“わからないをなくす”には根本理解が必要。「人」がつくるからこそ実現するコンテンツ
~取締役/企画開発グループ 柿内美樹~
紙からデジタルへ、アダプティブな学習法。革新はここから始まった
「すらら」の特長のひとつであるアニメキャラクターによるレクチャー機能を企画・制作している企画開発グループの責任者であり、すららネットの取締役の柿内美樹は、まさに「すらら」誕生を導いた人物です。現在も自ら開発・制作に携わっています。
もともと柿内は、大学入試向け参考書の出版社で担当していた予備校の国語講師の誘いで、参考書出版社の立ち上げに関わっていました。参考書制作の傍ら、参考書だけで学力が本当につくのか、継続しないと意味がないのではないかというジレンマを感じていたと言います。そんな時、国語講師のノウハウを活かした、現代文読解の訓練を目的とした紙教材を開発。コンサルティング営業の専門部隊に販売を委託したところ、億単位の売り上げとなりました。その時の紙教材の特長は、“問題を間違えたら前の単元に戻って学びなおす”というものでした。手ごたえを感じつつも、柿内は「単に一つ戻るだけでいいのか」と、この点に疑問を感じていたといいます。もう少し、生徒一人ひとりに合った形で、適切な箇所に戻って学び直しができるようなものを作れないか、今から約20年前に、「すらら」の機能の根幹となる考え方が、この時すでに紙教材でおぼろげながら構想されていたのです。
その後様々な縁があり、さかのぼり学習ができるよう、さらに進化させた教材の開発・販売のためにベンチャー・リンクにたどり着き、ここで湯野川と出会いました。柿内の構想について「紙じゃなくデジタルにできるのでは?」と思いもよらないアイデアが飛び出しました。ここから怒涛のコンテンツ開発が始まります。システムをゼロイチで開発している企業探しに飛び回りながら、コンテンツ開発をしていた柿内。最も苦労したのは、学習者ごとに異なる理解度に合わせてさかのぼったり進んだりする“アダプティブ”なシステムの実現でした。開発してくれる企業やアドバイザーを根気強く探し続け、今も取引を続ける国内外の開発企業と組むことで解決の道筋をつけることができました。「すでにコンテンツのリリース時期は決まっていて、残された期間は1年もありませんでした。とはいえ一定のクオリティは譲れない。とにかくやるしかありませんでした」と当時を振り返ります。
勉強が苦手な子どもにこそ、学びの楽しさ、ワクワク感を実感してほしい
2007年のe-ラーニング教材「すらら」による塾の開校、2010年のMBOは柿内にとって大きな転機だったと言います。「資金調達によって開発でできることが増えました。そこで最初に取り掛かったのは2011年にリリースした『E-te』機能です。当初は子どもたちのわかりやすさ、使いやすさを最重視していましたが、資金調達後からは、指導者の管理画面の充実にも注力していきました。採点など先生たちの作業の中で省けること、人である先生でなければできないことを、現場の先生方の意見を取り入れながら機能に反映させ続けていきました。それは現在でも続けています。
「勉強が苦手な子どもたちが『すらら』で学習をし、学ぶことの楽しさに自ら気が付き、希望の進路を見つけ進んでいく様子を見聞きすると、何よりもやりがいを感じます。わかる楽しさを知ってもらうために、何がわからないのか、どうしたらわかるのか、そしてワクワクさせるにはどうしたらいいかという視点で各教科のコンテンツ開発に取り組んでいます」と語ります。
最初のプロトタイプリリースから15年経った今、ドリルの問題数20万問以上、学習ログデータも圧倒的なボリュームです。そのため、どこよりも精度の高いつまずき部分の分析と学習につなげることが可能です。「レクチャーやドリル、テストの内容の精度を上げるとともに、大人も学べるようなコンテンツ、例えばお金の話なども入れることで、いつまでも『わかるっておもしろい!』という気持ちを持ち続けられる学びのプラットフォームになることを目指したいと思います」と展望を語ります。柿内の挑戦はまだまだ続きます。
【広報担当者のひとり言】
すららネットのコンテンツ開発には本当に目を見張るものがあります。私も学生の頃「どこがわからないかわからないからどこから手を付けたらいいかわからない(特に数学)」経験があります。それを、自動的にわからないところまでさかのぼるって、いまでこそAIがやってくれますが、柿内が開発しようとした時は紙でそれをやろうとしていたんです!!わからないをなくすために、何がわからないのか、徹底的に検証して作られているのが「すらら」なんです。