なにをやっているのか
非駆血式血圧計ウェアラブルデバイス
私たちは、医療を日常生活のなかで提供する仕組みを作ることを目指し、病院に行かなくてもバイタル情報(=生命兆候を示すもの、すなわち心拍・血圧・呼吸数・体温・血中酸素濃度)がきちんと計測され、そのときどきの症状に則した適切な対処手段を届けるための技術とサービスの開発をしています。
現在の医療とは、病院に行って初めて「診てもらえる」「処置してもらえる」ものですが、日常生活の中で自分で体調変化に対処できるようになると、個々の医療費負担額の軽減や発症/重症化予防につなげることができると信じ、「医療知識がない/専門医がいない/時間がない/病院でしかできない/お金がない」の5つの「ない」という制約を一つでも取り除くことを目指しています。
そのために私たちが取り組んでいるのは、日常生活できちんとバイタル情報を常時計測するためのウェアラブルデバイスの開発です。バイタル情報の中でも血圧は、唯一疾病発症リスクを定量的に算出することができる指標であると言われ、私たちはその血圧値を24時間連続かつ非駆血(圧迫しない方法)で測れる技術を開発しています。
なぜやるのか
ウェアラブルデバイスを用いて日常生活で心拍数を24時間計測することは当たり前のことになりました。しかし、心拍数だけで十分な症状診断を行うことは極めて困難であるため、私たちは血圧値も同時に測れるウェアラブルデバイスを開発しています。血圧値を計測できると謳っている機器はネット上に溢れていますが、実際は日本の法律で医療機器として認められている非駆血式血圧計測ウェアラブルデバイスはひとつもありません。これが理由で、なかなか医療現場でウェアラブルデバイスの活用は進んでいないのです。
ウェアラブルデバイスには疾病の発症リスクの算定や発作の検知を行うことができるポテンシャルがあります。高齢化による医療費の増加・医療従事者不足が叫ばれる中で医療診断の効率化を少しでも押し進めるためには、このポテンシャルの活用は急務だと考えています。私たちは、ウェアラブルデバイスを医療機器にしていき、そのデバイスで計測された数値情報を最大限活用する手段・仕組みまで含めて開発していきます。生活者と医療をデジタルでつなぐ仕組み作りこそ、今やらなければならないことだと考えています。
ウェアラブルデバイスを活用した最初のサービスとして、脳卒中および心疾患の再発予防と個々人に最適なリハビリの提供を行います。高血圧は日本人の3人に1人が患っており、脳卒中発症の最大の要因と言われています。脳卒中は、罹患者の半数が身体麻痺など後遺症が残り、再発率も高く、生涯にわたり向き合い続けなければならない疾病です。適切な血圧管理を行い、再発予防と安全かつ効果的なリハビリを行えるように支援し、将来的には発症そのものの予防へと繋げていきたいと考えています。
どうやっているのか
業務中の一コマ
取得したデータに全員で向き合っています
2016年に創業してから3年間ウェアラブルデバイスの試作機開発に注力してきました。これからは、この試作機を医療機器として認めてもらうための精度向上/商品化フェイズに入っていきます。
現在データサイエンティスト4名、Flutterエンジニア1名、UIUXデザイナー1名で開発しており、
2020年度内に作っていくチームは①データ解析、②サービス構築、③コンテンツ制作、④マーケティング、の4要素を備えたものにしていきたいと思います。
①生体信号のデータ解析
・先行研究を調査し、そこに記載されていることをどう生かし、どう精度向上に役立てるかを模索
・必要なデータ収集のための計測実験立案/調整/実施
・信号処理技術を駆使し医療現場で活用可能な有意義な情報の抽出
・アルゴリズム精度向上/担保のための機械学習/深層学習を用いた解析
・算出したバイタル情報の応用方法の模索(疾病発症リスク算定、発作検知、など)
②サービス構築
・サービス全体のUXを向上するためのデザイン(医療従事者/想定ユーザへのヒアリング)
・アプリ開発(iOS/Android)
・クラウド開発(DB設計、サーバ設計)
③コンテンツ制作
・医療情報を収集/精査し、記事や動画といったコンテンツに落とし込む
・脳卒中・心疾患患者がセルフケアをするためのガイド動画の作成
・どんなユーザがどんな情報を必要とするかの明確化/条件整理
・理学療法士/作業療法士の立場からの脳卒中・心疾患患者支援手段/方法の立案
④マーケティング
・対象ユーザーである脳卒中・心疾患患者およびその家族等支援者への訴求
・クリニック/リハビリ施設など医療機関との連携
・医療従事者への当該サービスの有用性/必要性に関する啓蒙活動