スイッチサイエンスの採用広報担当、平山です。
ついに登場!今回は金本社長のインタビュー記事です。「エンジニア出身の社長が語る創業ストーリー」をテーマに、お話を聞くことができました。社長の人柄や会社経営における大切な価値観やビジョンについて、たくさんのエピソードを交えて語っていただきました。
社長の想いや方向性に共感するスタッフの一人として、この記事を多くの方に読んでいただきたいですし、スイッチサエンスという会社の魅力を伝えたいと思っています。前編と後編の2部構成で、読み応えのある内容となっていますので、ぜひご一読ください!
金本 茂
1966年生まれ。元電子工作少年。早稲田大学理工学部を卒業後、ソフトウェア技術者として会社勤務、フリーランスを経て、1992年にソフトウェア開発会社を設立。2008年、Arduinoによって電子工作の魅力を再発見し、輸入販売のためにスイッチサイエンスを創業。電子回路モジュールの設計製造、輸出入、小売および卸売に従事。Arduino IDEの国際化、日本語化、micro:bit IDEの国際化、日本語化に貢献した。
社長はもともとソフトウェアエンジニアですよね。どうして電子部品の世界に?
実は私は、電子工作大好き少年だったんですよ。ただし、それほど深く掘り下げたわけではありませんでした。半田付けやデジタル回路の設計といったごく一部のスキルを身につけて、おもちゃを作って学校の文化祭で展示するなど、楽しみながら取り組んでいました。単純に、好きだったんですよ。当時はそれだけで満足していました。
大学に入学した頃から、中学高校時代の先輩で現在はスイッチサイエンスの顧問である田口さんの会社に誘われ、ソフトウェアエンジニアとして働きはじめました。それから数十年間、私はソフトウェアの世界で過ごしてきたんです。でもやっぱり電子工作をやりたくなってきて、やり方も忘れちゃって、できるかどうかも自信が持てないし、材料も何も持っていないけど、やりたいって気持ちがあって。そんな時、いろいろと検索をしていたら、Arduino(アルデュイーノ、イタリアで生まれたマイコンボード)というものを見つけたんです。スイッチサイエンス創業の年、2008年のことでした。
金本少年の夢がベースにあったんですね。でも、日本でまだ流通していなかったArduinoをどうやって見つけたんですか?
ネットワーク関連のソフトウェア開発会社を経営していた時に、アプライアンスサーバーの開発に取り組んだことがありました。単にコンピュータを買ってきて開発したソフトウェアをインストールすれば済む話ではありましたが、なんとなく素敵な筐体やパネル、そしてそれに付けるインジケーターが欲しくなってしまったんです(笑)。そこから調査を始めました。
インジケーターを取り付ける場合、通常のPCサーバーの領域を超えて、具体的な方法を考える必要があります。まるで別の世界に入り込むような感じです。その異なる世界について色々と調べていたんですよ。ただ、結局のところ、筐体にインジケーターを取り付けることはやめて、ソフトウェアだけで実現することにしたので、それらの調査結果を活用する機会がありませんでした。それでも私は興味本位で続きを調べていたんですね。それがArduinoの存在を発見することに繋がりました。
Youtube撮影にもたびたび使われる、本社オフィスの会議室にて
Arduinoを手に入れたときのことを教えてください
驚きました。世の中が色々と変わっていることを知りましたね。子供の頃、電子工作と言えば、ロジックICを購入してつなげるだけで動かすものでした。しかし今はそうではなく、マイコンが主役になっていたんです。マイコンを使って、外部にちょっとしたLEDやスイッチを接続し、残りはすべてソフトウェアで制御するようになっていました。組み込みソフトウェアやファームウェアの開発に特化した世界に変わっていたんです。もちろん、はんだ付けや部品の選定、ちょっとした回路設計などはまだ残っていますが、パソコンが主役になったんですね。
さらに、マイコンチップのメーカーさんたちが無償で提供している開発環境があるんです。有償のものもありますが、Arduinoは完全にオープンソースだった。私はオープンソースの世界に携わってきたため、ソフトウェア開発者として、Arduinoがオープンソースであるということは非常に気に入った点ですね。
その後Arduinoは日本で急速に広まりました
最初は主に大学や教育機関がArduinoを購入してくださっていました。実際、Arduinoがなかったら、電子工作をやらなかったと言ってくれる人もいます。現在では、Arduinoだけでなく、さまざまなマイコンが登場しています。特にRaspberry PiやM5Stackなどは人気がありますね。Arduinoのボード自体の販売は減少傾向にあるものの、M5Stackのような製品ではArduino環境が標準であり、Arduinoはもはやデファクトスタンダードになりました。少なくともソフトウェアの面では完全にそうですね。
ショップで取り扱っている数千種類もの商品が並ぶ倉庫の棚
社長はArduinoの日本語化に貢献されたと聞きました
ここ数年は、Arduinoとmicro:bit(マイクロビット、イギリス発の教育向けマイコンボード)の日本語化に力を注いできました。Arduinoとmicro:bitは、世界中でたくさんの人々に愛されているオープンソースのハードウェアおよびソフトウェアプラットフォームです。さまざまな地域や言語のユーザーが快適に利用できる環境を作るために、国際化(インターナショナライゼーション)に取り組み、利用者層を広げるお手伝いをしてきました。さらにこの国際化に基づき、日本語化(ローカリゼーション)を行いました。日本でも、より多くの人々に使っていただくお手伝いができたのではないかと思っています。科学に興味を持つ人々の可能性を広げるという意味で、その一助となれたことをとても嬉しく思っています。
経営の仕事の比重が徐々に増えてきていますが、今でもエンジニアとして手を動かすことはありますよ。私にはまだ小さな子供がいるので、子育てに関するちょっとしたツールを作ったりもします。私のプライベートプロジェクトはGitHubアカウントで公開しています。がらくたばかりですが、よかったらご覧ください。
続きの後編「エンジニア出身のCEOが語る企業理念とカルチャー」はこちらです。
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