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4年半のベンチャー経営で学んだ3つの勇気

クックパッドライブ(旧CookpadTV)を創業して4年半が過ぎました。

大型資金調達、コロナによる環境変化、創業事業の譲渡、5年生存率15%と言われるベンチャー経営の厳しさを肌で感じた4年半でした。とは言っても、クックパッドブランドを活用できたこと、資金調達環境の良い時期に創業できたことなど、様々なアドバンテージがある中での経営でしたので、何もないところから事業をスタートしている起業家の方々とは環境が違うのも事実だと思います。

4年半を振り返って、クックパッドライブというベンチャー企業を経営する上で、とても重要であると感じた3つの勇気についてまとめておきたいと思います。

逆張りする勇気

4年半前は料理動画ブームの真っ只中でした。料理動画ベンチャーが大々的にTVCMを出稿し、クックパッドが料理動画で大きく出遅れているという記事があちこちで発信され、クックパッドの社内でも料理検索サービスの動画版を作るべきではという議論が盛んに行われていました。

たまたま私が料理動画事業を担当することになったわけですが、真っ先に料理検索サービスの動画版は検討から外しました。モノマネや小さな差別化では本気で勝負しているベンチャー企業に勝てないからです。そして、多くの人たちに反対されながら、メインストリームではない料理動画サイネージやクッキングライブ配信サービスに投資することを決めました。

また、コロナが長期化し飲食店の閉店が相次いでいた時期に、ライブ観覧型カフェの出店を決めました。それも表参道や心斎橋の一等地に。ライブコマースの成長が加速していた時期であったため、店舗ではなくコマースに投資すべきだという強い反対を押し切って、アフターコロナを見据えた投資を実行しました。予想に反してコロナ禍の現在でも人気を博しており、ライブ事業の収益に大きく貢献してくれています。

逆張りして、競合のいない領域で、モノマネされずらい競合優位性を持つことがベンチャー企業の生きる道だと思っています。

選択と集中を行う勇気

創業時から収益源を分散させることを意識して、様々な新規事業・新規サービスの立ち上げにチャレンジしてきましたが、創業から4年を過ぎた7月1日に、創業事業の1つである料理動画サイネージ事業を三菱商事グループに譲渡して資本提携を解消し、ライブ事業に集中するというこれまでで最も大きな決断をしました。

複数の事業を展開することに慣れてしまっていたため、事業を一つに絞り込むことは想像以上に勇気と覚悟が必要でした。本当にライブ事業だけでやっていけるのか…譲渡する事業のメンバーにどう説明しよう…シンプルに考えると得意なことに集中するだけなのですが、不安と迷いでシンプルに判断できない状態に陥り、事業計画を何度も何度も書き直していました。

経営メンバーで、改めて、この会社でユーザーに提供していく価値やチャレンジしたいことについて話し合い、料理を楽しみにする事業に集中しようという決心が固まったため、2022年の春に全社員へ向けて、料理動画サイネージ事業を三菱商事グループに譲渡することを発表しました。

1つの事業に集中したことで、事業への熱量は以前よりも上がり、メンバーへのメッセージもよりシンプルになりました。まだ数ヶ月なのでレビューするには少し早いですが、事業の選択と集中を行ったことでライブ事業は成長スピードが加速し、過去最高売上・最高益を更新しています。

続ける勇気

そして最も重要だと思うのが続ける勇気です。

ユーザーへの提供価値が明確で、事業をスケールさせるためのKPIをクリアできそうであれば、何があっても事業を続けるべきだと思っています。クックパッドライブは料理のきっかけを提供するサービスであり、現在のKPIである配信利益(番組収入 − 番組制作費)も順調に伸びています。

ここに至るまでには、起業家の書籍によく出てくるようなスリリングな毎日がありました。資金調達の直後に実施した大規模プロモーションの失敗、事業モデルを大きく変更するタイミングでのメンバーの大量退職、主力取引先との契約終了など、とても濃密な4年半を過ごしました。心が折れそうになることが多かった4年半ですが、ライブ事業を辞めようと思ったことは一度もありませんでした。むしろライブ事業を続けるために、様々な人と戦い、様々なものを捨ててきたように思います。

創業から4年半、ライブ事業への選択と集中を経て、クッキングライブサービス「cookpadLive」を心から信じて揺るがない強いメンバーが事業の成長を推進してくれています。来年に向けた逆張りの進化の準備も万全です。これからもクックパッドライブの成長を信じてサービスの進化にチャレンジし続けます。

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