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U.S Inc.代表 井澤佑介インタビュー vol.2 ”遊ぶように働く”はどのようにして生まれたか。 未来を描き続ける力の重要性。

U.S Inc.には哲学、フィロソフィーとして掲げている”遊ぶように働く”という考え方がある。2018年に創業し、この哲学を掲げるU.S Inc.の原点を代表取締役の井澤にインタビューし、vol.1ではその意味や、フィロソフィーについてを深掘りした。vol.2の今回は、その考えがどこから生まれたのか、今後の会社についてフォーカスしていく。

経営者をやった方がいい。

僕が新卒で入社した会社は業界でも中堅くらいに位置する、アパレル会社でした。そこでお客様への店舗の見せ方や、どうレイアウトするか、売上がどんな接客で左右されるかということは学びました。最短でSV(スーパーバイザー)にもなったし、評価もされていたんですよね。

でも、一方で「このままどうなるんだろう」ということがぐるぐるよぎったりとか。とにかく決まったこと、決められていることを改善し続ける仕事だったので、それはそれで意味があるとは思いつつ、「もっとこうした方がいい」をルールで縛られすぎていることに嫌気がさしたりしていた。それで、23歳の時に、リクルートに転職をしたんです。リクルートで働いている人と接する機会があったんですが、「すごく楽しそう」に働いている印象があって。いいなと思ったんですよね。単純だけど(笑)

リクルートに転職してからは、求人原稿の制作部隊に配属になり、とにかくひたすら書き続けてました。修行のように何本も何本も取材と原稿制作を繰り返したり、コピーライティングのいろはを身に付けさせられたりと、さまざまだったんですけど、求人原稿の取材となると、経営者と話すことも多かった。

それで、いちディレクターの立場ではあるんですけど、「もっと経営戦略からするなら、こういう人材とった方がいい」とか「採用するならこんなことをやったらどうか」とか色々と、自分の役割からはみ出した提案とかもどんどんしていて。多少、怒られるようなこともあったけど(笑)、伝えた経営者の人には喜んでもらえた。リクルートはそういう勝手さを、許容してくれるような文化があったので、自由にやらせてもらえたんですよね。

僕からすると、経営戦略からフラットに見たら、最短でこれをやるべき、みたいなことを自由にいっているだけだったんですけど、経営者の人たちに気に入られたこともあって「井澤くんは経営者をやった方がいい」と言われた。偉くなることとかそんなことには一切興味なかったんですけど、そうか、経営者になったら自由闊達に自分のやるべきとかあるべきを、追求してもいいのな、みたいなぼんやりとしたイメージを持ったのはこの時期です。

未来から逆算して、自分のやりたいという思いとつなげる。

リクルートでディレクターを一通りやり、シニアクリエイティブディレクターとしてさまざまな企画を立てました。クリエイティブとは何か、という経験を多く詰めたのはもちろんですが、リクルートでもう一つ教え込まれたことが、未来は自分で描いて動かすものだということかもしれません。

例えばわかりやすい話で言えば、僕が在籍していた時に、リクルートは上場して、今まで以上に社会に対しての責任を果たす必要性が出てきたんです。今までも、もちろんソーシャルイシューということについては考えてきた会社だとは思いますが、そうしたトピックや実績がより投資家や世の中の目に晒されることになるんだろう、と予想していました。

当時、リクルートのディレクター部隊は大手の担当をして、いわばコンサルのようにさまざまな会社に提案することがミッションではあったのですが、そうしたリクルートの流れにのっとれば、実は大手企業からきちんと信頼獲得してお金をいただくということから、もう一段踏み込んで、「世の中や社会に対して評価されるような」お題に取り組むミッションがあってもいいんだと思いました。正直、上司には、そんなことは1ミリも言われなかったけど、コミュニケーションのプロであるディレクターやプランナーというスキルをもった人たちがいるんだから、「ソーシャルイシューを解きにいくような企画を自らどんどん提案していくべき」と思って、自分の仕事のミッションを書き換えて、さらに上に提言してミッションを書き換えてました(笑)

そんなところから、優秀にもかかわらず、博士課程というだけで新卒採用から弾かれてしまうという社会構造を変えるために、文科省や大阪大学を巻き込んでポスドク学生の就職支援をスタートしたり、地方自治体を巻き込んで本質的な町おこしを考えるために住民を巻き込んだワークショップを企画したり、そういう活動をスタートして、実際に社内外の賞を取ったりして、評価されてました。

