なにをやっているのか
株式会社グレイスグループは、女性一人一人が自分の意志によって、人生100年時代のライフプランをより自由に選択できる世界の実現を目指して設立されました。私たちは、女性の出産に関わる総合的なサービスを高いレベルで実現することで、日本の女性により多様なライフスタイルの選択肢を示したいと考えています。
グレイスグループの事業は、創業者である勝見が、自分の娘を授かるまでにクリニックを何度も替えながら不妊治療で苦労をした経験と、20年間のキャリアコンサルティングの仕事の中で、仕事に精一杯打ち込んできたがゆえに結婚・妊娠するタイミングを逃して子供をあきらめざるを得なかったキャリア女性に多数向き合ってきた経験の双方から、子供を持ちたいと願いながら叶わない女性の数を少しでも減らしたい、という思いが出発点になっています。
当社は「女性が願うあらゆるライフプランが社会的制約なく叶えられる社会の創出」をミッションに掲げ、女性の医学的機能(月経・妊娠・出産など)にまつわる様々な負担やリスクを軽減するための最先端の総合医療サービスの提供を目指しています。選択的卵子凍結保存サービス「Grace Bank」は、キャリアと出産の両立や、将来の不妊に不安を抱える人々を支援する、当社の最初の事業です。
なぜやるのか
世界各国の GDP(国内総生産)を比較すると、日本は世界第 3 位の地位を維持している経済大国です。しかしながら、その実態は、先進国の中でも低い労働生産性を「人口と労働時間」で補っているに過ぎません。急速に進む少子化や若年人口の減少は、社会制度、経済、国際プレゼンス等の日本の未来に大きな影響を及ぼすことは必至であり、この社会課題への取り組みはもはや焦眉の急と言える状況です。
また、世界経済フォーラムによる「世界ジェンダー・ギャップ報告書 2020」によれば、日本の総合スコアは対象 153 カ国中 123 位、G7 内ではもちろん、中国や韓国などの近隣諸国比べても明らかに低い評価となっています。指標の妥当性の議論はさておき、女性の社会進出及び女性活躍による生産性向上には、まだまだ大きな課題が残っていることも議論を待ちません。
一方で、日本は年間 44.8 万件(出典:日本産婦人科学会 2017 年)の体外受精を行う世界最大の不妊治療大国です。同年度の米国での実施件数 28.4 万件(出典:CDC ART Report 2017)と比べても、件数が圧倒的に多くなっています。20~30 代の女性人口で換算すると米国の約 5.8倍の人々が体外受精を行うなど、少子化の一方で国内には妊娠・出産を望む多くのカップルがいることが分かります。
しかしながら、高齢になってから不妊治療に取り組むケースが多いこと(アメリカで体外受精をうける女性の平均年齢約34歳に対して日本では40歳)、卵子提供が一般化していないこと、一度に移植する胚の数が限られていること(日本では通常 1 個だがアメリカでは2~3 個)などから、誕生する子供の数はアメリカの 7 万 8,052 人(およそ 4 回に 1 人)に比べて5 万 6,617 人(およそ 8 回に 1 人)と、その成績が低いレベルに留まっているのが現状です。
当社は、この女性の医学的機能、特に妊孕力(にんようせい:妊娠するために必要な能力)とライフプランやキャリアの両立を考えた際、大きく 2 つの点で国内の社会環境が未整備であると考えています。1点目は、女性のみならず社会全体としての女性の医学的機能に対する理解の低さ、2点目は、社会インフラとしての卵子凍結保管システムの整備の遅れです。
学校教育で性教育を必修としたり、国境を越えて卵子凍結を含む大型生殖医療施設を整備したりする先進国が存在する一方で、日本社会はこれまで、女性が社会生活を行う上での「医学的な機能との向き合い」について、その大部分を女性個人に担わせてきました。現在私たちが直面する「深刻な少子化」、「高い技術がありながら、成績の低い不妊治療」、「進まない女性の社会進出」の3つの社会課題の一部が、こういった社会環境に起因することは否定できません。これらの課題に、日本が社会を挙げて取り組まなければならない時は、もう眼前まで迫っています。
