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管理ロイドの誕生 コンサルティング会社からSaaS企業へ -CEO井上- vol.3

6. THIRD参画後、コンサルティング時代

THIRDに参画してから、不動産ファンド、不動産デベロッパー、事業会社などから「経営コンサル×建築コンサル」を掛け合わせたようなプロジェクトを受注するようになります。主にリノベーションの投資~Exitまでを一気通貫で受注するプロジェクトが多く、建築コスト削減のソリューションを軸に様々な仕事をしました。当時は、オリンピックが決まった直後で、ホテルの投資が盛んな時期で、リノベ案件を多く手がけました。

建築コストは旺盛な需要により、うなぎのぼりに上がってきており、コスト削減をするために当社の現場監督をコンサルタントとして工事プロジェクトに派遣し、分離発注をするような案件も多くなってきていた時期です。

通常工事のプロジェクトでは、元請けのゼネコンが施主から工事を受注し、下請けの工務店や電気工事会社、設備工事会社を傘下につけて工事を実施するのが一般的です。元請けのゼネコンからは、現場監督が派遣され工事のプロジェクト管理(工期、品質、お金のコントロール)をするのが一般的です。我々がとった分離発注というコスト削減手法は、元請けのゼネコンの代わりに、当社の現場監督がコンサルタントとして施主側につき、施主と下請けである設備工事の会社を直接つなげて工事を実施する手法です。施主からするとコストが安くなり、現場で実際に工事をする下請けの工事会社にとってはゼネコンの下で仕事をするよりも高い金額で受注する事ができるため、お互いがWIN×WINになる手法です。

こうした分離発注のプロジェクトをこなすと、竣工時の検査や、竣工後の1年点検などを実施する事が必要になり、プロパティマネジメントの会社や、ビルメンテナンスの会社と一緒に点検や検査を実施する必要がありました。この時の点検方法が、とにかく紙が多い。少数精鋭で経営していた我々にとってはこの紙による点検の手作業に工数を非常に多く割かれる結果となり、人手が足りなくなってしまいました。

こうした経験により生まれたのが、「管理ロイド」です。

7. AI不動産管理SaaS「管理ロイド」の誕生

0→1の事業である管理ロイドを作るときにとても大切にしたのは、現場感です。当時、不動産管理会社の経営コンサルティングのプロジェクトも同時並行で受注していたことから、その会社にお願いをして、とある常駐物件の管理実務を2週間ほど体験させていただきました。実体験からくる課題は強烈なインパクトがあり、どれだけ現場の人たちが大変なのかを身をもって知ることができました。夜中の2時にボイラーの点検に行ったり、不具合の報告書を作成するために大量の写真をExcelに転記をしたり、ピットの中にある汚水ポンプの設備点検を行ったり、これらの体験をする事がとても大事と考えています。(経営改革の変数は現場にしか落ちていない)一方で、それらの業務をただ単にこなすだけではダメで、しっかりとマネジメントの視点(例:労働生産性の改善、原価削減の視点を持って現場の実務を体験する)を持っていないと示唆が何もありません。

我々は、前述の工事の点検が人手不足でできないという切実な課題を持っていたからこそ、労働生産性をどうしたら改善できるかという目線感で改善の糸口を感じることができたんです。

加えて、こうしたプロダクトを作るときに大事なのは、プライシングから逆算して最小限の適切なIT/AIの技術を選択する事。例えば、最先端の不動産管理の事例は工場の中で起きていたりします。工場ではラインが1分停止すると数億円の損失が出るとも言われています。こうした理由から潤沢なコストをかけてIoTツールやセンサーを大量につけて、それをリアルタイムで計測するような素晴らしいITの仕組みが存在します。これらの技術を横展開する事で不動産管理業界でも改善できるのか?それは、不動産管理会社のPL構造を見ると明らかです。私が管理会社の経営者だったとしたら、いくらのレンジまでだったら出せるか?1物件当たり月額かけられる予算と、それによって改善する労働生産性のバランスを考えるとおのずと提供できる価格レンジが決まってきます。

業界特化のSaaSで大事になってくることは、その業界の課題をどれだけ深く入り込んで改善できるかどうか。表面的な課題ではなく、誰もが無理とあきらめている課題に正面から突入し、科学的に事象を分析して最適なテクノロジーで解決をする。解決する課題が大きければ大きいほど、その評価として対価を頂戴する。そして、次の課題に取り組んでいく事で自然とサービスの範囲が広がっていく事が大事だと思っています。

THIRDでは、経営コンサル+コンストラクションマネジメント+管理ロイド(IT・AI)という3つの強みがあるからこそ、業界の深い課題に突っ込んでいけるのです。

次の章では、管理ロイドの今後についてお話をします。

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