なにをやっているのか
麹菌のコロニー
全ての事業の基幹となる商品、『種麹』
味噌、醤油、清酒、焼酎、みりんなど、醸造食品と呼ばれる食品の製造には必ず「麹」が使用されます。この麹を造るときに“たね”として蒸した原料(主に米)に加えるのが「種麹」です。醸造メーカーさんの希望に応じた種麹を開発、製造し、販売しており、全国の醸造メーカー3000社以上にお取り引きいただいています。
また、種麹のシェア40%を占める業界有数の会社として、麹菌をはじめとする微生物の可能性を開拓していくため、あま酒などの食品商材や、健康食品の具材など「麹」の利用方法の応用にも力を入れ、様々な分野の研究開発も行っています。
そして、種麹、麹菌の技術や研究の最先端企業として、消費者に対して、発酵に対する正しい科学的知見と情報を提供することも重要なミッションと考えています。
つまりは
『種麹』の製造販売業を軸とし
・『麹』の技術を応用し健康食品などへの素材開発製造事業
・『麹』の技術を環境や食糧問題の解決へと応用していく事業
・消費者の科学リテラシーを育み、発酵に関する情報を提供する事業
を行っています。
なぜやるのか
当社に伝わる、室町幕府からいただいた許し判
これまで、当社は発酵のプロとしての歴史を積み重ねてきました。そして、今では研究開発型企業として、社員二十数名の中小企業ながら、博士3名/修士5名を要し、業界の要となる企業へと成長しました。その、歴史に基づく使命感こそが私たちを突き動かしています。
麹を通じて、人々の健康に貢献し、日本の食文化に貢献する。それが私たちのミッションです。
■企業理念
古くして新しき
当社に伝わる言葉です。古いことを古いままやるのではなく、新しいことを新しいままやるのではなく、古いものと新しいものこそが長期的に生き残っていくという理念です。古くして新しきもの、とはなんでしょうか。それは、基本は古いものなのです。オセロの盤面を想像して下さい。最初は全て真っ黒。その真っ黒のコマ一つ一つを「これは今の時代でも通用するものだから黒いまま残す」「これは、今の時代に合わせて変えた方が良いものだから白色に変える」と検討していった結果、黒と白が入り交じった盤面が出来る。ただ守るだけでなく、ただ変えるだけでなく、守るのか変えるのかの葛藤をしていくことこそが、その時代に事業を預かった人間の責任ではないかと考えます。
どうやっているのか
現代はVUCAとも言われる不確実な時代。『社会全体として望ましい方向が決まっているので、あとは、その正解に向かって一直線に突き進むために、組織の方針から末端の命令まで如何に早く正確に指示命令が行き渡り遂行されるか』という体制よりも、『環境の変化に応じて、個性の集合とネットワークが柔軟に変化し、生成物を変えながらも、望ましいところに着地する』という、まさに発酵タンクのようなアプローチこそが望ましいと考えます。
一方で、多様性を発揮し、個性を発揮させていたら、組織がバラバラになる。特に、組織としての方針があり、細かな指示命令で動いていく組織に慣れた人にとっては、『個性の発揮=ワガママ』という捉え方をしがちかもしれません。組織としての目標が達成できないと感じるかもしれません。ここで、重要なのが、『環境を整えて個性を発揮させながらも、複数の個性が連携をしあって、結果として目的の成果物になるよう誘導する』という『発酵アプローチ』だと思います。
実際に、麹菌、酵母菌、乳酸菌が勝手に活動していても、それぞれの醸造メーカーごとに個性の違う商品が販売されていますし、醸造メーカーごとの個性というのは確実に存在します。つまり、『蔵として望む成果』にむかって、ちゃんと微生物たちの働きを誘導し、統合している「環境を整えて、個性を発揮させ、複数の個性を統合し、望ましい結果に誘導する」という発酵アプローチ。指示や命令による組織運営ではなく、環境を操作して成果を統合する感覚を重要視しています。