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「架空のホテルの一室」という異質なコンセプトはどこから生まれたのか

U.Sの自社事業であるroom705(https://www.room705.jp/)は、2020年にブランドデビューを果たし、事業としては3年目にあたる。「架空のホテルの705号室をイメージしたブランド」という一風変わったroom705はどのようにして生まれたのか。今回の記事では、ブランドオーナーのU.S Inc. CCO 朝本に、このブランドが生まれた背景について聞いた。

「原石を磨く」を加速させるために

U.Sincが大事にしている考え方として、「原石を磨く」という考え方があります。僕たちは通常、ブランディングやクリエイティブという視点から、クライアントのみなさんが持っている会社や事業の魅力を引き出し、アウトプットへと昇華するお手伝いをしています。すべての会社、事業には原石としての魅力があり、それを磨いて昇華させていくのが、U.Sの役割だと思っています。

そんなU.Sが、自ら事業をすることになったのが約3年前のこと。ほんとに正直にいうと、最初は実験場にしようかくらいの思いだったんです。それは、我々が、クライアントに「磨く」という形で貢献するにあたって、事業の解像度をあげたい、という思いからでした。在庫を抱えるとはどういうことなのか、ものをつくるとはどういうことなのか、コンサルティングやクリエイティブといった無形商材を扱うU.Sでは、本質的な理解ができていないように感じたこともあって、代表の井澤と始めようと言ったのがスタートでした。自分たちの身銭を切って、実験していけばいいんじゃないかと(笑)そうして、試してみてよかったことはどんどんクライアントに還元できるから、やってみるべきだ、という話でした。

加えて、「ブランディングの力を使って磨く」という会社として、どこまでゼロからブランドをつくるということにチャレンジできるんだろうかということへの挑戦のひとつでもあったかなと思います。

人のポテンシャルを磨く=五感の拡張という発想

とはいえ、ただ実験場を作るだけでは事業として成立しない、やるなら本気で取り組まなければならない。としたときに、やっぱりU.S自体の大事にしているこの「原石を磨く」から発想をしようと思いました。
これは、僕自身の考えでもあるんですが、この「原石を磨く」という言葉の前提には「すべての会社、事業、人にはポテンシャル、可能性がある」という考えがあります。だから、僕らがなにかを世の中のユーザーにむけてやるのであれば、「人のポテンシャルや、可能性を拡張するような体験」を提供できないかと考えたんです。
そこから出てきたのが「五感の拡張」というキーワードでした。人間の感覚を拡張したり、研ぎ澄ませたりするような体験や経験を提供する場を持てないか。例えば、香りを嗅いで、それを絵にしてみるとか。音だけの映画をつくってみるとか。五感を刺激して、想像力やクリエイティビティを高め、人間のポテンシャル自体が引き出されるような面白い体験。それを提供することで事業になったらいいなと思ったんです。



架空のホテルの一室を全員に”想像”してもらうという世界観

ただ、「五感の拡張」って消費者からすると伝わりづらいし、平素に聞こえるところもあって。体験としては面白いことは提供できるかもしれないけど、ブランドのファンになってもらうみたいなことを考えると、もっと取っ掛かりのある、尖ったコンセプトが必要だと思いました。
そこから生まれたのが「架空のホテルの一室」というコンセプトです。仮に、この世界のどこかに五感を拡張する部屋があったとして、そこで行う体験を、ブランドの世界観としてうち出す。私たちはその部屋の一部分を断片的に、物や体験という形で見せ続けるけれど、本当の部屋そのものは一切見せない、具現化しない。その物や体験を点としてつないで、どのような部屋なのかを想像してもらうのが、面白いんじゃないかと思いました。受け手側も、自分にとっての特別な705号室を想像する。このブランドそのものが一種のクリエイティビティを掻き立てるような「お題」になればいいなと思いました。ちなみに、705という数字は、高層階も低層階もイメージさせない中間的な数字としてとりました。1305とか、203とかだと、必然的にイメージが付いてしまうので、705という数字で、イメージの阻害要因をとったという感じです。

705号室を空間ではなくて、まずはプロダクトで感じてもらう

どういう形で消費者に届けようかとしたときに、真っ先に浮かぶのは体験だったんですけど、体験って必然的に空間を具現化する必要がでてくるんですよね。なので、ブランドのデビュー自体がそれだと、結局、ユーザー側に想像の余白を残せない。ということで、まず、D2C、オンラインの、しかもものを売るというところを起点にしてみました。正直、難易度は相当なものだった、というか、普通ならそんなビジネスモデルからスタートするものではない気もします。でも、この架空のホテルの一室を空間ではなくて物で表現するというのは、なかなかおもしろい体験になるんじゃないかと狙った部分もありました。

実際、展示会などでお客様とお話すると、一番面白がってくれるのは、このコンセプトなんですよね。ものを買ってるんだけど、ものじゃないものを買っているというか。そういう体験をもっともっと届けたいなと思います。



新しいコミュニケーションの実験場として

ただ、ここは正直ユーザーには伝わりづらい部分でもあるので、やっぱり世の中に届ける上では、もう一歩二歩、いや、百歩くらい、ぼくらも学習していかないといけないことはあります。数え切れないくらいの失敗をしているのも事実なので。
でも、失敗することを恐れてたら前には進まないですし、その中から成功したことは、自分たちのクライアントにも還元できる。失敗は悪いことではないです。room705はそういう意味で、新しいコミュニケーションの実験場だと思っています。本気ではないという意味ではないです。本気で新しいコミュニケーション、カスタマーエクスペリエンスの実験をしてみたいんですね。正解はないので、無数の失敗を重ねるでしょうし、もしかするとコケることもあるかもしれませんが(笑)、ぜひroom705というプロジェクトにみなさんもユーザーとして参加いただいて、そんな実験にお付き合いいただけたら嬉しいです。

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