【東工大Attic Lab × メンヘラテクノロジー】脱!病み期テクノロジーを考えるアイディアソンを開催
起業やスタートアップを輩出することを目指す東工大コワーキングスペース「Attic Lab」(所在地:東京工業大学大岡山キャンパス、以下Attic Lab)と株式会社メンヘラテクノロジー(所在地:東京都千代田区、 代表取締役:高桑蘭佳、 ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000040638.html
株式会社メンヘラテクノロジーの代表取締役 らんらんです。私は現在、東京工業大学大学院の修士課程1年生(2年目)です。
今年の4月に大学に起業やスタートアップを輩出を目指す「Attic Lab」というコワーキングスペースができました。そこに出入りするようになってから、しきりに「東工大からもっと起業家を増やしたい」という声を多く聞くようになりました。大学院から東工大に入った私は「え?東工大って起業家そんなにいないの?」と驚きました。
最近のスタートアップ企業といえば、もっぱらIT系ばかり。さらに、テック系となれば、投資家からの期待値は大きく高まり、「大型資金調達に成功!」などどいう投稿をSNSではよく目にしていたので、テクノロジーに強い東工大生の起業家は非常に多いのではないかと思い込んでいました。
しかし、大学院の必修科目でもあるキャリア教育プログラムの授業に出た際に、キャリアアンカー診断を受けると…
<キャリアアンカー> アメリカの組織心理学者であるエドガー・シャイン博士が提唱したキャリア理論。「どんな風に働きたいか」「どんな生活を送りたいか」「どんな人生にしたいか」といった自己分析から、自身のキャリアを見定める方法で8つのタイプに分類される。
私の結果は「Entrepreneurial creativity(起業家的創造性)」だったのですが、「自分の結果がどのタイプだったかをそれぞれ挙手してみてほしい」と先生に言われ、順番に挙手していく中で私と同じタイプの人は誰もおらず、思わず私も手を挙げることができなかったため、「やっぱりいないか~!東工大生はこのタイプが毎年少ないんだよね」と先生が呟いていました。
そんなこともあり、「本当に東工大は起業家が少ないのか?」と思い、ネットで調べてみると、『学生起業家カオスマップ2019』や『「有名企業への就職率」が高い大学ランキング』などの情報が見つかりました。
学生起業家カオスマップ2019より引用
学生起業家カオスマップ2019では、全ての学生起業家を網羅できているわけではないとは言え、「大学別 現役学生スタートアップ社数ランキング」では東工大は1社も挙がっていない状況です。一方で、「有名企業への就職率」が高い大学ランキングでは第一位で、東工大の卒業生のうち57.1%が有名企業へ就職しているという結果です。
さらに、東工大連携VCみらい創造機構取締役の金子大介さんと東工大学生支援センター修学支援部門特任教授の伊東幸子先生にお話を伺いました。
伊東先生は、東工大の学生起業家が少ない理由として「環境的な要因が強いのではないか」と教えてくれました。「今は自由応募が主流になりましたが、学校推薦経由の就職しか認められず、そもそも学生が自分で就職先を選ぶことができなかった時代もありました。学校推薦で大企業へ就職する文化の影響は非常に強いです」というお話には非常に驚きました。大企業からの期待が大きいが故に、「ときには、教授が薦めてくる企業と自分が就職したい企業が違って悩んでいる…と相談に来る学生さんもいますね」ということも。
金子さんによると、「東工大出身の起業家は実は意外と多いです。しかし、卒業後に一度大企業に入社してその後起業する方が多く、中々大学側では捕捉できていないため、私の方で地道に集めて東工大起業家のグループを作っています(現在60社程度)。学生起業についてはそもそも他の総合大学に比べて母数が少ないこともある」という。また、金子さんのもとへ起業の相談に訪れる学生も増えつつはあるそうなのですが、「資金調達をして一気に事業を拡大するスタートアップというよりは社会貢献系の事業や受託開発等のスモールビジネスが比較的多い印象」といいます。
このような話を聞いて、大企業が欲しがる人材をたくさん輩出できていることは他大学には真似をできない強みであることに違いないのですが、大企業への就職することが当たり前になりすぎていることで、学生たちが自分のキャリアについて考える機会を減らしている可能性はあるのではないかと感じました。伊東先生も「キャリアについてもっと考え、大企業に就職する場合も、それを自分の意思で選択できるようになってほしい。」と話していました。
また、金子さんは「先日上場した東工大発ベンチャーの株式会社ツクルバの例や弊社のようなベンチャーキャピタルの出現、Attic Labなど大学側の協力体制などもあり、いまとても機運が高まっていると思います」と東工大での起業に対する期待感を持っていました。
私はよく投資家から「あなたはエンジニアなの?メンバーにエンジニアは何人いるの?」という質問をされます。この質問から現在、スタートアップにおいてエンジニアという存在はすごく価値のあるものだということを私自身非常に強く感じています。
この度、東工大Attic Labとメンヘラテクノロジーでアイディアソンイベントを開催することとなりました!