どうやっているのか
「医学的に妊孕性喪失が差し迫っている状況ではない方」が「ご自身の将来のライフプランのために」実施する卵子凍結を、私たちは「選択的卵子凍結」と呼んでいます。これは、米国をはじめ海外で一般的に”Social Egg Freezing”と呼ばれるものとほぼ同義ですが、妊娠・出産はすべての女性に等しく求められるべきものではないこと、社会が女性に妊娠・出産を強いる風潮を醸成してはならないことを前提に、Social の直訳語である「社会的」という、やや圧力的とも受け取れる用語ではなく、「選択的」という女性ご自身の意志を尊重した言葉でご案内をしています。
卵子凍結保存サービスそのものは、企業及び生殖医療クリニック等で国内にも既に存在しますが、当社サービスの Grace Bank は、多くの方々により安心して、より手軽にご利用いただけるよう、以下の3点のユーザビリティ(顧客価値)に徹底的にこだわったモデルを実現いたしました。
1) 全国に組織化された国内最高峰の厳選クリニック
Grace Bank では、利用者の方に採卵・凍結を行っていただくクリニックを指定しています。利用者自身が普段利用しているクリニックや、アクセスしやすいクリニックが含まれていない場合などには、一見利用しにくいと感じられるかもしれません。一方で、国内の不妊治療クリニック市場を鑑みるに、その健康保険適用外・自由診療という性質からか、クリニックごとの技術的・倫理的なレベルの開きはとても大きいのが実情です。必ずしも著名であったり、広報・マーケティング活動が奏功したりしているクリニックが、患者の方々にとって優良なクリニックとは限らない現実があります。また、採卵・凍結を行うクリニックは、将来的に不妊治療を行うクリニックの強力な候補となることから、当社として「全てのクリニックを無条件でご利用者の方々に勧める」ことはできないとの判断に至りました。そこで、当社では採卵・凍結を行っていただくクリニックを、当社基準で技術的・倫理的に絶対の安心がおける厳選クリニックのみに限定することで、安心してご利用いただける体制を構築しています。加えて、複数の厳選クリニックと提携し全国ネットワークを組むことで、卵子の保管期間中にクリニックが廃業したり、利用者が転居したり、不妊治療開始後にクリニックを変更したい場合であっても、採卵をやり直さずに若い卵子をそのまま不妊治療にご使用いただける体制になっています。この点でも、不妊治療クリニック単体と契約して卵子を凍結保管する場合に比べ、大きく不妊治療時のリスクを低減していると言えます。
2) 国内最大級、安心・安全の凍結保管システム
当社サービス Grace Bank の卵子の保管については、資本業務提携先である株式会社ステムセル研究所(以下「ステムセル研究所」)が神奈川県横浜市内に運営する施設の一部を使用することで、安心・安全な保管体制を実現しています。そもそも、卵子の凍結保管には大きく 5 種類のリスクが伴います。1点目は保管タンクの高頻度の開閉や液体窒素の注ぎ忘れによるヒートショック、2点目は自然災害等による停電や施設の倒壊、3点目はセキュリティ、4点目は衛生環境、5点目は卵子の取り違えです。このうち 1~4 点目については、20 年間無事故を誇り、温度管理や液体窒素供給を完全自動化したステムセル研究所の施設を使用することで対応し、加えて独自のデジタル管理システムを導入することで、5点目の「卵子の取り違え」についても徹底的にリスクを排除した形で保管いたします。
3) 高品質でありながら、業界最低水準の圧倒的低価格
当社サービス Grace Bank は、上記のような安全・安心を担保しながら、保管庫の大規模運営のメリット及び徹底したコスト効率の追求により、価格面でも大きくユーザビリティを高めています。Grace Bank のサービスでは、採卵・凍結費用(医療行為)についてはご利用者の方がクリニックに直接お支払いいただく形となりますが、保管費用については卵子 15 個までであれば、初期費用 10 万円、年間 3 万円(いずれも税別)にてご提供いたします。