと、「転職しても、今と生活が大きく変わらないかも」と思ったんです。であれば、想像がつかない生活をしてみたいなと思って、セブ島へ語学留学することにしました。

底抜けに明るいフィリピン人に、「お金がないから自分たちは”No Choice”だ」と言われた衝撃。

ー語学留学がセブ島に来るきっかけだったんですね。

そうなんです。3ヶ月の留学を決めて過ごしているなかで、フィリピン人の友人ができて、彼らの屈託の無さや素直さ、心の豊かさにとても惹かれていきました。

一方で、彼らは「お金がなくて、自分たちはNo Choiceだ」と言うんですね。こんなにも明るいのに、排他的で諦め癖を持っているのが衝撃的で、なんとも哀しいなと思ったんです。

そうやってずっと考えているうちに、私がデザインスキルを教えることで、彼らが自分自身で考えることができ、自分でものを作り出せるような選択肢を与えられるのかもしれない。そしてそれは、誰かの人生に大きなきっかけを与えて、人生を変えるような手伝いができるのかもしれないと考えるようになって、東南アジアで働きたいと思うようになりました。


ーどうしてそこからモンスター・ラボ セブ拠点に入社することになったんでしょうか?

セブ島も含めて、東南アジアでどんな会社があるのか探しているときに、知り合いから山口(モンスター・ラボ セブ拠点代表)を紹介されて、帰国日当日に少しだけお話したんです。その時は、山口は”開発会社”の代表で、私は東南アジアで”デザイン”にまつわる仕事をしたいと思っていたので、その日はお互いにあまりピンと来ず、そのまま解散しました。

1ヶ月後に私がまたセブ島へ行くことになったのですが、そのときに山口からデザイナーとして働かないかとオファーがありました。もともとモンスター・ラボ セブ拠点は海外受託開発をメインにしている会社なのですが、そのときの山口の構想では、セブ島のモンスター・ラボ セブ拠点はデザインに強い海外開発会社にしていきたいと考えているとのことでした。

確かに東南アジアで、デザインに強い海外開発拠点はあまり聞いたことがないし、成功事例もすぐには挙げられないくらいにまだこれからで、自分のやりたい「フィリピン人にデザインのスキル教育」を通して、社会的な価値を与えられるとも思ったんです。

他の東南アジア諸国でも就職先を検討していてすぐにはYesと言えなかったんですが、改めて考えてみると、自分の考えを変えるきっかけになったセブ島という土地で、自分がやりたいと思っている方向にマッチしているなと思って入社を決めました。

モンスター・アカデミアを通じて、「いいデザインとは何か?」を問い続ける

ーモンスター・アカデミア立ち上げの話をお伺いしたいです。

モンスター・ラボで働き始め、セブ拠点のデザイナー育成に携わるようになって1年くらい経って、セブ拠点がデザインに強い拠点だと認知されるようになってきました。

山口と話しているときに、「セブ島留学には色んな留学の形がある」という話になって。語学留学だけではなくてIT留学もあるし、その中でデザイン留学があってもいいよね、という話がふと出てきたんです。”デザインスキルを伝える”ことがセブ島で働くきっかけになったという背景もあって、考えているうちにどんどんやりたくなってきたんです。

そんな話をモンスター・ラボ本社の方々にもしてみると、とても協力的で、「今を逃したらいけないな」と直感的に思ったんです。波がぐっと来た、という感じ。そこから一気に加速をつけて、モンスター・アカデミアという学校が創られました。


ー神子さんが”やりたいこと”がまさに叶えられそうという感じだったんですね。立ち上げにあたって、苦労された点はありますか?

いやー、いっぱいあります。今もあるんだけど…(笑)。

まず、モンスター・アカデミアはデザインツールの使い方を教えるような学校ではないんですね。社会課題のなかでも、それこそ顕在化していない問題などについて、向き合う相手をワクワクさせる力、つまりデザインの価値を理解してもらいたくて。初めてデザインにふれる人や、デザインとは何たるかを知らない人にどのように「デザインの可能性」を理解してもらうかを考えることがとても大変でしたね。これまで私が行ってきた、”デザイナーを育成する”のとはちょっと違うというか。そこを全力で考え抜くところがまずとても大変でしたし、だからこそ他の学校にはない独自のカリキュラムになっています。



ー実際にモンスター・アカデミアを運営してみて、楽しさや面白さをどこに感じますか?