このイベントでは、「脱!病み期テクノロジーを考える」をテーマに、病み期をテクノロジーで解決するサービスを考えます。「病み期」とは、失恋や友達との喧嘩、仕事や勉強がうまくいかないときなどに気分が落ち込んだり、不安や悩みを抱えたりしてしまっている期間のことです。
実現可能性が高いサービスアイディアについては、メンヘラテクノロジーが一緒にブラッシュアップおよびクラウドファンディング等での資金調達を行います。
私は「Attic Lab」という場づくりを通して、東工大生の価値をいろんな形で生かし、面白いことを生み出していくサポートがしたいと思っています。大学院では建築意匠を専攻していますが、起業やスタートアップなど、ビジネスを通して社会や価値観に影響を与えることにも興味があります。
そのきっかけは、Attic Labプロジェクトでメンター支援してくれた株式会社ツクルバでのインターンで、新規事業の駆け出し期間に関わったことです。事業を立ち上げた方から、その事業にかけた思いやビジョンを聞き、新たなビジネスを生むことで古い慣習や課題をスピード感を持って解決できるという事実を目の当たりにしました。
元々、社会課題などに興味がありながらも、ビジネスの「お金儲け」だけが目的化したネガティブな側面しか捉えられなかった私に、この経験は大きな影響を与えました。
そんな活動の中で、メンヘラテクノロジーのことを知りました。最初は単純にAttic Labに関わってもらいたくて代表の高桑さんに連絡したのですが、一度話をしてみたら、メンヘラテクノロジーの可能性にものすごく興奮しました。発想もめちゃくちゃ面白いし、メンヘラというネガティブな要素をポジティブに変換している。根本には、高桑さん本人の超個人的な悩みや思いがあるからこそ、説得力もあって強く共感できる。
しかも、実は現代社会では、メンヘラというのはより身近なものになってきていて、彼女のサービスによって多くの人々の心を軽くしてあげられるという事に感動をも覚えた気がします。そんな未来を私も望んでいる。
彼女の活動に加担したくて、高桑さんと一緒に考えて実現したのが今回のアイディアソンです。
Attic Labの運営に関わっていると、東工大には本当に色んな技術を持った人たちがたくさんいることを改めて実感します。でも、その大半はいい意味でその技術を純粋に好きで極めていて、その価値を高めることや、広めることにあまり関心がないように感じます。
それが、起業やスタートアップという発想に繋がらない理由なのではないでしょうか。素晴らしい技術やアイディアを、社会に良い影響を与えながら広める手段として、ビジネスを捉えることができたら、もっと起業やスタートアップに対してポジティブになれるはずです。
このアイディアソンのイベントが、そのきっかけになれば良いなと思っています。同じ現役東工大生という身近な存在が起業していると知ることも、良い刺激になることを期待しています。そして単純に、この少し変わったテーマに対してどんなアイディアが出るのかとても楽しみです。