【ドラマ25】サ道2021|出演:原田泰造 三宅弘城 磯村勇斗|テレビ東京
テレビ東京 ドラマ25「サ道2021」オフィシャルサイト。十人十色のヒューマンドラマを、3人のサウナ談義ともに描いていく。
https://www.tv-tokyo.co.jp/sa_una37_2021/
※こちらの記事はセガ エックスディー公式noteより転載しています。
サウナをテーマにしたテレビ・雑誌・ドラマまで誕生するほど、サウナブームが到来しています。皆さんの身近な友人や同僚も突然サウナにハマった方がいるのではないでしょうか?
この記事ではサウナ愛好家(サウナー)であり、セガ エックスディーで事業開発を担当している矢口が、サウナブームはなぜ起こったのか。そして、なぜ人はサウナに熱狂するのかをエンタテインメントの視点から2回の記事で考察したいと思います。
1回目ではサウナは決して突然現れた現象ではなく、以前から多くの人に愛されてきたはずのものであるにも関わらず、なぜここ最近話題になっているのか。この真相について、行動経済学を用いて“サウナブーム”の構造を解説したいと思います。
本題に入る前にまずはサウナの基本ルーティーンをご紹介します。
サウナの基本は、サウナ室で汗をかく→水風呂で体を冷やす→外気浴などをして休憩する−というサイクルにあります。
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温冷交代浴によって自律神経が刺激され、休憩中は感覚が研ぎ澄まされます。そんな時に感じる心地よい浮遊感をサウナーの間では「ととのう」と表現します。
「ととのう」状態について、医師の加藤容崇氏は著書でこのように解説しています。
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「ととのい」とは、血中には、興奮状態の時に出るアドレナリンが残っているのに、自律神経はリラックス状態の副交換神経優位になっている稀有な状態。
『医者が教えるサウナの教科書』加藤容崇 著
またマンガ「サ道」生みの親のタナカカツキ氏もこう話します。
全身にじんわりとした心地よさが広がり、えもいえぬ極上の感覚が訪れます。いわば“サウナトランス”ともいうべき恍惚状態。この究極に心身が満たされた状態をサウナーたちは“ととのう”と表現しています。
本題に入りたいと思います。
一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所の調査によると、月に1回以上サウナを利用する人は国内に推計約1000万人。ここ数年では、若い世代や女性のサウナーも多くみられるようになりました。
Googleトレンドで「サウナ」の検索推移を調べました。
すると、2019年8月から急激に検索されていることがわかります。
Googleトレンド検索「サウナ」調査期間: 2017年1月15日~2022年1月15日
同時期に起きたことを調べました。
・2019年9月~11月:マンガ「サ道」のドラマ版がテレビ東京で放送。
・2019年末「ドラマ サ道」の年末SPが放送。
・翌年1月BS朝日のサウナ番組放送、WOWOW初のサウナ番組が放送。
・池袋に都内最大級のサウナ施設「かるまる」がオープン。
ブームの起爆剤となったのは、2018年9月にテレビ東京がサウナをテーマにしたドラマを投下したことだと言えそうです。
行動経済学における「バンドワゴン効果」も深く関わっていると考えます。
「バンドワゴン効果」とは、多くの人が支持している物事は「良いものであるはず」と認識されやすく、さらに支持を集めやすくなるという心理効果のこと。 いわゆる「勝ち馬に乗る」という現象で、例えば選挙の際、新聞やテレビで優勢と報じられた候補者や政党に票が集まるのはこのためです。
「バンドワゴン効果」を起こすためには順番があります。
サウナ=オジサンの我慢大会というイメージが一般的だったころから、足繁く通っていた人たちがいます。
はじめは「何がいいんだろう...」と思いながらも気に留めておき、時間とお金を費やすことで無駄とも思える努力を続けていると、いつのまにか好きになってしまう。そうなると、自分だけが気づいた流行(マイブーム)が生まれて、自分が第一のファンになります。
マイブームができたら、それを人に伝えたくなります。ですが、まだ世の中にないものなので、そのまま話しても誰も共感はしてくれません。そこで大事なのがネーミングによるラベリングづけを行うことです。
「濡れ頭巾ちゃん」さんは、2011年からアメブロでコツコツとブログを上げ続けました。そこで生まれたのが「ととのう」というネーミング。
今までになかった、サウナ後の独特の感覚に名前をつけることで、これまで存在していなかった新しいカテゴリーが成立するようになりました。
そして2016年1月、エッセイマンガ「サ道」が登場します。「サ道」では「ととのう」というネーミングを使って、「ととのったぁ~!!」と幻覚的な表現でビジュアライズ。「なんかヤバい体験ができるらしい」と口コミが広がります。
ここまでの流れを整理すると図のようになります。
注目すべきは「フォロワー」(画像の真ん中の人)の存在です。フォロワーによってマンガ「サ道」発売から2年後の2018年、日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」がオープン。徐々にサウナのインフラが整ってきました。
このフェーズでは、元々は一部の人だけの解釈だったものが、誰かの手によって勝手に広まっていきます。
著名なビジネスインフルエンサーも「サウナーは仕事がデキる人が多い」とビジネスを関連付けて発信。「サウナ=イケてる」という一部の勝手な解釈が、若者の間で広がってることも重要なポイントでしょう。
つまりサウナブームは誰かが意図的に流行らせたものではなく「バンドワゴン効果」により、リーダーの熱狂が小さな火種となりやがて大きくなることで現象化したのです。
私がサウナにハマったのは、2017年1月。
ちょうど、会社を転職する時期で1ヶ月間の有給休暇期間でした。もともと、銭湯が好きだったので近所の銭湯に通っていたのですが、少し物足りない。
そこでAmazonでなんとなく本を調べていたときに出会ったのが、マンガ「サ道」でした。「サ道」を初めて読んだ時に、今までサウナは暑苦しい・水風呂が冷たくて拷問・オジサンが密集しているなんだかシンドそうな場所、というイメージ。それが少し変わり挑戦してみたくなったのです。
初めて訪れたサウナ施設は横浜の「スカイスパYOKOHAMA」。
サウナ室はミントの良い香りが充満してなんとも心地よい。いい気持ちでいたところ、突然始まったのがアウフグースと呼ばれる熱気をタオルで扇いでサウナ室に充満させるパフォーマンスでした。
初めてのサウナ体験でアウフグースの洗礼を受けた私は、終わるやいなや水風呂にドボン!
水風呂から上がり、イスに腰をかけて休憩を取っていた時に訪れたのです・・・。あの瞬間が・・・。
改めてサウナブームが起きた理由をまとめたいと思います。
①マイブームとしてサウナに熱狂する人がいた
②そのうちの1人だった濡れ頭巾ちゃんさんが「ととのう」というネーミングを開発
③マンガ「サ道」の影響でサウナに目覚めたフォロワーが出現
④フォロワーたちがサウナを布教し始めたり、サウナコミュニティを作る
⑤「サ道」ドラマ版が大ヒット。有名芸能人がサウナ愛好家を自称
③バンドワゴン効果により、サウナが一大ブームとなった
ここから学べることは、事業開発においてもまずは、人の心を突き動かす衝動をサービスデザインにきちんと組み込むこと。そしてはじめから市場全体を狙うのではなく、少数のファンに向けて仕掛けることも戦略の1つ。
まずは1人の熱狂者をつくり育てることで新たな熱狂者が生まれ、ムーブメントが形成されるのです。
次回最終回は、サウナにハマる3つの理由をテーマに、サウナに仕込まれた熱狂エンジンについて考察したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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