留学って、時間もお金もかかるんですよね。自分が語学留学していたからよくわかりますが、人生がストップするタイミングだとも思っています。そこまでして、海外にまで来て「デザインを学びたい」と思ってくれる人がこんなにいるんだな、ということにまず感動しています。

私たちは授業の中で「いいデザインとはなにか?」という問いをたくさん投げかけます。”いいデザイン”は、見ず知らずの出会ったことがない誰かの人生を、ひいては社会を変えてしまうほどの力を持っています。モンスター・アカデミアでは、そういう本質的な問いや考えを自ら誘発できるよう、社会とデザインをどう結びつけていくかまで学びます。そうやって抽象度の高い課題を自分ごと化し、自分で解決し、提案し、表現する力を学んでいくんですね。

だからこそ留学してくれた生徒さんたちは全員、「デザインを勉強して終わり」ではなく、デザイン留学を通してキャリアや人生を変えてくれています。転職してデザイナーとして働いてくれている生徒さんもいて、さらにその中でも会社のキーパーソンとして任される領域も広く活躍してくれている人もいます。そんな姿をみていると、単純にデザインを学んでくれただけではなく、モンスター・アカデミアの学習を通して、デザインの価値を腹落ちして昇華・発信してくれているおかげではないかと嬉しくなりますね。

デザインは社会を変えることができる。それをもっと、世界に伝えていきたい。

ー実際に、デザインは社会にどう作用していると考えていますか?

モンスター・アカデミアのコンセプトは「デザインとはコミュニケーションの手段である」というものです。コミュニケーションの手段としては、英語もあるし、プログラミングだってそうかもしれない。デザインとは、相手にわかりやすく伝えるという「相手を思いやる気持ち」が見知らぬ誰かを動かし、そして社会を動かしていくと思っています。

今、社会にある問題へのアプローチとして、視点の切り替えや既知の再定義を行い、それをデザインの力によって魅力的に魅せる・伝えていくということが求められていると思います。これは、デザイナーになりたい人だけではなく、エンジニアも、セールスも、誰しもが必要だと感じています。ファクトが変わらないものを、どのように伝えていくかを考え抜いた先に社会がよくなる未来があると感じます。そうやって、デザインの力が社会を変えていくと信じています。


ーこれからの展望を教えてください。

IT化が進み、コミュニケーション手段や手に入れられるもの、学べることは増えているなと感じます。だからこそ、これからは「ひとつの正解を押しつける」ではなく、「たくさんの正解の可能性を伝えていく」という力が必要ではないでしょうか。

現在セブ島ではオンラインで日本人をメインにモンスター・アカデミアの授業提供を行っていますが、色んな国の人を受け入れたいなと思っています。それぞれの国には異なる文化特性があるので、それぞれの国でプラットフォームのようになれるといいな、と。

加えて、モンスター・アカデミアの卒業生が得たスキルをもっと社会にシェアできるような仕組みを作っていきたいなと思っています。企業に斡旋するだけでなく、そのスキルを集めて、何かを変えていく・提案していく、といったようなことができるといいなと構想を練っています。


ー最後に、どんな人にモンスター・アカデミアの講師としてお越しいただきたいですか?

まずはデザインが好きな人。それから、デザインの可能性に対してワクワクすることができる人。人と関わるのが好きで、デザインを軸に人生を変える手助けをしたいというマインドを持ってくれていると嬉しいですね。

モンスター・アカデミアはまだ新しくできた学校なので、まだまだ色んなことができると考えています。デザイン教育を起点に色んなことを仕掛けていきたいので、そんなことを一緒に思ってくれる人と一緒に働きたいです!



神子さん、ありがとうございました!

モンスター・アカデミアでは、デザイン講師を募集しています!少しでも興味をお持ちの方、神子さんと話ができるチャンス。ぜひご応募ください。

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