こんな勝手なこと、普通なら怒られるのかもしれません。けど、そうした未来を予測して、自分で描くことをリクルートはよしとしてくれた。むしろ、自分で描く力を評価してくれました。ただ流されて、上から言われたことを淡々とやるだけだと、それは時代に流されているのと一緒なんだ、もっと先を読んで自分でどう動くべきか描き続けないとダメなんだというのは、叩き込まれましたし、そのほうがむしろ、ずっと面白いと思ってました。逆に言えば、描けばやらせてくれるんだから。さっきのソーシャルイシューの話も、大真面目にリクルートのためとかだけじゃなくて、そういうことをやってみたいっていう、一種のエゴイズムみたいなものがあったと思う。でも、それを許してくれるんだから、そんないい環境はなかったなと思いますよ。

そんな経験もあって、未来を描くことで、いろんな可能性が広がる。自ら描けば、そこに自分の思いややりたいことも繋げられる。そういう働き方が一番、人生で楽しいんじゃないかと、自分の中で気づくようになったんです。やらされ仕事は、義務や責務になりますから。そういう働き方が一概に悪い訳ではないけど、それ以上には絶対にならない。パフォーマンスも想定の範囲内になりますからね。

だから、会社の中では「遊ぶように働く」んだと常に言っているし、「自ら描く未来にするんだ」ということも毎回毎回、言っています。メンバーにも常にそうあってほしいし、これは、ある意味で自分にも何度も言い聞かせている言葉です。


アップデートし、進化し続けるU.S Inc.の未来。
6期を迎える今、次の目指す先は何か。

今まで、U.S Inc.は「原石を磨く」ということを大事にしてきました。全ては原石なんだと。ブランディングによって、それを輝かせること自体が、U.S Inc.のミッションだと考えてたんです。僕らは、イノベーションが起きてないものを、どんどん磨き込んで価値提供していく存在だということです。

けれど、それって、本当に会社のミッション、「目的」なんだろうかと思うようになった。ブランディングは手段だから、輝かせて、で、僕らはどうしたいんだ、と改めて向き合うようになりました。

世の中の流れを考えた時に、コロナで、どんどんデジタル化が急速に広がりましたよね。ChatGPTみたいなものも出てきたし、どんどん世の中のものがAIに代替される未来がリアルになってきた。この流れは多分加速し続ける。僕らのようなクリエイティブ会社も例外ではなく、デザインもコピーもAIが100パターン出せるんだとしたら、量産型の仕事からどんどん侵食されていくはずなんです。人の可能性を信じる、それはもちろんそうなんだけど、AIはあらゆるパターンから最適な手法を組み合わせたり、選択するという意味ではスピードに勝てないと思うんです。

と、なった一方で、その分、代替できないものもはっきりしてきたとも思います。それが、体験、特に心を揺さぶるような感動体験ですね。企画やサービスというものを集合体としての感動体験は、AIには代替できないんじゃないかとも思うようになりました。”WowとSuprize”と弊社でも行動指針に掲げていますが、+αのおもてなしや提案をするということって、まだ、代替されないものなんじゃないかと、思うようになりました。

この気づきは、U.S Inc.初の共同事業である金沢茶寮を運営したことも大きかったと思います。僕も店に立ってたんですけど、正直、オペレーティブにただ体験を”回す”という感覚では、お客様から評価はしてもらえないと思うんです。金沢茶寮は来てくださる方に、どんな思い、どんな感覚、どんな気づきしていただきたいのか、それを熱心に考えているから、あの空気感なんだと思ってて、それは、AIに代替させることは極めて難しいだろうなと、改めて、実感したんですよね。

そして、これは僕自身の考えですが、人生は一度きりなわけで。常に、刺激や面白さや、感動を感じていきたい訳です。新しい発見、新しい感動、新しい喜びを得ることが、人の幸せに繋がるんだと思うし、人生を豊かにしていくと思っています。この欲求や欲望自体は、どんなにAIが進んでも、人間は根源的に持ち続けるものなんじゃないか、と思っています。

そんなこともあって、改めて僕らの会社はこの”感動体験”を提供する会社、と定義することに決めました。先の未来を描いて、改めて自分たち自身に問いかけて行った結果、です。

僕らはこれからは、ブランディングという手段を使って、お客様を通じて、あるいは、自社事業を通じて、世の中に全く新しい感動や体験を届ける会社でありたい、と思っています。現在は、この新たなミッションをどう言語化し、どう組み込んだ戦略を練るかを、ぐるぐると考え中です。

と、いうわけで、また期が変わるタイミングから、また一段、U.S Inc.は進化しますので、まずは一旦、予告編ということで(笑)ここから先は新たな企みがスタートしていくと思いますので、公開できるタイミングが来た時に、その話はまたしていきたいと思います。

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